ダイエットを成功させるために知っておきたい「認知と行動」

ダイエット失敗の原因は?

ダイエットデザイナーの相澤です。最近は専ら認知行動療法に関連することばかりを考えています。「認知」については深く掘り下げるほど、思考はより抽象度を増していきます。

「なぜ?」を繰り返すのは疲れますし、眠たくなるのですが、それでも「認知と行動の関係を紐解く」ことは、ダイエットを成功させるには一番重要な本質の部分なので避けて通ることはできません。

皆さんからダイエットの相談を受ければ受けるほど、ことごとくダイエットに失敗している「お手軽簡単なテクニックマニア」な人はもれなく、この「本質」の部分をないがしろにしていることを痛感します。

「認知」=「価値観・先入観・イメージ・ものの捉え方や考え方」

はっきり言って、これが歪んでいる限り、ダイエットにとって良い方向に行動を変えようと思っていてもうまくはいきません。しかしながら、「認知を正した」からといって、それでダイエットが成功するのかと言えば、そうとも限りません。

いつも私たちには「分かってはいるけれどやめられない」ことがあり、ジャンクフードがダイエットの大敵だと心から思っているはずなのに、ついつい誘惑に負けて食べてしまうなんてことは誰もが経験済みのことだと思います。

「正しい認知が行動を変える」とは言いますが、最終的に「その行動を選んでいるのはあなた自身である」ことも、もうひとつの重要な事実として忘れてはいけません。

「正しい認知」があり、「正しい行動を選択するあなた」がいる。そこから「正しい行動」が生まれる。

「正しい認知」→ 「正しい行動を選択するあなた」→「正しい行動」

この順番、これを理解することがダイエットを成功させる一番のポイントです。今回は、認知と行動についてもう少し掘り下げて考えていきたいと思います。簡単に言うと「どちらにしようかな?」という「選択」についてのお話です。

「選択」のシーンは誰にでもある

iStock_000067639641_Medium 2

アメリカでは、子どもを(日本に比べたら)早い段階で責任のある大人とみなし、子ども自身の選択の力を養うよう教育しているように思います。筆者は海外ドラマが好きでよく観ているのですが、「選択」について語られているシーンがあったので、その中から3つほどご紹介します。

1.母親から娘への助言。ゴシップガールより

母親
(悪いことをしたと謝罪した娘に対し)
「謝っても解決にならない。
日々の選択があなたという人間を作っていくのよ。
だから私に謝るより今の自分が好きか考えなさい。」

2.神父から人気ベーシストへの助言。LOSTより

ベーシスト
「この業界(音楽業界)は誘惑が多いんです。分かりますよね?」

神父
「誘惑はだれにもあるが屈するのは君の選択だ。
人生とは選択の繰り返しじゃないかね?」

3.母親と太りすぎの息子との会話。LOSTより

母親
(急に倒れた息子に対し)
「ジャンクフードばかりで運動しないからよ。」

「チキンをつまむ時しか体を動かさず、毎日、
仕事が終わればテレビ漬け。生活を変えなさい。
他人任せかい?なら、毎日お祈りしてみな。
イエス様が脂肪を取り去り、恋人と新車でもくれるかもね。」

息子
「俺は、この生活が好きなんだ。」

これらのシーンから、筆者が「選択」について何を言いたいのか、だいたい分かっていただけたのではないでしょうか。

人生においてひとつひとつの「小さな選択の結果」はまた原因となり、積み重なりやがて「より大きな結果」としてあなたに影響を及ぼします。だからこそ、日々なんとなく行っている「選択」に、もっと慎重にならなければいけないのです。

誘惑に負けて、良くない選択をしてしまったとしても、そこに「選択肢」があったことに気付いているのです。もう一度、上の3つのシーンのやり取りを読み返して考えてみてください。

あなたは「日々の選択」や「選択の繰り返し」を感じて生きていますか?面倒な選択を知らず知らずのうちに、「他人任せ」にしてしまっていませんか?もしそうだとしたら、まずは「選択肢がある」ということに意識を向けて、日々を過ごしてみるとよいかもしれません。

日々の「選択」を数える

iStock_000070513897_Small 2

それでは、我々は日々いったいどれだけの選択を繰り返して生きているのでしょうか?「選択肢」の存在に気付くことができたら次は、「選択の数」を具体的に数えてみましょう。

とはいえ、全てを数えようとしたらキリがありませんから、ここでは、もちろん「ダイエット」のさらに「食事」にテーマを絞ります。

このとき「イエスノーチャート」を頭の中でイメージしてみると分かりやすいかもしれません。イエスだったらこっち→、ノーだったらこっち→と辿って行って最後に結果診断がある、アレです。

≪例≫

朝起きて朝食を食べる?食べない?

