ほんの小さな一歩から、習慣は始まる
日々インプットの重要さについて意識しているビジネスパーソンに質問です。あなたは、毎日読書を継続できますか?……読書を習慣にしようとして挫折した記憶が想起された人も多いでしょう。
では質問を変えましょう。あなたは、毎日1ページだけ本を読むことができますか?……いかがでしょう。同じ読書でも、ずいぶん低いハードルに感じられたはずです。
意思の力だけでは困難な「習慣化」を容易にするのが、この「ベイビーステップ」です。赤ん坊がよちよちと最初の1歩を踏み出すように、まず本当に小さなことを習慣にすることで「良い習慣」の獲得につなげるのです。
1日5分以内でできる「ベイビーステップ」30項目をここにご用意しました。読み終えた瞬間から始めてみましょう。
健康を保つための11項目

1 5分昼寝
脳の疲れが取れ、注意力や記憶力が高まるとして有名な昼寝。GoogleやAppleなど多くのIT企業には仮眠スペースが設置され、昼寝が推奨されています。昼食後に仮眠を取って午後の仕事効率を上げる「パワーナップ」も知られていますね。
できれば15分〜20分間の昼寝が望ましいですが、まずはタイマーをセットして5分だけ目を閉じて休んでみましょう。脳を刺激から5分間遠ざけるだけでずいぶんスッキリしたことを感じるはずです。
2 腕立て伏せ5回・腹筋5回
筋トレの効果は健康増進効果や痩身効果、アンチエイジング効果など身体面のみに留まりません。テストステロンというホルモンが増え、自信がつき精神的にもタフになります。やる気も生まれ、脳の働きも活性化する筋トレ。取り組まないのは損だと言えます。
「腕立て伏せ3回、腹筋3回」は非常に軽い負荷に思われるかもしれませんが、これはあくまでベイビーステップ。確実に習慣化し、徐々に回数を増やしていきましょう。
3 5分だけジョギング
ダイエットといえば、ジョギングが大定番。カロリーを燃焼させ、その後太りにくくなるための基礎代謝も増やしてくれます。そのほかにも骨や心臓を強くし、心身相関によってストレスも解消できますよ。
とくに三日坊主になりやすい習慣のジョギングについては、タイマーで計って5分だけ走ってみましょう。朝起きてスマホをいじる前に、とりあえずシューズに足を通し、「5分だけ、5分だけ」という気持ちで外に出てみましょう。
4 階段を使う
ランニングや筋トレでも紹介しましたが、基礎代謝を上げるとエネルギー効率が良くなり痩せやすい体を作ることができます。そのために必要なのは、ランニングなど運動する習慣ももちろんですが、普段の生活から意識して体を動かすことです。
エレベーター・エスカレーターを避けて階段を使うのは、その一番の方法。階段の上り下りにはジョギングと同程度の負荷がかかります。加えて、意識すれば毎日ほぼ間違いなくできるお手軽さ。やらない手はありませんよ。
5 食べたものを簡単にメモする
ダイエットをする際には、いくら運動しようとも摂取するカロリーを減らさなければ意味がありません。1日に摂取したカロリーを記録する「レコーディングダイエット」で自分がカロリーを摂取しすぎていることを自覚して食べ過ぎを防ぎましょう。
まずは食べたものを簡潔にメモで書き出してみましょう。「朝:トースト2枚、目玉焼き、トマトジュース。昼:ハンバーガーMセット(ハンバーガー、ポテト、コーラ)。夜:生姜焼き定食」……おそらく1分もかからないはず。本来はカロリーまで算出しますが、まずはメモだけでも習慣化しましょう。
6 自販機で買うジュースを、水やお茶に変える
上でも説明した通り、ダイエットでは「消費カロリーを増やす」と「摂取カロリーを減らす」というふたつのアプローチが必要となりますが、摂取カロリーを減らすときに盲点となりがちなのが、飲み物。
一般的なジュースには100mlあたり40〜50kcalが含まれています。つまり、500mlペットボトルのジュースを飲むと、おにぎり1個(平均約200kcal以下)よりもカロリーを摂取したことになるのです。その選択の小さな差が、いずれ大きな差となるかもしれません。
7 3分間だけつま先立ち
健康方法としてはやや地味なつま先立ちですが、脚やせやむくみ解消、姿勢改善などさまざまなメリットがあります。また、ふくらはぎと腹筋が鍛えられることで腸のぜん動運動が活発になり、便秘も解消されやすくなるのです。
したがって、とくに便秘に苦しんでいる方は、ちょっとした作業(洗い物など)のときだけでも、つま先立ちをしてみてはいかがでしょうか?
8 1分間ストレッチ
日々デスクワークをしていると肩や首に負担がかかり、どんどん筋肉はこわばっていきます。筋肉がこわばっていると、たとえ休息を取ったとしても疲労は溜まっていく一方……。ストレッチをして筋肉をほぐすことが大切です。
最初は首や肩甲骨、背中など負担の大きい場所からゆっくりと筋肉をほぐしていきましょう。日々、肉体に予想以上の負荷がかかっていたことがわかるでしょう。寝る前、歯磨きをしながら1分間ストレッチをするだけでも、寝つきは大きく変わります。
9 朝食として、おにぎりを食べる
朝食は脳のエネルギー源。時間がないからといって食べなければ、午前中の本来集中できる時間帯でもイライラしてしまう恐れがあります。また、お腹が空くので昼食や夕食を摂りすぎ、肥満の原因になる可能性も。
朝食としておすすめなのは、おにぎりです。脳のエネルギー源となるブドウ糖を含んでいますし、どれだけ時間がなくとも手軽に(作業をしながらでも)食べられます。週末に作りだめをするか、コンビニで買って食べるようにしましょう。
10 低タールのタバコに変える
多くの人がタバコの害を知りつつも、その強い依存性によってなかなかやめることができません。これまで幾度も禁煙に失敗したという方も多いはず。
では、禁煙ではなく“減煙”ではどうでしょうか?つまり、禁止するのではなく、本数を減らすのです。昨日までより1本でも数を減らしたり、タール4mg→3mgのようにひとつタールが低いものに変えるだけなら、禁煙ほどは苦に感じないでしょう。
11 晴れた日は、オフィスから出て少し離れた場所で食事する
オフィスに社食があったり弁当を作ってきたりすると、ついオフィスに閉じこもってしまいがちですが、晴れている日は積極的に外に出て食事をするようにしましょう。
なぜなら、日光を浴びることで骨や歯に必要なビタミンDが生成され、高血圧や糖尿病、がんの予防にもつながります。さらに、日光には鬱々とした気分を解消する効果もあります。よく晴れた日には外に出て積極的に日光浴をしましょう。
知識を蓄えるための10項目

