『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す。』スペシャル寄稿第1弾

ビジネスパーソン必携本

「フジテレビpresents素敵なスマートライフ」デジタルエンタメワークショップ公式ガイドブックでもある本書は、音楽、映像、放送、新聞、出版、自動車、IoT、UGMなど、エンターテインメント業界を幅広く横断的に捉え、デジタル化による大きな潮流が変えようとしているエンタメ・ビジネスの最新動向をまとめた、ビジネスパーソン必携本です。

今回は発売を記念して、本書の内容のダイジェスト版をキャリアサプリの読者だけにシリーズでお届けします。

「エンターテインメント×IT」 からビジネスヒントを得よう

エンターテインメントは、テクノロジーの発展と普及を先導してきました。どんなに優れた技術であっても、多くの人の生活習慣を変えるのは簡単ではありません。むしろ先端的であればあるほど難しいものです。

生活を変えるには「楽しそう」「面白そう」「使っていたら異性にモテそう」「友達 に自慢ができる」とユーザーが受け止めてくれることが必要です。衝動が人々を突き動かさなければ、新しいサービスは広まりません。これが、エンターテインメントがデジタルテクノロジーを牽引する理由です。

本書は、デジタルで変化している時代の「新常識」を正しく理解するために、エンターテインメント分野から紐解くものです。エンターテインメントが、技術の発展を先導してきたというのは、見方を変えれ ば、テクノロジー開発の実験室がエンターテインメントの分野だったともいえます。 エンターテインメントの視点を持つというのは、その実験室を「のぞき見」すること で、デジタルの近未来を知ることにもつながります。

時代を変える3つのポイントを知ろう

Data World
インターネットが登場する以前は、コンテンツに対して利用者が対価を払うのは当然のこととして受け入れられていましたが、インターネットが広まって、無料で消費できるコンテンツが爆発的に増えたことで、消費者がコンテンツにお金を払うことに疑問を持ちはじめました。

そのときの各分野のコンテンツ産業の狼狽ぶりや改革の様子には、これからのビジネスにとって、多くのヒントが隠されています。デジタル化の進展でさまざまな変化が起きていますが、本書では、3つのポイントから捉えていきます。

1、コンテンツのクラウド化 「所有から利用」に、ユーザー行動が変わる
2、モノのオンライン化  リアル社会とネットが一体化する
3、ソーシャルメディアの普及 ユーザーの意見や行動が可視化される

この3つの変化に伴い、あらゆる産業が、自らの役割や社会における意義を「再定義」し、ビジネススキームやノウハウを「再構築」する必要に迫られています。ビジネスパーソンも自分の役割を今の視点で「再定義」して、自己のスキルを「再構築」しなければ生き残れません。

1、コンテンツのクラウド化 「所有から利用」に、ユーザー行動が変わる

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コンテンツビジネスを語るときに欠かすことのできないもののひとつが「著作権」です。音楽の章で紹介するストリーミングサービスは、スマートフォンなどで音楽をいつでもどこでも好きなときに好きなだけ聴けるサービスですが、ここには「複製」は存在しません。このサービスでは、事業者がクラウド上で管理するコンテンツに「アクセス」する権利をユーザーに与えているのです。

誰もがスマートフォンやタブレットを持ち、常時ネットに接続できる状態の社会になると、個別のデバイスで音源ファイルを管理する必要はなくなります。必要なときにアクセスすることができれば、その方が便利です。「所有から利用へ」というのは、あらゆる分野で起きている消費者行動の変化ですが、コンテンツの場合は、デジタルファイルに還元されるので、その利便性が顕著にあらわれます。

ただ、これまでの法律や商習慣は、「複製」を基本につくられていますので、「アクセス権」ビジネスには、つじつまの合わないことがたくさん出てきます。今のところ、強引に「複製権のルール」を当てはめて運用されていますが、本来は、「複製権」と「アクセス権」を組み合わせたハイブリッド型のルールをつくるべきなのです。

また今はフェイスブックのシェアボタンを押すだけで、友人知人に薦めることができます。同時にサービス事業者はユーザー行動が把握できますので、データ分析から、好きなアーティストや楽曲のオススメをすることができます。あるアーティストが好きなユーザーに別のアーティストを紹介するといった「リコメンデーション」の精度はどんどん高くなっているのです。

