「流行のダイエット」はもう止めよう!健康的に痩せるシンプルな方法

「流行のダイエット」では理想の体にはなれない

世間には選ぶのが面倒なほど様々な「流行のダイエット」があります。しかしたいていの場合、そうしたダイエットを安易に取り入れても理想の体を手に入れることはできません。

スーツがビシッと決まった、遠目から見ても活力に満ちあふれたビジネスパーソンになるには、単に痩せただけの貧相な体ではなく、適度な筋肉のついた脂肪の少ない体を理想とすべきです。

痩せただけの体では下手をすればパフォーマンスが低下しますが、理想の体になれば間違いなくパフォーマンスはアップします。以下では「流行のダイエット」の問題点を指摘するとともに、健康的かつ確実に理想の体を手にいれる方法を紹介します。

「流行のダイエット」がダメな理由


「流行のダイエット」の多くは単に痩せただけの貧相な体を作るだけのものです。以下ではそのうちいくつかのダイエットの問題点を解説します。

●「食べずに痩せるダイエット」の問題点

三食のうち一食をダイエット食に置き換える「一食おきかえダイエット」、原始人の食事を模倣する「パレオダイエット」、はたまた一日たった一食しか食べない「一日一食ダイエット」など、食べずに痩せるダイエット法は数え切れないほどあります。

ダイエット=減量の基本は摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくすることですから、食べる量を劇的に減らせば体重も劇的に減少します。その意味で食べずに痩せるダイエットを実践すれば、必ず痩せられます。

しかしこのダイエット法には大きな問題点があります。それは以下の二つです。

1.栄養不足により、脂肪だけでなく筋肉も落ちてしまう。
2.「食べない」を長期間続けることは難しいため、リバウンドしてしまう。

私たちの体は食べ物から摂取する栄養で作られています。筋肉は主にタンパク質から作られますが、糖質やビタミン・ミネラルも必要不可欠です。食べないことで摂取カロリーが消費カロリーを下回ると、体脂肪がエネルギー源となって燃やされます。しかしこのとき同時に筋肉もエネルギーとして分解されてしまうのです。

また運動をすれば筋肉の繊維は壊れますが、栄養不足の状態ではこの修復もできません。結果、目標体重に到達したころには脂肪も筋肉も落ちてしまい、痩せただけの貧相な体になってしまいます。

さらにもともと食べるのが好きな人が食べずに痩せるダイエットを採用すると、常に我慢をしてダイエットをすることになります。我慢するほど食べることへの想いは高まっていくため、いつか限界を迎えます。

結果暴飲暴食をしてしまったり、目標体重になったからと食べる量を戻してしまったりすると、リバウンドしてしまいます。

また食べるのが好きな人でなくとも、食べないことには限界があります。人間の体は食べ物から得たエネルギーで動くからです。ライフスタイルそのものが変われば話は別ですが、そうでなければ食べずに痩せるダイエットには本質的に無理があるのです。

●他にも「痩せた気がする」だけのダイエットは多い

食べずに痩せるダイエット以外にも、一見効果があるようで理想の体から離れて行ってしまうダイエットはたくさんあります。近年爆発的な流行を見せている「炭水化物抜きダイエット」もその一つです。

確かにこのダイエットは開始当初、急激に体重が落ちます。もともと炭水化物を摂取しすぎていた人なら、1ヶ月で10kg近くの体重減に成功する人もいます。

もちろん摂取カロリーが消費カロリーを下回っている場合もあるでしょうが、それだけではここまでの急激な体重減は期待できません。体脂肪1kgが7,200kcalと言われていますが、体脂肪だけが10kg減ったとすれば1ヶ月で72,000kcalも摂取カロリーが消費カロリーを下回ったことになります。

厚生労働省が2015年に発表している18歳以上の男性の一日の推定エネルギー必要量は2,300kcal〜3,050kcalです。仮に一日2,500kcalを摂取するとしても、1ヶ月で72,000kcalを食事だけで節約しようと思えば約29日は断食が必要です。

これは減少した体重のうちほとんどが「体脂肪以外」のものだということです。この体脂肪以外のものとは、炭水化物と結びつきやすい水が大半を占めていると考えられます。

また炭水化物の摂取量が減ると、筋肉にエネルギーを蓄えられなくなるため、筋肉の張りもなくなります。結果、炭水化物抜きダイエットは微々たる体脂肪と大量の水分、そして筋肉の張りを失った貧相な体につながるのです。

もちろん炭水化物ダイエットも正しく行えば効果はあります。しかしだからと言って「他のダイエットよりもラク」というわけではありませんし、安易に取り入れている限りは求める結果は得られません。

他にも「サウナダイエット」や「サランラップダイエット」なども痩せた気がするだけのダイエットです。これらは結局体の水分を出して「体重が減った」というだけのダイエットなので、実質的な効果はほとんどありません。

痩せるダイエットの基本はたった二つ

日本体育大学教員で自身もボディビルダーである岡田隆さんは著書『除脂肪メソッド ハンディ版』の中で、脂肪だけを落として筋肉をつける除脂肪メソッドを構成する8枚の「カード」を紹介しています。

