短パンで検索してみて
「短パン」で検索すると何とWikipediaを押さえて1位に表示される短パン社長、奥ノ谷 圭祐さんはご存じでしょうか。何をやっている人かはよく知らなくてもTVなどでビジュアルは目にしたことがあるのではないでしょうか。
年中短パンで過ごす強烈なキャラクターと、1度見たら忘れられない見た目のインパクトで、アウトデラックスやZIP、人生のパイセンTVなどバラエティー番組にも多数出演する注目の人物。
この短パン社長は、ただのキワモノ社長ではありません。自身の過去の体験と経験を踏まえ、ニュースレター、チラシ、DMといった紙の販促物はもちろん、ホームページ、ブログ、Facebookなど、SNSのアドバイスも行い、全国各地で講演活動を実施。2014年からは、SNS上で限定発表・受注のオリジナルブランド「Keisuke okunoya」を立ち上げ、現在までに累計で5,000万円以上を売り上げるコミュニケーションの達人です。そんな短パン社長に情報発信の秘訣をたっぷり聞いてきました。
不遇の時代

― 今のようなスタイルで情報発信をするようになったキッカケはなんですか?
僕は2代目でウチに入ったのが8年前くらい、社長になって4年になります。その時は社長ではないですけど後継者として「なんか新しいブランドをやれ」と言われて始めたのが、レディースの「フラムクリップ」です。前職はアパレルの上場企業だったんですが、人気俳優を使ってバンバン広告費使えば売れるみたいないい時代でした。
もちろんウチは大企業ではないので、そんな広告費はかけられなかったのですが、洋服って「かっこいいことやればいい」とか「オシャレなものをだせばいい」と思っていたので、かっこいい展示会やって、読者モデル呼んでみたいなことをやっていました。
春夏秋冬の展示会が年に4回あって、全国の女性服を扱っているところにDMをお送りして、来てもらって、注文をもらうっていう方法がアパレルメーカーの主流ですが、無名ブランドの展示会には、なかなかお客さんがきてくれませんでした。DMはめちゃめちゃオシャレなものを作っていたので「このセンスをわかんない人が悪いんだ」みたいな感じに思っていました。
そんな状況が2年ほど続き、当時、社長だった父から「こんな結果じゃだめだ、もうやめるか?」と言われて、どうしようかと悩んでいた時期にエクスペリエンス・マーケティング(以下エクスマ)を推奨する藤村正宏先生に出会ったんですよ。
エクスマとは「モノ」ではなく、「体験」を売る視点のマーケティング手法です。それを学んで「今までやってきたことってなんだったんだろう」と思いました。別に洋服扱っているからと言って、かっこいいもんじゃなくてもいいんだなって。
誰が商品を作っているのか、その展示会を誰が開催しているのかっていうのも、出さないとダメだよって話で、「個人を出す」ことの重要性を知りました。そこからDMが変わっていきました。そのDMは僕個人がバリバリ前に出ているDMで、それをやるようになったらお客さんの反応が変わってきて、それを6年続けていたら、お客さんが来てくれるようになりました。
以前は人気俳優をCMに使ったら商品が売れましたが今はもう、そういう時代ではありません。本当にその広告の車に乗っているの?乗っていないでしょう?となりますよね。リアリティがないものはお客さんに伝わりません。
発信している内容と本人に違和感がないこと

― リアリティはどうしたらお客さんに伝わりますか?
発信するってことじゃないですか。僕はブログ、Facebook、Twitterの3つをメインに、とにかく5年間毎日発信していますが、そこには違和感ないじゃないですか。だいたい実際会った人が感じる違和感があるとしたら「けっこう思ったよりデケェな!」ぐらいなんですよ。たぶん(笑)
あとはカレーが好き、コーヒーが好き、ビールが好き、映画が好きっていうのをとにかく全部リアルに発信しているんですよ。だから昔は2月14日にトラックでチョコが届いていたくらい人気があったんですけど、今年の2月14日はチョコレートが1個も届かない。なぜなら僕は甘いものが嫌いなんですよ。それも発信しているから、ビールとか違うものが届くんです。だから今は、短パン社長なのに長いのを穿いて歩いていたらマズいわけですよ!そういう風に違和感があると、「あ、ちょっと違うんだな」ってなっちゃうじゃないですか。
― 好かれる投稿と、好かれない投稿ってあると思うんですけど、そのポイントってどの辺にあるんですかね?
