デジタル世代の子どもたちの学習革命を促す「教育ビッグデータ」

タブレットを使う子ども

現場での実用段階に入った「教育ビッグデータ」

近年、IT業界だけでなくビジネス現場や企業でもよく使われるようになり、話題になっている「ビッグデータ」。総務省は「事業に役立つ知見を導入するためのデータ」と定義し、様々な企業が膨大なデータを分析し、自らの事業に役立てています。

そんなビッグデータが主流になりつつある中、特にその動向が注目されているのが教育業界です。紙からデジタルへのIT化が急速に進んでおり、もしかしたら、皆さんが子どものときと比較すると、驚くほど変わっているかもしれません。

とはいえ、それでも日本のICT(情報通信技術)を利用した教育は諸外国に大きな遅れを取っています。今回は、そんな教育ビッグデータ事情と諸外国に遅れをとっている理由、国や行政、企業の最新の取り組みに関してご紹介します。

こちらの動画では教育ビッグデータについて、ポケモンと絡めてわかりやすく解説をしているので、教育ビッグデータという言葉を初めて聞いたという方はご覧ください。

先進国なのに遅れてる?日本がICT教育に乗り遅れるある障害とは

Japanese_high_school_classroom

先にも紹介した通り、日本のICT教育は諸外国に比べて大きな遅れを取っています。

文部科学省の有識者懇談会がまとめた報告書によると、「生徒が課題や学級の活動にICTを用いる」指導実践を頻繁に行う教員の割合が、OECD(経済協力開発機構)の全調査参加国・地域の中で最下位であり、ICTを活用した教育について、各国と比べると遅れている現状が見受けられると指摘しています。

また、同省の「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」によると、教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数では佐賀県の4.3人である一方、埼玉県は8.4人と都道府県によって大きく差が開いています。その他、電子黒板の設置、デジタル教科書の設備、いずれも都道府県格差が激しいです。

このように、教員がICTを使って教えることが難しいこと、そして自治体によってICTの導入に対して温度差があることなどが、日本のICT教育の発展の妨げになっている大きな要因です。

ベネッセがタブレットを入会者全員に配布

チャレンジタッチ
画像引用:http://sho.benesse.co.jp/s/touch/support/

こうした国や行政の取り組みとは別に、民間企業もICT教育に参入しています。通信教育最大手のベネッセコーポレーションは、2013年から通信教育講座「進研ゼミ」を受講している小学生、中学生に対してタブレット端末「チャレンジタブレット」を配布しています。

メインのテキスト教材の副教材という位置付けですが、中身はかなりきちんとしている様子。耐久性に優れているだけでなく、学習中は書くことに最適な角度にセットできる、児童生徒に扱いやすいつくりになっています。

また、無線LANを使って毎月の教材をダウンロードしますが、保護者のメールアドレスとベネッセにしか繋がらない設計になっているので、安心安全です。

スペック
<メモリ> 16GB(ユーザー領域12GB)
<OS> Android 4.2.2
<液晶サイズ> 9.7インチ(1024×768ドット)
<本体サイズ> 縦191mm×横252mm×奥行16mm 重量:約750g
<バッテリー> リチウムイオン電池(充電式 6000mAh)

引用出典:進研ゼミ小学講座「チャレンジタッチ」タブレットの仕様

このタブレットの導入により、いままで以上に図形が見やすい、形がイメージしやすい、退屈しないなど、今までの紙媒体やPCでは成し得なかったメリットが生まれました。

そして何より、今までベネッセの最大の持ち味だった一人ひとりのレベルに合わせた教育が一段と迅速にできるようになりました。また、タブレット端末をいち早く導入したことから、これをきっかけに入会者も増えたそうです。

児童生徒の解答から解くまでにかかった時間、解いた日時などから、事細かに情報を収集、分析できる。まさにビッグデータを用いてこその効果が生まれた事例です。

教育ビッグデータ先進国の最新サービス

最後に、ビッグデータ先進国であるアメリカの最先端アイデアサービスの事例をいくつか紹介します。

GEOPALZ

geopalz
画像引用:http://geopalz.com/

子どもの運動を促すためのウェアラブルツール。特定のレベルに到達すると新たな遊びができるようになるなど、ゲーム感覚でトレーニングデータを管理することができます。

KIWI CRATE

kiwi
画像引用:http://www.kiwicrate.com/

4歳から8歳の子ども向けの学習意欲を刺激する「アート×クラフト×サイエンス」をコンセプトにしたDIYキット通販サービス。中身は届くまでのお楽しみになっています。

WONDER

wonder
画像引用:https://www.makewonder.com/

「コードはロボットと遊ぶための共通言語」というコンセプトのもと開発された、子ども向けプログラマブルロボット。使用することでロボットプログラミングの基礎を学ぶことができます。

ALTSCOOL

altschool
画像引用:https://www.altschool.com/

パーソナライズされた教育をかなえる「マイクロスクール」を複数運営し、学年をまたいだプロジェクトベースでの学習を支援するサービスです。

欧米諸国では以上のようなデジタル技術を活用した学習システムがすでに展開されており、今まさに、従来の教育から、デジタル時代を生きる子どもたちのための教育革命が起こっているのです。

Career Supli
ICT教育によってもたらさられる恩恵は数知れません。実験や天体など実際に目で見ることができない理科の授業などでは、紙媒体では伝えられないリアルなイメージを目で見ることができます。しかし、紙媒体教材にももちろんメリットはあります。いわずもがなですが、「書くこと」はすべての学習の基本です。反面、ICTでは書くことの減少、さらにはなんでも瞬時に検索できてしまうため、検索しても出てこない問題を「考える」時間が少なくなってしまいます。よって、ICTの最も効果的な使い道は、紙媒体との両立と言えるでしょう。これからさらなる実用化に向けて、法設備をはじめ、ICTの在り方を煮詰めていく必要がありそうです。
[文・編集] サムライト編集部

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