社員350人でフラットな組織って本当ですか?チームラボ 堺 大輔氏インタビュー

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チームラボの超重要人物

チームラボは、プログラマ・エンジニア、数学者、建築家、CGアニメーター、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、絵師などスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団で、その評価は年々高まりを見せており、日本のみならず世界に活動の拠点を広げています。

そんなテクノロジーとクリエイティブの最先端を走るチームラボの中心メンバーとして屋台骨を支えているのが、チームラボの取締役、堺大輔氏です。350人の社員数になっても、役員以外は役職がないというフラットな組織をどのように運営しているのか、その謎について語っていただきました。

専門家集団が作りあげる巨大な作品

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– 本日はよろしくお願いします。このテーブルカッコイイですね。この絵はいつの作品ですか?

堺: 東京スカイツリー®の1Fにある、横が40メートル高さ3メートルくらいの巨大な壁画で描いた絵ですね。壁画の真ん中にサイネージが入っていてその部分は動くようになっているんですけど、全部手書きで作成しています

40万オブジェクトくらいあって、たぶん世界で一番オブジェクト数が多い絵画なんじゃないかと。マンションの上のアンテナとか室外機とかも1パーツ書いてすべてのマンション分コピペしていくんですよ。絵師のチームが20人くらいでひたすら1年ぐらいかけて作りあげた作品です。

– スケールの大きなクリエイティブ作品がつくれるのがチームラボの魅力の1つですね!チームラボは、カタリストと呼ばれる人が先頭に立ってプロジェクトを進行させていきますよね。こういった規模の案件の場合、カタリストは1人なのですか?

堺: これはね、いろんな人がかかわっていますがカタリストは2人くらい。だいたい、よっぽど巨大じゃない限りメインはひとりです。カタリストは他の会社でいうところの営業アカウントもやれば、見積もり、契約書作成、企画、進行管理など担当業務が広いですね。

学生からの手探り起業

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– チームラボに一般的な営業の人はいませんよね?最初から営業なしで会社は成り立ってたんですか?

堺:最初から営業はいなかったですね。ただ最初の1〜2年間は学生だったから、そこまで稼がなくてもなんとかなっていました。ゆるく起業した感じですね。他の会社に勤めたこともなかったので、どうやって仕事するかとかもよくわからないし、ぶっちゃけウェブとかも作ったことありませんでしたから、仕事が来てから勉強していました。

僕もプログラムを書いてました。ちょっとだけ。ただ、あまりにもセンスがなくて、僕が書いたプログラムを全部書き換えられて、才能ないんだなと思い辞めようって(笑)

– 堺さんでも不得意なことがあるんですね。ちょっと安心しました。チームラボの人いわく、堺さんが普通の会社でいう社長っぽい役割を果たしているそうですが?

堺:まあ、そうかもしれないですね(笑)普通の会社の社長が何をやっているのか知らないですけど、経営ってなんなんだろうという話ですよね。会社全体の仕組みとか、チームラボに数多くある専門家のチームをどのようにつくっていったら良いかとかは考えていますけど。

まあ、でもそんなに厳密ではなくて、全部が曖昧なんです。

だけど、なぜか成り立っているんですよ。神秘的でしょ(笑)

「管理しない!という管理」

– そうはいっても350人ものメンバーがいて、たくさんの案件が同時進行で動いていますよね?どのように全部を管理されているのでしょうか?

堺:同時に動いているのは150案件くらいです。管理は、「管理しない!という管理」をしています。もうちょっとちゃんと説明すると、課長とか部長はいなくて、役職としてあると言えば役員だけで、それ以外はフラットという形になっています。

ただ一般的社会の場合でも、普通にフラットだけれど、旅行に行こうってなったときには、あの人が旅行の日程立てて予約とかした方がいいとか、あの人のいう美味しいお店なら間違いないとか、あの人のいうところなら楽しいはずってあるじゃないですか。

それと一緒で、あの人とやったらクオリティの高いものができる、あの人のプログラムだったら信用できる、あの人と企画をやればうまくいく、あの人とやればお客さんとうまく交渉してきてくれるとか普通にありますよね。

