Contents
- 「デザイン」の何を知っているか
- デザインが知りたい人におススメの書籍15冊
- 1. 『なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉』
- 2. 『7日でできる思考のダイエット』
- 3.『センスは知識からはじまる』
- 4. 『デザインのデザイン』
- 5. 『表現の技術―グッとくる映像にはルールがある』
- 6. 『デザインの魂は細部に宿る 』
- 7. 『ノンデザイナーズ・デザインブック』
- 8. 『デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング』
- 9. 『いいデザイナーは、見ためのよさから考えない』
- 10. 『Typographic System(美しい文字レイアウト、8つのシステム)』
- 11. 『欧文書体デザインの世界 (アイデア・ドキュメント)』
- 12. 『マスターショット100 低予算映画を大作に変える撮影術』
- 13.『デザインのひきだし 25 保存版・紙の加工大全』
- 14. 『ページと力―手わざ、そしてデジタル・デザイン』
- 15. 『デザイン思考が世界を変える』
- 「デザイン」の世界を広げよう!
「デザイン」の何を知っているか
オリンピックのスタジアムやロゴの問題について連日ニュースで報道されましたが、私たちは「デザイン」について何を知っているでしょうか?デザインとは絵を描くことばかりではありません。
見過ごしがちですが、実は「デザイン」は私たちの周りに溢れかえっているのです。そんな「デザイン」の作り方・考え方、あるいは見方などを勉強できるとっておきの15冊を選びました。デザインとは一体何なんなのか考えてみましょう。
デザインが知りたい人におススメの書籍15冊
1. 『なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉』
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擬人化したり、言葉を絵に置き換えたり、グラフにしたり、チャートにしたり、あるいは色を加えてみたり。デザイナーたちがデザインをする上でどんな概念や決まりごと、あるいはプロセスを用いているかをタイトル通り「目で見て楽しむ」本です。
第3部「デザインの素」では「文字と組み」など読み物についてのデザインにも触れていますが、この本自体のデザインもとても秀逸。その節を読みながらこの本自体を客観的に眺めればさらなる「なるほど」が得られるでしょう。
2. 『7日でできる思考のダイエット』
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2020年の夏季オリンピック東京大会のロゴ問題で話題になった佐野研二郎さんの本。デザイン界の問題を浮き彫りにした今回の騒動ではありましたが、事実佐野さんはサントリーの「グリーンダカラちゃん」やトヨタ自動車の「TOYOTA ReBORN」などの誰もが覚えているCMのアートディレクターでもあります。
先入観は捨ててこの本の内容に耳を傾ければそこに「デザイン」を作り上げるための思考法や時間管理術が見えてくるはず。
3.『センスは知識からはじまる』
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「くまモン」のアートディレクションを務めた水野学さんの「センス」を学ぶ本。センスとは何も天から授かった能力などではなく、時と場合に応じて最適なデザインを提供するスキルであり、それをするためにはできるだけ多くの引き出し(=知識)が必要なのだ、本書はそう語ります。「私にはセンスがある」「あなたはセンスがあるからいいよね」といった言葉を使ったのことのある人には必読の書です。
4. 『デザインのデザイン』
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「無印良品」や愛知万博のプロモーション担当、横尾忠則さんがかつて在籍した日本デザインセンターのトップも務める原研哉さんの本。ごくごく日常的なモノを少しだけ違う角度から見ることで目から鱗のデザインを生み出す「リ・デザイン」というコンセプトなどについて、多くの事例を引いて丁寧に解説しています。本書の軸には「デザインとはいったい何か?」という壮大なテーマがありますが、読み物としても面白く読める内容になっています。2004年のサントリー学芸賞・芸術・文学部門受賞作。
5. 『表現の技術―グッとくる映像にはルールがある』
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「オランジーナ」「サントリー オールフリー」「行くぜ、東北。」など誰もが覚えているCMを手がけ、佐野研二郎さんの五輪エンブレムの選考委員ということで昨今注目を集めた高崎卓馬さんの本。タイトル通り映像におけるデザインのメソッドについて書かれてあり、自身の作品を例に具体的な技法についても言及しています。「デザインは理論から生まれる」。デザインが天才にしかできないものだと思っている人には目から鱗の1冊です。
6. 『デザインの魂は細部に宿る 』
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美しい装丁の本を数多く作っているパイ・インターナショナルが、一流のデザイナーたちへの取材を基に、彼らがどんなにデザインの「細部」にこだわり抜いているかに迫った本。もちろん「ここにこだわってます」といった投げっぱなしの内容ではなく、1つ1つポイント別に解説しているので、デザインのメッセージがいかに細かな部分にまで込められているのかが納得できるはずです。掲載作品は広告・書籍やパッケージなどあらゆる分野のもの100点以上。見ているだけでも楽しい1冊です。
7. 『ノンデザイナーズ・デザインブック』
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本書はデザイナーにとっても、そしてデザインの門外漢(ノンデザイナー)にとってもバイブルと言っていいほど重要な本とされています。デザインの4つの基本原則を良い例・悪い例と具体例を挙げながら解説しているため「何がいいデザインで何がそうではないのか」が納得できるはず。デザインを見る際、あるいは作る際に必要な基本的な視点やテクニックが多数盛り込まれており、読み終わった頃には少しだけ「デザイナー」に近づいた気分になれます。