12 1ページだけ読書
娯楽としてだけでなく、日々のインプットツールとして欠かせない読書。さまざまな情報が分散しているインターネットに比べて、知識を体型的に学ぶことができます。日ごろ、上司から「本を読め」と口酸っぱく言われている方も多いでしょう。
難解な専門書などはどうしても集中力を続けるのが難しいですが、「1ページだけ」と決めていればどうでしょう?1ページ読んだらその先が気になり、2ページ目、3ページ目と読み進めていけるかもしれません。もし読み進める気持ちになれなければ、1ページで終えればいいだけの話です。まずは読書への抵抗をなくすところから。
13 英会話1日1フレーズ
海外旅行や海外赴任などの将来を考えると、英会話を身につけておきたいという人も多いでしょう。もし海外に興味がなくとも、これから2020年東京オリンピックに向けてどんどん訪日外国人が増えていきます。そんな状況で英語をまったく喋れなければ、思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。
とはいえ、すぐに必要な状況でなければなかなか言語は定着しないもの。まずは英会話を1日1フレーズだけ覚えましょう。1日1フレーズを何度も繰り返せば、確実に覚えられます。月に1回、覚えたフレーズの振り返りの時間を設けてもいいでしょう。
14 NHK WORLD RADIO JAPANを1番組視聴する
英語を実用的に使うには、もちろんフレーズだけではなく、相手の喋っている内容を聞き取れなければなりません。
その点でおすすめなのが、NHKが発信する国際放送、「NHK WORLD RADIO JAPAN」です。日本で起きたニュースを英語で海外に向けて発信しており、英語力が低くても内容の予想がつきます。時事にも強くなれるこの番組は1分程度のニュースからありますので、テレビ番組のCMの間にpodcastでサクッと観られます。
15 雑誌の特集だけ立ち読み
新たな視点やアイデアを得られるという点で、雑誌は非常に有用なツールです。とくに自分がまったく読んだことのない雑誌に載っている情報は、自分の志向が反映されるインターネット検索ではたどり着けない情報ばかり。きっとあなたの世界を広げてくれるはず。
ただ、いきなり読んだことのない雑誌を購入するのもハードルが高いので、まずは店頭で特集ページをパラパラとめくってみましょう。たったそれだけで、あなたが今まで聞いたことのないような単語や価値観が次々現れるでしょう。
16 1ページだけ、好きな本を音読
小学校以来、音読から離れて久しいという人には意外かもしれませんが、実は音読には脳を活性化させる効果があります。声に出して読むことで視覚だけでなく聴覚も使い、前頭前野(脳の、感情や記憶をコントロールする部分)が刺激されるのです。
まずはなんでもいいので、好きな本を家で1ページだけでも音読してみましょう。短期的な効果は実感しにくいかもしれませんが、話す力を伸ばすきっかけにもなります。音読すると黙読よりも記憶に定着しやすいので、仕事で使う本を使うのもおすすめです。
17 Yahoo!ニュースの見出しだけ一読
ビジネスの動向を見たり、お客様と世間話をしたりするには、ニュースのチェックが欠かせません。社会人ともなれば、最低限のニュースは知っていて当然。もし社会の動きを何も知らなければ、恥を書いてしまう恐れもあります。
ニュース番組を観る時間がないという方は、まずはYahoo!ニュースの主要トピックスの見出しを眺めるところから。記事の短い見出しの中には、新聞社や記者が伝えたい情報が込められています。これは新聞を読む場合でも同様です。「よほど興味を引いた見出しがあれば読む」ぐらいの軽い気持ちで読みましょう。
18 アイデアを1つ、メモ帳に書き留める
企画職やクリエイティブ職にとって、アイデアはいくらあっても枯渇していくもの。思いついたそばから消費し2度と同じものは使えない、無形の資産です。
アイデアは質よりもまずは量、とよく言われます。ブレスト段階ではアイデアをブラッシュアップすることに力を注ぐよりも、まず0からたくさんのものを生み出さなければなりません。だからこそ、ストックが大事。1日1個、(どんなにくだらなかったとしても)世の中にインパクトを与えそうなアイデアをメモ帳に書き溜めていきましょう。
19 TEDを1本見る
優れた知見は、文字のみで伝えられるものではありません。インターネット上の動画でも、世界中の識者の意見を参照できます。
とくにバンクーバーで開催される講演会の様子を配信している「TED」では、数多くの著名人のスピーチを観て刺激を受けられます。また、それだけに限らずプレゼン手法や英語リスニングの練習にもなるはずです。短いもので5分以下のものからあるので、通勤時間に観るのもおすすめ。
20 Evernoteに何を保存したか見返す