以下ではその最も基本となる二枚のカード「カロリー調整」と「PFCバランス調整」について解説します。

●カロリー調整


最初に行うべきはカロリー調整です。といってもやみくもにカロリーを減らすわけではありません。まずは太りも痩せもしない、自分のベースラインカロリーを以下の手順で見極める必要があります。

なお、以下の手順は岡田さんの除脂肪メソッドを、より実用的にアレンジしたものです。

1.体脂肪率の目安を測定する。体組成計の測定は不安定なので、一週間同じ条件(条件が安定しやすいのは起きてすぐ.)で測定し、その平均値を取る。
2.次の式を使って除脂肪体重を計算する。「体重−(体重×体脂肪率)」
3.除脂肪体重に以下の表を参考に係数をかける。
表作成
4.計算結果がベースラインカロリーの目安となる。
5.一週間ベースラインカロリーで食事を進め、体重の増減を見る。
6.体重が増えればベースラインカロリーを下方修正、体重が減れば上方修正する。
7.体重が増減しないカロリーが今の自分のベースラインカロリーとなる。

習慣的に筋トレをしている人ならベースラインカロリーを守っているだけでも脂肪が減り始め、脂肪に隠れた筋肉が見え始めてきます。筋トレをしていない人や今後もする気がない人の場合はそれだけでは脂肪が落ちにくいので、ベースラインカロリーから5%〜10%ほど摂取カロリーを減らしていく必要があります。このときくれぐれも摂取カロリーを減らし過ぎないこと。さもないと貧相な体へまっしぐらです。

カロリー管理にはスポーツアパレルメーカーのボディーメーカーがリリースしているアプリ「Myfitnesspal」が圧倒的におすすめです。体重目標やカロリー目標の設定だけでなく、もう一枚の基本カードであるPFCバランスの目標設定も可能です。

またデータベースにアップされているものなら、バーコードを読み取るだけで食べたもののカロリーや栄養素の入力が完了します。このアプリの利用を続けていると、徐々に「自分が今日何をあとどれくらい食べればいいか」がわかってきます。

忙しいビジネスパーソンだからこそ、このアプリを使って食事の内容でいちいち悩む時間をカットしましょう。

●PFCバランス調整

カロリー調整を一ヶ月続けても効果が見られない場合は、PFCバランス調整に入りましょう。PFCとは「Protein(タンパク質)」「Fat(脂質)」「Carbohydrate(炭水化物)」のこと。

これらのバランス調整をカロリー調整と併用すると、かなりの効果が期待できます。PFCバランス調整の手順は以下の通りです。

1.脂質の総摂取量を一日の総摂取カロリーの20%に設定する。脂質は1gあたり9kcal。
2.タンパク質の総摂取量を「除脂肪体重×2(g)」で計算する。
3.一日の総摂取カロリーから脂質とタンパク質の総摂取カロリーを差し引く。タンパク質は1gあたり4kcal。
4.3の数値を4で割った数値が、炭水化物の総摂取量となる(炭水化物は1gあたり4kcal)。

例えば一日の総摂取カロリーが1,800kcalだった場合、脂質の総摂取カロリーは360kcalとなり、総摂取量は40gとなります。これは生卵なら約七個分、マックフライポテトならMが二つ分です。

一方、タンパク質は除脂肪体重が50kgだった場合100gとなります。これは鶏胸肉や豚フィレ肉、牛フィレ肉などの脂質の少ない肉類で言えば約450g前後です。1800kcalから脂質の360kcalとタンパク質の100g×4=400kcalを差し引いた数値は1,040kcalです。

これを4で割ると260となります。したがって炭水化物量は260gです。これは炊いた白米に換算すると約700g、2合程度となります。

このように「何をどれだけ食べられるのか」を最初の段階で把握してしまえば、「何を食べるべきか」と悩む必要もなくなります。はじめは面倒で「忙しいのにこんなことやってられるか!」と思うかもしれません。

しかし少し続ければ今までどれだけ食事内容を悩んでいる時間を無駄にしてきたかが実感できるはずです。

ところで、一度自分のPFCバランスを「Myfitnesspal」で計測してみると分かりますが、外食に頼っている人は注意しないとすぐに脂質過多になります。

脂質の塊である鶏肉の皮が美味しいように、脂質は単純に美味しさを演出できるからです。逆に言えば脂質を適度に制限し、筋肉の栄養源であるタンパク質をしっかり摂取していれば、蓄えられる体脂肪は以前に比べて減少します。そうなれば自然と体脂肪は減っていくでしょう。

体が変われば人生も変わる


動作が遅い古いパソコンを、動作が速い最新のパソコンに変えるだけで仕事の質は劇的に変わります。同じように脂肪で重くて動きの鈍い体を、無駄な脂肪のない筋肉のついた体に変えれば、人生そのものが変わっていきます。

体が軽くなれば運動もしたくなり、運動をすれば筋トレでなくとも筋肉は少しずつついていきます。その頃にはもっと色々な変化が起きているはずです。ダイエットはそのためのきっかけに過ぎません。

消えては生まれる流行のダイエットに振り回されるのはもうやめて、健康的かつ確実に痩せられるシンプルなダイエットを取り入れましょう。

参考文献『除脂肪メソッド ハンディ版』
Career Supli
人生を変えたいなら筋トレを始めるのが一番間違いないと思います。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部