チームラボにもそれは同じようなことがあって、そういう意味ではフラットではないですね。あの人はあれがすごいとか、あの人はあそこがすごい得意だよとか、そういう人は人気なんですよ。そして社内で発言権があるんですよね。やっぱり

だから、いわゆる、多数決的フラットでは全くなくて、ある意味すごく実力主義的なシビアな面もあります。周りの人に「この人とやったらこういうことできるんだ」と思ってもらわなくてはいけないんですが、語らずとも、エンジニアはものを作れますよね。

デザイナーだったら手を動かすとか。カタリストの場合は口を動かして、チームのメンバーのテンションを上げる役割をやるとか。そういう感じがいいかなと思っています。

オモロいという感覚を共有できている

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– 普通の会社ってそういう風にフラットじゃないんですけど、どういう風にしたらフラットな組織が実現できるのでしょうか?みんながそう出来れば楽しいですよね?

堺:いや、以外とどっちが楽しいか、わかんないかもしれないですよ。フラットだとある意味自由だけど、自由はそれなりに責任も義務も感じるわけじゃないですか。

でも、ちゃんと組織になっていれば、係長、課長、部長があって事業部長があると、キャリアパスが明確に見えます。1つあがったら、次は何を目指せばいいかわかる。フラットな組織の場合は、そういうのがないから、多分迷う人は迷うんですよ。キャリアパスみたいな概念でいうと。

ただチームラボの場合、部長はああ言ってるけど本当はこっちにした方がいいって、みんながわかっている状況とかはたぶんありません。そういったストレスはないと思います。

今ここに350人くらいいて、みんながプロジェクトをまたぎながら、150案件くらい動いているんですけど、その中でも大きいプロジェクトがベースになっていて、それごとの席で座っています。

プロジェクトは短ければ3ヶ月、長ければ1年ほどで、終わったらまた席替えするって感じで、新しいプロジェクトに入っていきます。そうやってプロジェクト中は、チームの中でみんなが一緒に考え続けます。

それがたくさんミックスされて、一緒に考えている時間である程度の感覚が共有されていきます。また、役割をすごく明確にはしていないので、自分の領域という概念が曖昧なのも、感覚の共有に繋がっていると思います。

エンジニアやデザイナーがテンションのあがる環境

– なるほど、自分の領域という概念があいまいなことがアイデアを考えたり、感覚を共有する上でプラスに作用しているんですね。ただ、業務をすすすめていく上では、この仕事はだれがやるの、ということが起こってきませんか?

堺:それは話し合いで決めます。最後はカタリストができることは、カタリストが責任を持つという形でぜんぶ拾います。ただ、プログラムやデザインはできないので、そこはやってもらいます。プログラム書くか、デザインするか、それ以外はカタリストですね。

物つくるのは、エンジニアやデザイナーがいないと僕たちはものを作れません。彼らが一番良いアイデアを考えられると思っているし、彼らが一番テンションの上がる環境をつくるのが会社としても重要だと思っています。

– 情報共有ってどういう感じでやってるんですか?

堺:情報の共有はリアルタイムではチャットですね。いまだとSlackとかを一番使ってますけど、けっこう乱立しています(笑)リアルタイムで共有できるツールで、すぐメンバー全員が入れるようなツールっていうのが一番使われる情報共有ですね。

そこに、プログラムでもデザインでも関係なく流れてくるから、それを見ていきます。メールが一応あるけど、情報共有は主にチャットです。あとは近くに座っているんで、すぐに話ができる物理的な距離もすごく重要だと思っています。(後編に続く・・・

堺 大輔氏
ウルトラテクノロジスト集団チームラボ取締役。札幌市出身。東京大学工学部機械情報工学科、東京大学大学院学際情報学府卒。大学では、Web空間のパーソナライゼーションについて研究。01年4月入社。02年8月株式会社への組織変更に伴い、取締役に就任。主に、ソリューションを担当。
[インタビュー・執筆] 頼母木 俊輔  [編集] サムライト編集部


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