2、モノのオンライン化 リアル社会とネットが一体化する

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「リアルとバーチャルの融合」は、最近はIoT(Internet of Things) という言葉で表現されることが増えてきました。自動車やテレビが従来の機能を超えて、新たなサービスを提供するようにすべてのモノがインターネットと繋がることで、これまでは考えられなかった体験をユーザーに与えることができます。これにより、「テレビとは何なのか?」という商品の意味そのものを「再定義」する必要がでてきますし、企業はビジネスモデルを「再構築」しなければ生き残っていけません。

ウェアラブルデバイスは、IoTの代表的なアイテムです。あらゆるサービスがインターネット上に存在して、それをいつでもどこでも使えるということが、新たなビ ジネスの可能性を生んでいます。「冷蔵庫の中身から、調理が可能なレシピを冷蔵庫が教えてくれる」「朝起きたときの体調を腕輪が把握し、その日の天候、気温から、オススメの服装をクローゼットから選んでくれる」。

そうしたことが、すでに技術的には可能ですし、これから精度も上がっていくでしょう。社会的な習慣を変えたり、時には法律上の問題があったり、広く普及するのには、さまざまな課題もありますが、「テクノロジーが生活を変えていく」という時代の流れは止まりません。僕らがSF映画で観てきた光景が、まもなく日常生活になるのです。

3、ソーシャルメディアの普及 ユーザーの意見や行動が可視化される

Group of People with Social Media Concept

ソーシャルメディアが普及したことで、ユーザーの投稿を誰でもみられるようになりました。レストランの冷蔵庫でのアルバイト学生の悪ふざけが、あっという間に広まって、レストランが閉店になったニュースもありました。

すべての行為が可視化されたことで、これまで以上にユーザーの発言力が強まります。ユーザーが決定権を持つ時代の到来が、出版社や新聞社やレコード会社などあらゆる企業を翻弄し、そして UGM(User Generated Media)型サービスの爆発的な普及が、アマチュア・クリエイターを大量に生み出すなど、個人ユーザーが関与する領域がどんどん拡大しているのです。

時代はどんどん変わっていきますが、そこには一定の法則があります。僕が尊敬する工学博士の田坂広志氏の著書『未来を予見する「5つの法則」』(光文 社)から引用すると「世界は、あたかも、らせん階段を上るように、発展する」とのことです。

社会は螺旋状に変化していき、世の中の変化は、行ったり来たりしているようにみえて、実は戻ってきたときは、同じ場所ではなく、もう一つ上の層に上がっているということです。たとえば、ネットオークションの仕組みは、指値や競りで商品を購入する仕組みです。これは、市場経済が広まる前の商取引の形式がインターネット上で、実現したとみることができます。

eラーニングという「個別学習」ができる仕組みは、同じ年齢の人々が集団になって学ぶ国家による教育制度の前の、「寺子屋」の発展系ともいえるわけです。自分の持っている知見やノウハウは、時代の変化で陳腐化しているように思えるかもしれませんが、しっかりと時代の先を捉えて、意識を変えれば、新しい活かし方がみつかるかるでしょう。それでは螺旋のようにすすんでいく時代の次の行き先をみていきましょう。(第2回に続く・・・・)

<デジタルエンタメワークショップ 次回告知>
~近未来をポジティブに予見しよう~ Presented by LHE
6/21[日]18:00-20:30 (20:00以降:ネットワーキングタイム)
「スマートテレビ?テレビの未来を考えよう」

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10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す。

単行本(ソフトカバー)

内容紹介
人を動かす新常識! 今を生き抜く、新バイブル登場!! 「フジテレビpresents素敵なスマートライフ」デジタルエンタメワークショップ(2015年5月24日第1回開講)の公式ガイドブックでもある本書は、音楽、映像、放送、新聞、出版、自動車、IoT、UGMなど、エンターテインメント業界を幅広く横断的に捉え、デジタル化による大きな潮流が変えようとしているエンタメ・ビジネスの最新動向をまとめたもので、エンターテインメント・ビジネスに関心を持つ学生・ビジネスパーソン必携本!!
 
[文]山口 哲一 [編集]サムライト編集部