収集した情報をクラウドに保存し、自由に情報を取り出せるツール、Evernote。普段から情報収集するときに活用しているビジネスパーソンも少なくないはず。ただ、その高機能を使いこなせず、情報を整理せず“入れっぱなし”にしている方もまた、少なくないでしょう。
そこで、1日の終わりや翌朝、Evernoteにその日何を保存したのか見返してみましょう。1日のインプットの振り返りにもなりますし、見返すうちに「整理してみようかな」という気になれるかもしれません。逆に「整理するぞ!」と意気込むと続かないので要注意。
21 ショートカットキーを1日1個覚える
業務の効率化という点で意外にコストパフォーマンが高いのが、キーボードや各種ツールのショートカットキーを覚えること。ですが、実際に数十ものショートカットキーを覚えている人がどれほどいるでしょうか?「いつか覚えよう」とショートカットキーの一覧をブックマークして、忘れている人がほとんどでは?
この状況を解決するために、1日1個ずつでも確実にショートカットキーを覚えていきましょう。ショートカットキーは一度覚えると、なかなか忘れません。長い間、あなたの業務を支えてくれるはずです。
お金を貯めるための3項目

22 その日の分のレシートを撮影する
貯金を増やすためには、入ってくるお金よりもむしろ出て行くお金に気づくのが重要。あなたの貯金がいつまでも増えないのは、知らない間に多くのお金が出て行っているからかもしれません。
まずは1日の支出を把握するために、レシートは必ずもらい、それを1日の終わりにスマホのカメラで撮りましょう。近年ではカメラでレシートを撮るだけで家計簿をつけられるアプリが多くリリースされているので、活用するとよいでしょう。
23 1日1個何かを捨てる
できるだけモノを持たずシンプルな生き方をするミニマリストという生き方が流行して久しいですが、モノが減るとそのぶん心にゆとりが生まれます。できる限り無駄なモノのない環境に暮らすことで、本当に自分が欲しいものや、やりたいことを見つけられるのです。
そんなシンプルな生活を手に入れるためには、まず、モノでもデータでも1日1個、何かを捨てることを意識してみましょう。2年前に買ったボロボロのTシャツや、入れてから全然使っていないアプリなど、実はあなたの周りには「捨ててもいい」ものがたくさんあるはず。また、「捨てる」という行為を日常に取り込むことで、ひとつひとつのモノへの愛着が強まり、軽々とモノを買わなくなるはずです。
24 ご飯だけ炊く

