遅読家を卒業しよう!読書スピードを劇的にあげる「流し読み」の作法

速読しなくても遅読家は卒業できる!

「読書好きなのに、本を読むのが遅いせいでなかなか進まない」という人は多いはず。そんな人は仕事が忙しくなれば、それこそ本を読む暇もなくなってしまいます。そんな悩みを解決するのがここで紹介するフロー・リーディング(流し読み)という読書方法。

これはなにも「速読術を身につけよう」というものではなく、遅読家の人たちが抱えている問題を浮き彫りにし、それを解決する方法です。この方法を身につければ、読書スピードが劇的に上がること間違いなしです。

なぜそんなに読むのが遅いのか?

「本は一文逃さず読まなければ内容がわからない」「本の内容は熟読するほど頭に入る」これらは遅読家に典型的な思い込みです。

この思い込みにしたがって読んでしまうと、特に意味のない部分にまで時間をかけてしまいますし、大事だと思ったところに線を引いたりしてしまいます。

しかし残念ながらいくら熟読してみたところで、ほとんどの内容は忘れてしまうもの。これではせっかくかけた時間も水の泡です。

遅読家はこの「熟読の呪縛」に囚われているせいで、読むのも遅ければ、時間をかけた割に得るものが少ないという状況に陥っているのです。

まずは「本は熟読するべき」という思い込みを捨てましょう。そこから遅読家脱出への道は始まります。

「はじめに・目次読み」で「読む目的」を見つける!

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「今日の夕飯は○○にしよう」と考えてからスーパーに行くのと、何も考えずに行くのとでは買い物にかかる時間は大きく変わります。読書も同じです。

「この本からはこういう内容を知りたい」という目的を持って読み始めるだけで、目的以外の内容を読み飛ばすことができるので、読書スピードは格段に上がります。

そのためにまず読むべきが「はじめに」と「目次」です。「はじめに」は「だいたいこんなことを書きますよ」という本の方向性を書く場所です。

そのためこの部分を読めば、概ね自分が知りたいことが書いていそうかどうかを判断できます。もし目的の内容が書かれていないような場合は読まない、買わないという判断もできるので、かなりの時間の節約になります。

目的の内容が書かれているようならば、次に読むのが目次です。目次は本の地図のようなもの。親切な本であれば目次を読むだけで何がどこに書かれているか、一目で理解できます。

目的の部分だけを読むもよし、目的の内容以外に気になる目次があるなら、そこも読んで構いません。大切なのは「この本からはこういう内容を知りたい」という目的を、「はじめに・目次読み」で明確にすることです。

「読み飛ばしてもいい部分」を知る

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「文章の構造上読み飛ばしていい部分」を知れば、さらに読書スピードはアップします。本の中で次の3つに該当する部分は、読み飛ばしてもまず問題ありません。

1.著者の自分語り

→似たようなジャンルやテーマの本が多いほど、著者の自分語りで他の本との違いを強調する必要があります。したがって「他の本との違い」を知りたい場合は別ですが、それ以外の目的でこの部分を読む意味はほとんどありません。

2.理論や主張の裏付けとなる「具体例・体験談」

→ビジネス書や自己啓発書の多くは「理論→具体例・体験談→理論(まとめ)」という形式で文章が構成されています。つまり具体例・体験談の部分は理論部分の説明でしかないのです。したがって読み飛ばしたとしても、著者が言いたいことは概ね理解できます。なお理論の部分だけでは理解しにくい場合や、根拠を知りたい場合はこの限りではありません。

3.読者の感情を「煽る」部分

→「この本を読めば〜になれる!」など、読者の感情を煽るような部分は、あくまで読者を「その気にさせる」ための仕掛けでしかありません。本の内容とはほとんど無関係なので、読み飛ばしてOKです。

「1ライン読書」で本のおいしいところだけを抜きだそう

「そんなに読み飛ばしていたら、読んでも何も残らないのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし本全体を熟読するよりも適宜読み飛ばしている方が、圧倒的に余計な情報が少ないのでよほど本の内容が頭に入ってきます。

この頭に入ってくる情報を、さらに明確化するのが「1ライン読書」です。1ライン読書は次の3つのステップで構成されています。

●1ライン・サンプリング

本の文章で気になった文章を、ノートなどに書き出すステップです。目で見て読むだけでなく、手で書くことにより、記憶への定着率が高くなるうえ、読み終わった頃には自分だけの「本の内容ハイライト集」が完成します。

書き出すときは冒頭にページ数を記載して、あとでその前後も確認できるようにしておきます。引用するときの原則は「なるべく短く」。段落丸ごとを引用したり、何文にもわたって引用すると時間がかかってしまうのでNGです。

●1ライン・エッセンス

1ライン・サンプリングで書き出した文章の中から、「最も素晴らしいと思う一文」を選び出すステップです。この1ライン・エッセンスが習慣化すれば、「本を読む=気に入った一文を探す楽しい作業」になるため、一冊を読むスピードだけでなく、次の本を手に取るまでのスピードも速くなります。

●1ライン・レビュー

1ライン・エッセンスで選んだ一文に対して、「なぜその一文が最も素晴らしいと思ったのか」をたった1行の感想にするステップです。本の内容と同じように、本を読んだ感想も時間が経つにつれ忘れていきます。これは1ライン読書を実践していても同じです。しかし1ライン・レビューを残しておけばその本の一番のハイライトである一文とともに、それに感動した理由も一緒に記録しておくことができるのです。

一冊の本から本当の意味で学べることは多くありません。その希少な一文を見つけ、確実に自分のものにするためにはこの「1ライン読書」がもってこいの方法です。

どこを読んで、どこを読まないかが大切

ここで紹介した読書方法はあくまでビジネス書や自己啓発書など、比較的「柔らかい」内容の本のためのものです。内容の「硬い」本や、小説などになると、この読書方法は通用しません。

こうした本は不用意に読み飛ばすと前後のつながりが全くわからなくなってしまうものが多いからです。

しかし「柔らかい」本に限って言えば、フロー・リーディング(流し読み)は速読術がなくても読書スピードが飛躍的にアップする読書方法です。ぜひともまずは「はじめに・目次読み」から始めてみてください。

参考文献『遅読家のための読書術 情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』
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1ライン読書は気軽にできるのでぜひ試してみたいですね。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部