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なぜ課金する?有料コンテンツ
食べログ、ニコニコ動画、ナビタイムやルナルナ。インターネット上には無料で利用できる便利なサービスが溢れています。
利用者が増えると、次に目立ってくるのが、毎月一定のお金を払うことでより良く、便利なサービスを受けることが可能になる有料コンテンツです。
その中でも4年間で3倍の有料会員数を獲得した「クックパッド」に焦点を当てて、無料コンテンツでも十分便利なのに、なぜユーザーは有料コンテンツに課金するのか?について考えてみましょう。
指先一本で決済できる有料コンテンツ

有料コンテンツは、インターネットビジネスで高利益率を獲得できる最も有力な手段の一つです。上記で挙げたいずれのメディアも初めから課金サービスがあった訳ではありません。
CGM(Consumer Generated Media=ユーザーの投稿などで成り立つコンテンツ)のほとんどは、ある程度のコンテンツ量が溜まった後に、それを並び替え、検索ができるような付加価値を与えるため課金制度が設けられた、ということがほとんどです。
課金をすることでより多くのコンテンツの閲覧ができたり、自分のニーズにマッチした情報を得られる、キュレーションという方法で有料会員を増やすという手もあります。
パスワードや指紋認証で簡単に決済が行える今、課金をするという行動がより身近で、手軽なものになってきています。
月額300円ほどで調べる時間を短縮できるサービスを受けられるなら、払っても良いんじゃないか、というユーザーが増えてきているのです。課金するユーザーには「時間をお金で買う」という意識があるのかもしれません。
4年間で3倍!クックパッド有料会員数

皆さんよくご存知であろうレシピ投稿サイトのクックパッド。冷蔵庫に残った食材で一品おつまみを作りたい!なんて時に利用したことのある方も多いのではないでしょうか?
今や料理をする主婦の傍らにはクックパッドがあって当たり前。料理、家事に対する新たな価値を与え、生活になくてはならないサービスとなっています。
クックパッドの主な収益は、有料会員からの課金収入と、サイト内の広告収入から成り立っています。月額400円もしくは280円の有料会員は順調に人数を増やし、昨年末には4年前の3倍の数字である150万人を突破しました。
利用者を増やすクックパッドの原動力は、その膨大なレシピ投稿数にあります。利用者がレシピを投稿し、そのコンテンツが話題になり新たな利用者を獲得する。料理本では再現できない「量の強み」がそこには存在します。
クックパッドが作り出した新しい価値

クックパッド人気の秘密のひとつに「つくれぽ」という機能があります。そのレシピを見て料理を作った人が、料理の写真を撮って簡単なコメントと一緒に報告する、というものです。「簡単でとてもおいしかった」「お店の味みたいにできました」などのコメントが書き込まれ、それが投稿者の励みになり、またレシピを投稿しようという意欲にも繋がります。
また、つくれぽが1000件以上投稿されると、そのレシピは「殿堂入り」として公式にピックアップされます。この「殿堂入り」というブランドを作り出せたことも、利用継続の勝因でしょう。
無料版では、こうして増えたレシピを新着順でしか見ることができません。より探しやすさを求め、人気順で見ることができる有料会員の登録数が増えるのは必然と言えるでしょう。
また、デイリーアクセス数ランキングや、ジャンル別の専門家厳選レシピを見ることができたり、MYフォルダの登録数上限が20件から3000件まで増えるなど、12個の機能が新たに追加されます。
クックパッドがこれだけ成功した理由には、レシピ検索の時間短縮だけではなく、「つくれぽ」や「殿堂入り」などの価値を作り出したことも大きく起因しているのです。
ああ、またつい手が…… 人はなぜ課金する?

課金コンテンツの分かりやすい例が、ソーシャルゲームです。
もう少しでイベントをクリアできそうなところでゲームオーバー。体力回復のためのアイテムやハートを購入すれば続きを進めることができます。人はその「あと少し!」といった欲望についつい課金してしまうのです。
クックパッドでも同じように、新着順でも美味しそうなレシピは出てくるけれど、人気順に並べ替えることができたらもっと効率よく探せるのに!とか、美味しそうな写真がサムネイルのレシピを見ようとしたら、それは有料会員専用のページだった!など、様々なフラストレーションが生まれます。
それらを痛手になる程の出費でもない、数百円程度のお金で一気に解消してしまえるのはユーザーにとって大変魅力的なのです。
不満の解消や、一度使ってしまったらもう戻れない、という気持ちを抱いてしまうと、継続的に課金をするようになります。皆さんにも、身に覚えがありませんか?
ラインのスタンプもその中のひとつです。「このスタンプかわいい!」「これなら人と被らないな」という気持ちが、購買意欲をいっそう掻き立て、購入へと促します。
サービスの継続利用、ひいては課金をしてしまう一番の原動力は「気持ち」なのです。
広がる課金コンテンツの今後
スマートフォンのアプリで簡単に決済が行える今、課金コンテンツが今まで以上に猛威を振るい、私たちのフラストレーションは指先一本で解決できるようになっているのです。
300円でひとつの物を買うか、多くの情報を買うか。社会は、後者を選ぶ価値観へと変化してきています。基本無料のアプリも、アプリ内課金があるものが多く、お金を払うことでより優れたサービスを受けることができる、というのが今のコンテンツの鉄板です。
多くの人の気持ちを感化する有料コンテンツが、今後成長していくのではないでしょうか。
[文・編集] サムライト編集部