8. 『デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング』
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「習うより慣れよ」という言葉がありますが、本書は「習いながら慣れよ」とでも言いたげな内容になっています。スポーツや楽器の演奏と同じように、デザインにも反復練習が必要で、かつ理論をしっかり理解していることが重要です。
しかしデザインの素人が突然「じゃあデザインのトレーニングをしよう」と思い立っても何からはじめていいのやらわかりません。そのためにこの本は実際に手でデザインをしながらデザインを考えるというスタンスをとっています。CD-ROMが付属しており、各トレーニングでのIllustratorの素材と完成作品のファイルが収録されています。
9. 『いいデザイナーは、見ためのよさから考えない』
著:有馬 トモユキ
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アニメ「アルドノア・ゼロ」のアートワークなどを手がける経営学部出身のデザイナー・有馬トモユキさんの本。本書もデザインを「センス」「絵心」といった言葉で片付けず、問題解決のためのツールの1つと考えようというスタンスで書かれています。
題材にはアニメやスマホアプリなどのどちらかといえば若年層に馴染みのあるものをチョイス。判型が新書なので値段も手頃。読みやすいのが大きな魅力の1つです。
10. 『Typographic System(美しい文字レイアウト、8つのシステム)』
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数多くの美術家を輩出している米リングリング・スクール・オブ・アート・アンド・デザインで教鞭を執る著者が書いた本。「中軸」「放射」「グリッド」「モジュール」など8つのデザインのシステムを1つ1つプロの作品と学生の習作を例に挙げながら解説しています。
この本で全てのデザインの法則がわかる!とまではいきませんが、世の中に溢れる「デザイン」と呼ばれるものを分析するにあたってはかなり役立つ1冊です。同時に「デザインはひらめきだけで作っているわけではない」ということもわかるはず。
11. 『欧文書体デザインの世界 (アイデア・ドキュメント)』
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デザイン誌『アイデア』で2000年以降掲載された特集記事約20本をピックアップし、収録し直した本です。デザイナーへのインタビューや研究者の論考、そして各デザインプロジェクトの詳細な解説を通して、欧文フォントのデザインを徹底して知ることができます。
その分量は約350ページ!ここまで紹介してきたものとは違い、「文字デザイン」の中の「欧文フォントデザイン」という1つの分野に特化してデザインを考えられる1冊。「たかが文字って思っていたけれど、文字ってすごい」と感動すること間違いなし。
12. 『マスターショット100 低予算映画を大作に変える撮影術』
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ドラマやコメディ、ミュージックビデオに短編・長編映画作品などを手がけてきたクリストファー・ケンワーシーさんの「映像デザイン」の技術に特化した1冊です。
実際の映画シーンを例にとって、100通りのショットの方法と、それが見る側にもたらすイメージの変化について解説しています。映画好きの人が読めば「なるほどそういう意図でこのカットが出来上がったのか」とより深く映画を楽しめるようになるはず。
13.『デザインのひきだし 25 保存版・紙の加工大全』
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折る、抜く、削る、貼る、凹凸を作る……あらゆる「紙の加工」について、写真と図解、工場見学記事に豊富な実物サンプルまでつけて徹底的に解説した「紙マニア」のための本です。何気なく手にする「紙」がどのようにして加工され、そしてそれがデザインとして命を持つのか。何も考えずに生活していれば見逃してしまう「紙をデザインする」という視点を、これでもかというほど堪能できる1冊。
14. 『ページと力―手わざ、そしてデジタル・デザイン』
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ページの多いパンフレットや雑誌などの紙面構成を考えるエディトリアルデザインという分野の本。内容の難易度はやや高めで、抽象的な話も多いものの、1冊の雑誌を作るのに「こういうコンセプトの雑誌だから文字と文字の間の感覚はどれくらいで、脚註は下ではなくて上に入れて……」など気の遠くなるような「デザイン」が込められているのを知るだけでも一読の価値ありです。
「デザイン」を文学・芸術や現代文化・社会にまで広げて論じているので、読み物としての面白さは際立っています。
15. 『デザイン思考が世界を変える』
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最後に紹介するのは「デザインをする際に必要な思考方法はデザインの分野のみにとどまらない」とする著者が、デザイン思考の重要性を語った本です。ここまで見てきた通り、デザインは「ひらめき」や「センス」「才能」といった言葉で片付けられるものではありません。
緻密な論理と知識、それらが前提となってようやくアイデアが形になるのです。デザインの門外漢が、デザインを「武器」の1つに加えるための好著。
「デザイン」の世界を広げよう!
これらの15冊は、読めばあらゆる角度から「デザイン」を見ることができるように選びました。しかし「これでは物足りない!もっと読みたい!」という人もいるでしょう。
そんな人におすすめなのはロンドンのGodfrey Designのディレクターを務めるジェイソン・ゴッドフリー の著書『デザインを知る世界の名著100』です。この本を読めば、あなたの中のデザインの世界はさらに広がるはず。さあ「デザイン」をもっと楽しみましょう!
[文・編集] サムライト編集部