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未来の予測ができない時代をどう生きる?
大昔から、人間はなんとかして未来を予測しようとしてきました。これは21世紀の現在も同じ。最新のコンピュータ技術を使って、これから世界がどうなっていくのかを予測しようとしています。
しかし残念ながら今のところ、未来を正確に予測することはできません。IT技術の発達があらゆる変化を加速させていくのを見ると、予測はますます難しくなっていくのではとさえ思えます。
かといって昨今盛んに叫ばれている日本経済の縮小シナリオのことを考えると、「ぼんやり何も考えずに生きていく」のが不安なのも確かです。
そこで今回紹介したいのが、だいたいの「あたり」をつけて当てずっぽうで生きていくという考え方です。「そんなテキトーな!」と思うかもしれません。でも実はこの考え方、意外と理にかなっているんです。
未来は誰にもわからない

経済学や統計学などは、最新のコンピュータ技術を使って「未来」を予測しようと試行錯誤を続けています。歴史上の状況を踏まえて未来を予測する「未来学」という学問もあります。
「未来のことを前もって知りたい」という欲求は、ノストラダムスの大預言やマヤ文明の予言が迷信として扱われる今の時代になっても、人間を突き動かしているのです。
ではAIやスーパーコンピューターなどの登場により、私たちは未来を予測できるようになったのでしょうか。半分はYES、半分はNOです。
天気などの自然科学的な現象、出生率の推移や婚姻率の推移といった社会・経済的な現象については、ある程度の精度で予測することが可能です。
しかし人間の行動や、非常に複雑な経済動向といった数値化の難しい分野の未来予測は、今の技術では信頼できるレベルの精度は出せません。
私たちが一番知りたい未来とは、「自分の人生はどうなるのか」でしょう。ところがこの意味での「未来」は誰にもわからないというのが現状なのです。
ぼんやり生きるわけにもいかない日本の現状

しかし日本の現状は、未来がわからないからといってその日暮らしでやっていけるほど、楽観視できるものではありません。
一国の経済の成長・衰退は、概ね総人口の増減と一致すると言われています。つまり人口が増えれば増えるほど経済は成長し、減れば減るほど衰退するわけです。
日本の総人口は2004年12月を境に減少し始め、2008年10月には1億2,800万人だったところが、2019年10月には1億2,600万人台にまで落ち込んでいます。
「平成30年版高齢者白書」によれば減少傾向は今後加速していき、2065年には9,000万人以下となり、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上という超高齢化社会になっているという推計もあります。
前述したように未来の正確な予測は不可能ですが、だからといって全ての予測が完全に外れるわけではありません。
このままの状況が続けば「人口が大幅に減少する」「超高齢化社会になる」という大まかなシナリオはほぼ確実でしょう。
経済は縮小し、人材の淘汰も進みます。その時に生き残る人材でいるためには、今のうちから未来を見据えた働き方、生き方をしておく必要があるのです。
だいたいの「あたり」をつける生き方が武器になる

●未来について、おおよその「あたり」を
未来は予測できないのに、未来を見据えておかなくちゃならない。一体どうすればいいんだという感じですよね。
難しく考えても答えは出ないけれど、何も考えずにいるのはダメ……それなら少しだけ考えればいいのではないでしょうか。
つまり未来について、だいたいの「あたり」をつけるのです。
まずは1〜3年という短いスパンではなく、最低でも5〜10年のスパンで「将来はこういう生き方がしたい」という大きな指針を決める。
指針をもとに、今の仕事や私生活のなかで「なんとなく良さそうな選択肢」を選ぶ。これだけです。
例えば「5年後には毎週ゆっくり休めるようにしたいな」と思ったとします。
この指針をもとに「今の会社じゃ無理だから、今のうちから少し転職を意識して働いてみるか」とか、「今の恋人とはゆったりした家庭は築けそうにないから、関係を考え直すべきかもな」と“なんとなく”考えていくわけです。
●現時点で「やりたいことがない人」には武器になる
「目標や夢は具体的に決めろって言われることが多いのに、そんなテキトーな生き方でいいのか?」と思うかもしれません。
確かに目標や夢は具体的な方が達成しやすいでしょう。世の中が大きく変化しても貫き通せるようなやりたいことがある人は、より具体的な指針を決めるべきです。
しかし現時点でそこまで情熱を注いでやりたいことがない人が無理に指針を具体化しても、世の中が変化するたびに大幅な変更を加える羽目になります。
これでは意思決定も遅くなりますし、軌道を修正する際の時間と労力も大きくなってしまいます。
だからだいたいの「あたり」をつけて、当てずっぽうで生きるのです。
これなら状況に応じてスピーディに判断が下すことができ、かつ「なんとなくよさそう」程度の入れ込みようなので、予想が外れてもすぐに方向転換ができます。
一見テキトーに思えるかもしれませんが、実は今の時代に合った思考方法なのです。
「当てずっぽう」で生きてみよう
未来について、難しく考えることはいくらでもできます。
でも個人レベルの未来を予測するために、最新の技術や理論を駆使して考え込んでみても、結論が出るまでに時間やコストがかかりすぎますし、そのぶん予測が外れたときのダメージも大きすぎます。
だからこそ、あまり時間をかけずに「だいたいこっちかな」で道を選ぶ、当てずっぽうの生き方のほうが理にかなっているのです。
ついつい緻密に計画を立ててしまう人や、「予測が立たないから行動しない」という人は、まず当てずっぽうで動き始めてみましょう。案外色々なことがうまくいくはずです。