知らないです(笑)。いや、人に気を使って投稿するぐらいならしない方がいいよって話じゃないですか。今は誰がどこで見てくれているか、分からないぐらいのアクセスなんですけど、昔は愛知県の小牧市にいるセレクトショップ「トムテ」の松永店長に向けて今日はブログを書こうとか、新潟のウィザップのバブっていうニックネームの人にFacebook投稿しようというように、仲のいい親友、僕とすごい関係性の深いお洋服屋さん1人に向けて書くということをやっていたら、こんな感じになっていったんですよ。だんだん拡散されていって。
でもね、Facebookに「今日のカレー美味いな」ってあげる人がほとんどじゃないですか。僕はそのことについて苦言を呈するんですよ。「お前のそのカレー、誰のためにあんのか?」って。美味かったのは分かったよ。でも「美味しかった」だけじゃ、それは自己満足でしょ?って。
そうじゃなくて、ウチの会社の近くにGHEE (ギー)っていう超有名なカレー屋があって「そこのビーフカレーめちゃめちゃ辛いけど、めちゃめちゃ美味いですよ」と。それで写真あげたら、僕の好きな人たちが「うわーギーのカレー超食べたい」って思う訳じゃないですか。そういう投稿ができるかどうかですよね。
― ブログ、Facebook、Twitterの使い分けってどういう風にやられていますか?
一緒ですよ。ブログは記事としてずっと残るから僕の日記で、FacebookとTwitterはリアルタイムなんじゃないですかね。でも書いてることは全部一緒です。昔は分けていましたけど結局一緒なんですよ、書いている人が同じなんだから。
Facebookは1日10回も上げたらウザいじゃないですか。でもTwitterは別に誰1人困らないんで、今はTwitterにかなり力を入れています。1日朝起きた時から、スタバでコーヒー飲み、夜はHUBでビールを飲み、家に帰るまで、全部Twitterに上がってます。
Facebookは1日大体3回を目安にしているので、必ずブログの更新入れて、あとは朝のコーヒと、夜の飲みとか(笑)そんな感じです。でもこれって決してテクニックじゃないんですよ。僕の考えなんですよ。まぁ。だいたい合ってますけどね。ボクが正解なんで正解です。(笑)
誰がその商品に携わっているか

― 毎日発信されていく中で最適化されたということですか?
ただ一つ違うのは、僕の考えとかやり方が正しいとは言いながらも、僕はまだあなたのことをよく知らないので、僕と同じことをやった方がいいよとはアドバイスしません。
僕が性格を知っている人であれば、その人に合わせて「Twitterやれば?」とか言えますけどね。人の個性って違うから、そこを見極めてあげるっていうのは社長の仕事ですよね。それは、社員を見るのも、お客さんを見るのも、友達を見るのも同じですよね。
― 一般的な発想でいくと、競合他社と比べてその中でどういう風に自分たちのブランドを差別化していくかと考えると思いますが、差別化は意識していますか?
差別化ではなく、独自化した方がいいんじゃないですか。自分の独自の発信、自分の好きなことを発信して、相手が好きになってくれるわけじゃないですか。差別化って、別に誰のことも考えてないってことじゃないですか。個性、個人が大事。
ウチの「フラムクリップ」っていうブランドや「Keisuke Okunoya」というブランドは、見てもらったら分かると思いますが、かなりモノも質もいいですよ。でもただの無地ですから、似たような商品がどこでも売っていますよ。ユニクロだってオックスフォードのシャツ売っているし、ちょっと高いグッチだって無地のシャツ売っているけど、みんな僕の商品を買ってくれるわけじゃないですか。
それって何が違うかって言ったら、商品の質とデザインじゃないですよね。「誰が作っているか」とか「誰がその商品に携わっているか」とかっていうのが、結果的に「独自化」になりますよね。
― 短パン社長の考える個性って何ですか?
この世に一人しかいないんだから、「あなたが生きてるだけで個性です」という話ですよね。だから僕がお洋服屋さんに聞くのは「好きなこと何ですか?」と聞くわけです。「10個並べて」って。「そのことブログに書いているのか?」、「Facebookに投稿しているのか?」、「ニュースレターに書いているのか?」と聞いたら大抵書いていないんで、「じゃあそのことを書きなさい」と。
じゃあその人たちは何をしているのかって言ったら、毎日入荷した洋服、毎日売れた商品をただFacebookやブログに投稿しているだけじゃないですか。そんなのじゃ誰も買わないよって。そんなことより、お店に立っている人とか、その商品に携わっている人が好きなことを投稿した方が、結果的に距離感も縮まるし、好きになってくれる人もできますよ。
覚悟と行動力

― 発信を継続できる人とできない人の違いってどこにあるんですか?
「覚悟」だけですね。僕はアドバイスしている人に「とりあえず3ヶ月毎日書きなさい」とは言いますけど、「それがあなたの未来や人生にとってすごい大切なことかもしれないよ」とは、絶対に言わないです。
そんなの責任持てないですもん。でも「やるやる」って言ってやらない人が多い訳じゃないですか。だから僕がやっていることは一応「道しるべ」ですよね。「僕だって忙しいのにこんなにやっているんだよ、あなた、そんなに忙しくないでしょ?」と。
忙しくてもやっている人はやっているんだから。もちろん何も発信しないでも、売上が上がっていたり、繁盛しているお店は何もしなくていいと思うんですけど、会社の売上が良くない、自分の営業成績が良くない、店が潰れそうだって言うことは、「何か改善しないといけない」と思っているんですよね。「じゃあ、今からやろうか」って。
― 矢面にたって発信していく恐怖心を持っている人はどう克服すれば良いですか?
