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気合いだけで仕事はできない
何かと「気合が足りないんだよ!」とげきを飛ばす上司や先輩はいないでしょうか。しかしビジネスにおいて「気合」は最後の手段。そんな不確定なものに頼っていては真の一流にはなれません。
ここでは心身のコンディションを整えて、気合を出さなくても自分のベストを発揮するための10の視点を紹介します。ぜひとも生活に取り入れて、活力溢れる毎日を手に入れてください。
1.集中力をアップさせる食事法
集中力を散漫にさせる要因の1つに「鉄分不足」があるのをご存知でしょうか。鉄分が不足すると貧血を起こし、体がだるくなったり、疲れが取れにくくなるばかりか、酸素を運ぶヘモグロビンが減少して脳の機能低下を招くのです。
鉄分にはレバーや赤身の魚など動物性の食べ物に多く含まれるヘム鉄と、ほうれん草など植物性の食べ物に多く含まれる非ヘム鉄がありますが、吸収効率がいいのはヘム鉄。吸収効率を上げるビタミンCとともに摂取するとより鉄分不足対策になります。
2.疲労防止にローフードを活用する

アメリカでセレブなどが取り入れる食事が「ローフード(raw food=生の食べ物)」。生野菜や果物を指します。人体には消化酵素と代謝酵素がありますが、1日に体内で作ることができる酵素量には限界があります。加熱が必要な肉類や豆類、加熱処理がされている加工食品などは消化酵素を多く使うため、これらを食べ過ぎると代謝酵素に使うための酵素が不足してしまうのです。
すると代謝酵素の役割である呼吸や血流、排泄などの重要な生命活動がおろそかになってしまいます。ローフードには食べ物が本来持つ食物酵素が含まれているので、消化酵素の使用量が節約でき、結果疲労回復のための代謝酵素が多くなるというわけ。
3.呼吸で自律神経コントロールする
消化器官や体温調節など私たちが日頃意識せずにしている生命活動は、自律神経によって行われています。しかし過度なストレス状態が続いたり昼夜逆転の生活が続くと、自律神経が正常に機能しなくなり、倦怠感や不眠、動悸に頭痛、食欲低下などの原因となります。
これを解消するための方法の1つが「呼吸」。自律神経は横隔膜に密集しています。そのため長く深い腹式呼吸を繰り返し行うと、刺激を受けた自律神経がバランスを取り戻すとされています。
4.質のいい睡眠のための3つの物質

体はもちろん、心にも「睡眠」は欠かせません。この睡眠の質を上げる物質が3つあります。それはメラトニン、グリシン、トリプトファンです。メラトニンはスムーズな入眠をサポートする脳内ホルモンで、グリシンは眠りを深くするアミノ酸、トリプトファンは朝のスッキリした目覚めをサポートする必須アミノ酸です。
メラトニン以外は食事から摂取することもできますが、3つともサプリメントで摂ることもできるため、眠りに悩んでいる人は試してみてはいかがでしょうか。
5.自分に必要な睡眠時間を知る
「1日8時間」「90分の倍数時間」など睡眠時間については色々な説があります。しかし必要な睡眠時間は実は一概に言えず、年齢差や個人差が大きいことも事実です。脳波に基づいた調査によると、25歳は約7時間、45歳は約6時間半、65歳は約6時間と平均値は20年ごとに30分ずつ減少していくとされています。
日中の食事後以外の時間にも強い眠気に襲われるようなら睡眠不足の証です。継続して睡眠時間を記録するなどして自分にとって必要な睡眠時間を把握しておきましょう。そうすれば心身のコンディションはもちろん、タイムマネジメントもより効率的にできるようになるはずです。
6.心身のメンテナンスとしての筋力トレーニング

腹横筋や腸腰筋などの腰回りの筋肉の衰弱は腰痛を招く原因の1つであり、三角筋や僧帽筋など肩周りの筋肉の衰弱は肩こりの原因でもあります。これらが筋力トレーニングによって解消されれば、仕事効率も大幅にアップするはずです。
また2014年スウェーデン・カロリンスカ研究所が科学誌『Cell』に、「骨格筋への刺激がうつの原因物質とされるキヌレニンを解毒(purge)する」という内容の論文を発表しました。すなわち筋力トレーニングは心のメンテナンスにもなるのです。
7.生活に歩行禅(ウォーキングメディテーション)を取り入れる
「歩行禅」という思考の整理方法があります。『もう、怒らない』などの著書で知られる月読寺住職・小池龍之介氏なども言及している瞑想の方法です。歩行禅の歩行には目的地はありません。無目的にただひたすら歩くことで無駄な情報や思考をそぎ落とし、体の感覚だけに意識を集中させるのです。
小池氏は歩行禅を行う場所について「景色のいい場所などは必要なくむしろ部屋の端から端を行ったり来たりする方が適しています」と言っています。場所も道具も必要ないので、簡単に始められるのも魅力的なコンディショニング術です。
8.ココロのための「ウィークタイズ」活用法

ウィークタイズとは1983年にアメリカの社会学者によって提唱された言葉で、「たまにしか会わないが信頼のおける人との細く長い関係」を指します。仕事の延長線上にある人間関係では、しがらみや固定概念のせいで仕事上のストレスをうまく解消できないことが少なくありません。
しかしウィークタイズであれば違った角度からのアドバイスが受けられます。より仕事に打ち込むためにも、仕事以外の場所でウィークタイズを作っておきましょう。
9.心理カウンセラーを活用する
海外ドラマなどを見てもわかるように、欧米では一流のビジネスパーソンには必ずと言っていいほど専属の心理カウンセラーがいます。対して日本人の多くが持っている心理カウンセラーへのイメージは「心を病んだ人が行く場所」です。私たちは多かれ少なかれストレスを抱えながら生きています。
そのストレスを客観的に除去し、常にベストな心理状態でいるためにはメンテナンスが必要です。心理カウンセラーはそのためのプロフェッショナルなのです。不要な先入観は捨て、「ストレスの解消法がわからない」というような時は一度カウンセリングを受けてみましょう。
10.正しい心のセルフコンディショニング術

私たちはストレスを解消する時、ついつい「TAG」に走りやすくなります。Tはタバコ、Aはアルコール、Gはギャンブルです。これらの他にも薬物・セックス・買い物・ネットゲームなど依存性の強い物でストレスを解消するのは、上手な心のセルフコンディショニングとは言えません。
これらは脳に誤作動を起こさせ、むしろ心身を傷つけてしまいます。心をケアする時は「それが本当に自分の心を癒しているのかどうか」をじっくり考える必要があります。心は「楽しいこと」「ドキドキすること」を求めているのではなく、ただ安静にしていたいだけかもしれないのです。
効果の出ない自己啓発よりコンディショニング
心や体のコンディションを整えていれば思考がクリアになるとともに、色々な場所に出かけるエネルギーも湧いてきます。そうすれば仕事効率アップはもちろん、様々な価値観に触れる事で自己成長もできるでしょう。
効果の出ない自己啓発にお金をかけるよりも、コンディショニングに時間を割く方がよっぽどスキルアップになるのです。ココロとカラダのメンテナンス、はじめてみませんか。
参考文献『はたらく人のコンディショニング事典』
