「成果を第一に考えれば、成長やキャリアアップはあとからちゃんとついてくる」株式会社じげん新執行役員インタビュー

「成長するための方法」「キャリアアップできる人がやっている○○術」など、世の中には意識の高いビジネスパーソン向けの情報で溢れています。しかしどんなにテクニックを磨いても、本質を理解していなければ思い描くようなキャリアを実現することはできません。

今回お話を伺った株式会社じげんの新執行役員天野孝則さんは、2002年に新卒でリクルートスタッフィングに入社。2016年に株式会社じげんへ転職後は、グループ会社の代表取締役社長、昨年よりじげん経営推進部(人事・広報)の責任者を兼任するなど、経営の中枢に関わってきました。

2020年7月からは株式会社じげんの執行役員として複数の部門・グループ会社の管掌を持ち、より一層幅広い分野を担当されます。

以下では、一見してスマートにキャリアを歩んでいる天野さんに、ビジネスパーソンとして成長・キャリアアップするために大切だと思うことをお聞きするとともに、これからの時代にどのような働き方が求められるのかについてお話しいただきました。

<Profile>
天野 孝則(あまの・たかのり)
株式会社じげん 執行役員
2002年に株式会社リクルートスタッフィングに新卒として入社。さまざまなポジションを経験しながら、全社通期の最優秀マネージャー賞を受賞後、新たな成長の場を求め、2016年に株式会社じげんへ入社。当初からグループ会社である株式会社ブレイン・ラボの営業責任者として兼務出向し、2017年10月には同社の代表取締役社長に就任。2019年8月からは株式会社じげんの経営推進部の責任者を兼任する。2020年7月より現職。

成長・キャリアアップしたいなら「成果」を最重要視するべき

―ご経歴を見るだけでも、天野さんがこれまでスピード感を持ってキャリアアップされてきたことが伺えます。ビジネスパーソンとして成長するために大切だと思うことはありますか?

天野孝則さん(以下、天野):まず第一に成果(定量・定性問わず)にこだわることです。与えられたものか、自分がやりたいものかに関わらず、目の前の仕事でしっかりと成果を残すことにこだわっている人は、成長が早いですね。

次にアウトプットの「量」を増やすことです。質を軽視しているわけではありません。量を積み重ねていくと、どこかで質に転じるものです。

なぜならアウトプットをしていれば、必ずどこかからフィードバックが来て、インプット量が増えるからです。だから打席に立つ回数を増やすことが、成長には必要だと思います。

―では、キャリアアップするために必要なものとはなんでしょうか?

天野:企業で評価される人は成果を出す人ですから、基本的にはここまでお話ししたことと同じ考えで良いと思います。

ただし、あえてもう1つ挙げるとすれば「目線のコントロール力」ですね。キャリアアップをするには上長から評価される必要がありますが、そのためには上長と同じ目線で物事を語れなければなりません。「こいつ、わかっているな」と思ってもらうわけです。

しかしこれは一歩間違えると単なる「上から目線の部下」になりかねません。自分のポジションの目線だけでしか考えられないのは「視野の狭い部下」ですが、かといって大所高所からの物言いばかりで、自分のポジションをおろそかにしていてもダメなのです。

だから「目線のコントロール力」が問われるわけです。状況に応じて適切な目線から物事を話せるようになること。これが上長から見て「引っ張り上げてやりたいヤツ」になるポイントです。

成果を出すために必要な、たった1つの考え方とは?

―成長やキャリアアップにも成果へのこだわりが大事とのことですが、実際に成果を出すのは難しいように思います。天野さんは成果を出すために、どんな戦略を立てているのでしょうか?

天野:「具体的にゴールを定め、フラットにスタート地点を見極め、優先順位の高い手段から実行していくこと」です。

最初にするべきはゴールの設定。ポイントは具体性と時間軸です。ゴールが抽象的だと「どうやったら達成したことになるのか?」がはっきりしません。だからゴールをできるだけ具体的に(定量化や完了状態がわかるものに)して、達成できたかどうかを明確にわかるようにします。

①具体的にゴールを定め、納期を明確にする。

②スタート地点を正しく、フラットに把握する。

③ゴールまでの最適なルート(手段)を選択する。

時間軸とは、締め切りのことです。私は世の中のすべての物事を難しくしたり、簡単にしたりしているのは、時間軸だと思っています。

たとえば営業マンに「10秒以内に新規契約を10件取ってこい」と言う上司がいたら、誰もが無茶振りだと思うでしょう。でも時間軸が「5年以内」になれば、「ちょっと簡単すぎないか……?」と思うはずです。

時間軸が変われば、その後どんな手段でゴールを目指すかも変わってきます。だからゴール設定の段階できちんと時間軸を決めておくことが大切です。

―②の図にはスタートが複数ありますね。

天野:これはスタート地点が変わると、ゴールまでのルートが変わるということを示しています。だからスタート地点を正確に把握する必要があるわけですが、そのために必要なのがフラットさです。