食べる場合はパン?ごはん?

食べない場合は昼食をがっつり食べる?ヘルシーランチ?

昼食はサラダから食べる?好きなものから食べる?

友達のおかわりに続いて自分もおかわりする?やめとく?

3時のおやつは食べる?食べない?

食べる場合は和菓子?洋菓子?

このように、私たちは毎日毎時間単位、分単位、もっと言えば秒単位で、何かしらの選択を繰り返しています。その量は膨大なため、脳は毎回、選択を迫られる度に考えるという負荷を避けるため、前回選択したものに関しては同様の選択をして負荷を減らそうとします。

こう選択を迫られたらこうするといったように、思考がパターン化していきます。そして、パターンはいつのまにか「習慣」になっていくのです。

もちろん、「習慣」は良いものであれば、いちいち考えて選択している時間を別のことを考えることに使えますから、効率的であると言えます。

例えば、イチローは毎回打席に立つときは、同じ所作をすることで、余分な思考を排除しています。スティーブ・ジョブズもいつも黒のタートルネックにリーバイスのジーンズ、ニューバランスのスニーカーと、コーディネートをパターン化することで、毎日服を選ぶ時間をもっと生産的な思考に充てていたそうです。

あなたの「選択のパターン」は良いものですか?

iStock_000062187690_Medium 2

一度、上の例のようにあなたの一日の選択を数えてみて、いつもどのような選択をしているのか、その数と傾向を客観的に眺めてみるといいかもしれません。
選択の数を数えてみると、いつもあなたが行っている選択が、あなたにとって良いものか、良くないものかが見えてきます。当然、良くない選択に関しては、改善したいという思考が働きますから、次回同じような選択に直面した時は、「選択肢」に気付きやすくなります。

しかし、選択肢に気付いたからといって、最善の選択ができるとは限りません。疲れている時やストレスがたまっているときは誘惑に負けやすくなりますから、特に注意が必要です。

ここで良くない選択をしてしまわないためにどうすればよいかというと、一度「選択の前に立ち止まってみる」ことです。「誘惑」とは「寄せては返す波」のようなもので、常に一定ではなく、強く感じる時もあれば弱く感じる時もあります。ですから、選択に直面し、その時に誘惑の津波に襲われたとしても、そのまま流さてしまわないように踏ん張ってみましょう。

具体的には、コンビニでスイーツをカゴに入れる前に一度ananでもCanCamでも立ち読みしましょう。アマゾンや楽天ショップで決済ボタンをクリックする前に一度寝てしまいましょう。すると不思議とさっき感じたほどの誘惑は無くなっているはずです。そこですかさず最良の選択をすればよいのです。

・10秒待ってみて、それでも欲しかったら買う。
・10分待ってみて、それでも食べたかったら食べる。
・1日待ってみて、それでもやりたかったらやる。

このように自分なりのルールを決めてみるのも良い方法です。もしダイエットの神様がいるとしたら、どのような啓示を与えてくれるでしょうか。

「ちょっとちょっとあなた!そっちじゃないよこっちだよ~!」

こんな声が聞こえてこればいいのですが、人生はそんなに甘くはないようです。たぶん、ダイエットの神様はいつもあなたが選択する様子を、じっとほくそ笑みながら、見守っていることでしょう。ダイエットの神様がいるとしたら、どちらを選択するでしょうか。そんなことを考えながら生活してみてください。

Career Supli
そろそろ夏に向けて本気だしますか。
[文]ダイエットデザイナー相澤 辰典 [編集]サムライト編集部