何が怖いんですか?だいたいそういうのは、矢面に立ったことない人が言うんですよ。ストーカーされたことないのに、「ストーカーが怖い」と言う女性の店長いっぱいいるんで、僕は「大丈夫だよ。ストーカーは来ないよ」と言ってあげるんですよ。あとね、「見てないから」って言います。
「あなたがブログ、Facebookやっても誰も見てないから大丈夫ですよ」と。ブログを見ている人が10人いるんだったら、その10人のために書いて、もし11人目がクレームを言ってきたら、「どっち大切にするか?」と言ったら、「そりゃ、見てくれてる10人を大切にした方がよくないですか? 」。
「個人出したくない」とか「私の好きなことなんか書いても、誰も興味ないと思うんですよね」と言う人って、たいてい発信したことがない人。だったらつべこべ言わずに、まず発信してみろって話じゃないですか。
常に前向きな投稿を
― 仕事の調子が良くない時とか、そういうのも言っちゃっていいんですかね。
言っていいんじゃないですか。「今日売上ゼロだー!」ってここまであげたらたいしたもんですよ。そんな人いないけどね(笑)でも裸になろうってそういうことじゃないですかね。
「今日は売上がゼロだった」ってあげるんじゃなくて、「今日は台風だったから来客が実はゼロでした。でも明日の天気予報は晴れだから、今日の分も絶対お客さんがたくさん来てくれるでしょう。」とすれば、前向きな投稿になってますよね。そういう風に、見てくれている人の気分を害さないように、どうやって投稿しようかなって思っているんですよ、僕は。
― 短パン社長、超パワフルなんですが、エネルギーってどうやったら出ますか?
何だ、それ(笑)元々パワフルだけど、僕はちゃんと寝ます。早寝早起きなんで。昨日も11時半に寝て4時半に起きています。
僕がどこで喜びを覚えるかって言ったら、お客さんが喜んでくれることですよね。たまたま今日「Keisuke Okunoya」のカーディガンがみんなに発送されていて、320人に手書きの手紙書いているんですけど、今僕のFacebook上が荒れていますから。「届いた!良かった」って。
今までそんなの見られなかったじゃないですか。今ってタグ付けされて見られるわけですよね。「あーこういう洋服作って良かったな。こういうノベルティ作って良かったな」って。そこが僕のエネルギーですよね。誰かを喜ばせているから。それが自分のエネルギーになっているんじゃないですかね。
― 最後に、今ビジネスの環境が変わりつつある中で、企業に勤めている若い人たちに対してのアドバイスはありますか?
こればっかりは、会社によって違うじゃないですか。でもやっぱり若い子たちの芽って摘んじゃいけないんですよ。よく話しているのは、うちのヒロナガというのが一番代表例なんですけど、まあバカなんですよ。
何をしゃべっているか分からないし、字汚いし、寝坊するし。でもヒロナガの良さっていうのは、履歴書に書いてないことなんですよね。例えばいろんなノベルティは彼がデザインしているんですが、履歴書ではその良さは分からないんですよ。
僕はやっぱり「好きだ」って思いとか、熱意とか、その好きなものを徹底的に聞き出して、それをどう仕事に生かすかとか、どうやってお客さんに関連づけるかっていうのを導き出してあげるのが自分の仕事だと思っています。若い子たちにはもっとビビらないで、もうこういう時代だから、副職でもいいから、何か新しいことに挑戦すればいいのにと思いますよね。
だけどそういう若い奴らって調子にのることもあるわけじゃないですか。だから新入社員の子たちには、「今の会社を作ってくれたのはあの人たちだよ」って先輩に対するリスペクトは忘れないようにと言ってあげます。やっぱり新旧の融合は、会社にとってはすごい大事だと思います。
― ありがとうございました!以上短パン社長のインタビューでした!
短パン社長インタビュー第2弾が公開されました!
発信しないのはこの世に存在しないも同然! 短パン社長の辛口お悩み相談室
1年中短パンで過ごす事から付いたニックネームは短パン社長。短パンで検索すると常にウィキペディアより上位に表示される。おそらく国内Facebook上で一番タグ付けされている純日本人。自身の過去の体験と経験を踏まえ、ニュースレター、チラシ、DMといった紙の販促物はもちろん、ホームページ、ブログ、Facebookなど、SNSのアドバイスも行い、全国各地で講演活動を実施。今ではテレビ、雑誌、新聞等、各メディアからも出演依頼が殺到中。2014年からは、SNS上で限定発表・受注のオリジナルブランド「Keisuke okunoya」を立ち上げ、SNSでモノは売れないという定説を破壊する売上を樹立。アパレル業界はまさにこの男に託されているのかもしれない。5年間毎日更新してるブログはコチラ