スタート地点を見極める際は、自分を過大評価していても過小評価していてもダメ。数字や他人からの客観的な評価などを踏まえて、できるだけ客観的に「今あるもの」「今できること」を見定めていくようにします。

―そこまできてようやく、3つ目の「手段」について考えられるんですね。

天野:そうです。ただ得てして手段は山ほどあり、使える時間は限られています。大切なのは、その手段の中で取捨選択と優先順位づけをして、ゴールへの影響度が高い手段から順に実行していくことです。

ここでポイントになるのが「成果=ゴールに向けた戦略×実行」という公式です。

たとえば100点満点の戦略があったとしても、今のチームのリソースでは実行度が10%しかなかったとします。この場合、成果=100点×10%=10点です。

これに対して50点の戦略だったとしても、実行度が100%だった場合、成果=50点×100%=50点になります。こちらの方が、戦略の完成度が低くても成果は5倍も大きいわけです。

山ほどある手段をこうした観点から評価することで、成果への影響度がわかります。この影響度が高ければ高いほど優先順位の高い手段となり、低いほど優先順位の低い手段となります。

あとは優先順位に従って手段を実行に移せば、最短距離でゴールまで到達し、成果につながるわけです。

―とてもシンプルなんですね。

天野:シンプルすぎて拍子抜けされるかもしれませんが、ここまでゴールとそこまでの道のりをシンプル化することが大切だと考えていますし、どんな課題に対しても汎用性をもてるものだと思います。

With/Afterコロナ時代、成果はより重要視されるようになる

―リモートワークやオンライン会議など、新型コロナウイルス騒動を経て、日本人の働き方に変化が起きようとしています。With/Afterコロナ時代、私たちの働き方にどのような変化があると考えますか?

天野:「決められた時間働いていれば給料がもらえる」という働き方から、今まで以上に成果を重視した働き方へのシフトが起きると思っています。

リモートワークがより浸透していけば、「決められた時間働いている」と言うだけだと仕事の価値証明が難しくなってきます。ではどうやって「仕事の価値」を証明するのかと言えば、成果を見せることが一番シンプルだと思います。

これは企業側からしても同じことです。「決められた時間働いている」だけでは、価値の高い仕事に対する評価ができないので、成果に軸足を置いた評価方法を採用する企業が増えてくるでしょう。

―株式会社じげんとしても、リモートワークは推進していくのでしょうか?

天野:会社としてはまだテスト段階で、リモートワークが成果にどう影響してくるのかを今後検証していく必要があると考えています。

ただし、個人的にはリモートワークとオフィスワークをハイブリッドに取り入れていくのがベストだと感じています。

新型コロナウイルスの影響を別にしても、今後の日本は人口動態の観点から確実に労働力が衰退していきます。現役世代の絶対数が減りますから。よって、優秀な人材を獲得するためには地方在住者や主婦層・介護世代など、幅広い層に向けた採用活動や活躍支援を積極化する必要があります。

そんな時代がやってきたときに、組織としてリモートワークに対応できておらず、「オフィスワークでバリバリ働ける人しか採用しない」などと言っていたら、あっという間に競争力を失ってしまうでしょう。

かと言って、リモートワーク一辺倒になれば、人間関係や企業のカルチャーの希薄化という問題が生じます。したがって企業にとっての今後の課題は、リモートワークとオフィスワークをいかにして融合させるのかになっていくはずです。

じげんが、そうした働き方のロールモデルのひとつになれればいいなと思いますね。

―じげんの働き方や、仕事観をフォローするにはどんな方法がありますか?

天野:じげんのオウンドメディア「OVERS」がいいかもしれません。同メディアは2020年1月に立ち上げて、今まであまり外部に発信してこなかったじげんのカルチャーについて、インタビューや対談を交えて紹介しています。

社員の会社や事業に対する想い、仕事の内容など、パーソナルな部分にも踏み込んでいるので、じげんの働き方や、仕事観を知るにはピッタリだと思います。

―本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。

新型コロナウイルスの影響で今後の先行きが不透明ですが、株式会社じげんのように、積極的に採用をおこなっている魅力的な企業はたくさんあります。

LHH転職エージェントでは、各領域に精通したコンサルタントが、あなたと企業のベストマッチを実現させます。オンラインでの面談も可能となっておりますので、お気軽にご相談ください。

今回のインタビュー企画を担当した横山亮輔は、営業、マーケティング(ネットメディア、プラットフォーム、広告業界)を専門・担当領域とするコンサルタントです。

コンサルタント紹介

横山 亮輔
専門・担当領域:営業、マーケティング/ネットメディア、プラットフォーム、広告

LHH転職エージェント (アデコ株式会社) に入社後、ネットメディア、プラットフォーム、広告業界をメインに担当。営業職、マーケティング職の紹介実績を多数持つ。豊富な業界知識を持ち、企業情報や面接時のアピールポイントなど、採用までのサポートだけでなく、転職後の情報交換など継続的なフォローで満足度の高い転職支援を行う。

Career Supli
天野さんのインタビューでじげんに興味を持った人は横山さんにお声がけください!
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部