一人暮らしで忙しいと、なかなか自炊もできず、外食やコンビニ頼りになっている人も多いでしょう。しかし、そのような食生活は長期的に見れば健康面でリスクをはらんでいますし、何より経済的ではありません。
まずはどれだけ忙しくてもお米を炊くところから。計量から炊飯器のスイッチを入れるまで5分もかからず終わるはず。おかずはスーパーやコンビニの惣菜でも大丈夫です。「弁当」ではなく「おかず」だけを買うと思いのほか節約できることがわかるでしょう。
精神を整えるための6項目

25 5分間瞑想
瞑想といえば、アップル創業者のスティーブ・ジョブズが実践していたことでも知られる、脳の休息法。心の動きを整え、疲れにくい脳を作ります。
朝起きたらまず椅子や床に座り、自分の呼吸のみに集中して「吸って」「吐いて」を繰り返しましょう。雑念が生まれたら、再度呼吸に意識を集中させます。ポイントは、「雑念を消そう」とするのではなく、「呼吸に集中しよう」とすること。瞑想の音楽を短時間流すアプリもありますので、まずは5分間だけ取り組んでみましょう。
26 1日1人褒める
上機嫌で人をよく褒める人の周りには、不機嫌で人をよく叱る人よりも圧倒的に多くの人が寄ってきます。単なるお世辞と思われないことが大事ですが、褒め続ければ相手と良好な人間関係を築けるでしょう。
ただ、「褒める」ことの効能を知っていても、照れくさくて日常的に人を褒め、肯定している人は少ないのではないでしょうか。まずは1日1人、何かしらの点で褒めることを意識してみましょう。「褒め」は相手のモチベーションもあなたの評価も自然と上げてくれる、魔法の言葉です。
27 デスク周りを掃除する

自分の身の回りは、心を映す鏡。部屋やオフィスを掃除することで来客に良い印象を与えられます。また、モノを置いた場所もすぐにわかり、心に余裕も生まれます。落ち込んだときに部屋を掃除してどことなく気分がスッキリした感覚を、多くの人が味わったことでしょう。
出社したら、まず自分のデスク周りを掃除してみましょう。ゴミを捨てたり、デスク上の物を引き出しにしまったり。1日の始まりを爽やかな気分で迎えましょう。
28 朝起きて家の周りを散歩
ゆっくり深く息を吸いながら歩けば副交感神経が落ち着き、心身がリラックス。毎日溜まっていくストレスが解消できます。また、朝に散歩をして日光を浴びれば体内時計が整い、正しい生活リズムを刻めるでしょう。
もしダイエットが目的なら30分程度はほしいところですが、ストレス解消を目的とするなら、朝起きて家の周りを5分だけ歩くだけでも十分。
29 日記を3行書く
1日を振り返って思考を整理する時間を持つために、日記は非常に有効です。あとから見返してその日の思い出に浸ることもできますし、1日の気づきを洗い出すのにも使えます。
順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんが著書で推奨しているのが、「3行日記」。「今日一番失敗したこと」「今日一番感動したこと」「明日の目標」の3つを1行だけ書くというやり方です。ペンを使って文字を書くことで気分が落ち着き、良質な睡眠が取れるようになるといいます。
30 パスワードを目標に変える
「アファーメーション」(肯定的な宣言)をご存知ですか?「私はこうする」とポジティブな言葉で宣言することで自分の潜在意識を説得して、行動や意思を変えること。
そのアファーメーションを簡単にできるのが、毎日使うパスワードを叶えたい目標に変えることです。「起業する」「家族を大事にする」などポジティブな言葉をパスワードとして毎日タイプし続けることで、あなたの潜在意識下にその言葉が刷り込まれるでしょう。
小さく始めて、大きな成功を
短くて10秒、長くて5分。ほんの小さな「ベイビーステップ」を本稿では紹介してきました。読んでいる途中で実践した人もいることでしょう。
幼いころから始めた歯磨きがあなたにとって欠かせない習慣になったように、このベイビーステップを使って、良い習慣を早速今から身につけていきましょう。大きな成功は、その先にきっとあります。
