フリー素材モデル・大川竜弥の『なるようになる』生き方

この写真の人物に見覚えはありませんか?

『うわっ、私の年収低すぎ?』の画像で有名となり、フリー写真素材サイト「ぱくたそ」でモデルをしている大川竜弥さんです。この4年間で1000枚以上の写真のモデルをしてきた大川さん。様々なサイトやバナー広告で使われているため、インターネットに触れていれば、1日1回は目にしているのではないでしょうか。

うわっ、私の年収低すぎ?

うわっ、私の年収低すぎ?

現在はフリー素材写真のモデルとして活躍する大川さんですが、キャリアのスタートはユニクロの店員から。その後、IT企業勤務ライブハウス店長兼、プロレスラーであるザ・グレート・サスケさんのマネージャー携帯会社の販売スタッフと多様なキャリアを歩んできました。

そのキャリアだけを見ると、大川さんはバイタリティーにあふれ、自らのキャリアを己の力で切り開いてきたように思います。しかし実際にお話を聞くと、その想像とは正反対でした。

「キャリアステップ」「スキルアップ」「フリーランスとして独立」……。そんな言葉に引きづられて自分を見失いそうになっている方は、ぜひ大川さんの「なるようになる」生き方を読んでみてください。

実家の八百屋を手伝う中で身につけた「働く」姿勢

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—大川さんは、多様なキャリアを積んできて、30歳を過ぎてからフリー素材モデルを始められました。この仕事を始めるにあたり、これまでの経験が活きたと思われますか?

フリー素材モデルを始めた時に僕が持っていたものってあまりないと思います。強いて言えば、ザ・グレート・サスケさんに教えてもらった、仕事現場での立ちふるまいと、家入一真さんのアシスタントで身につけたスケジュール管理能力でしょうか。個人で仕事をする上で、スケジューリングは重要です。

また、対人に関して言えば、ユニクロで接客していたときに、ある程度の基礎は出来たのかなと。それに、サスケさんの仕事をする姿勢からも学ぶことは多かったですね。サスケさんのように誰に対しても謙虚であることが、どんな仕事でも一番重要なことだと思うんです。

大川さんは全く知らない世界に飛び込んだわけですが、苦労したことはありませんでしたか?

全くなかったですね。この仕事を始めて4年になりますが、多くの方に支えられているのもあって、苦労を感じたことは一度もないです。

—苦労が一度もないというのはすごいですね。苦労を感じないために、何か工夫をされたりはしていますか?

仕事をする中で気を使っているのは、なんでも相談することです。変に自分で背負いこまないで、助けてほしい時は「助けて」と言う。そのためには、毎日自分のやることをきっちりやって信頼を構築していくことですよね。今の仕事に限らず、基本的なこと。

僕にとって大きかったと思うのは、両親が八百屋をやっていて、小学校の頃から手伝っていたことです。「働く」というのがどういうことなのか、ある程度学んでいたんです。

家庭環境は大事だと思いますね。将来、もし僕に子供ができたら、働いている姿をしっかり見せてあげようと思います。

『なるようになる』生き方。キャリアステップってどうでもいい

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—フリー素材モデルという、誰も開拓していない道に挑戦するにあたり、不安はなかったですか?

まあ、失敗してもいいんじゃないかと思ってましたね。もちろんリスクも想定はしますけど、うまくいかなかった時のことを考えてもしょうがない。それよりはうまくいくように力を注いだ方がいいじゃないですか。

まあ、なるようになるんですよ。

—「なるようになる」ですか……!では、これから先、フリー素材モデルのほかにやってみたい職業はありますか?

それも、さっき言ったように、特には考えていないですね。フリー素材モデルは死ぬまでやりたいのですが、あんまり先のことを考えてもしょうがないですし、目の前のことがきちんとできていればそれでいいなって。

転職も「タイミング」じゃないですか。なるように任せれば良いかと。

実際、僕の場合、転職は全部「タイミング」なんですよ。ユニクロはそもそも勤めていたテナントがなくなったからです。IT系の制作会社を辞めたのは、たまたま「ライブハウスやらない?」って声がかかったからです。ライブハウスは多忙で体調を崩したのがきっかけです。

一般に言うキャリアステップっていうのは、僕はどうでもいいと思ってます。もちろん、キャリアを自分で切り開いていく人はいると思うんですけど、僕はそっちのタイプじゃない(笑)。

他人の言葉に引っ張られるのは、一番よくないこと

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—お話を聞いていると、大川さんは非常にポジティブですね。それは元から持っていた気質でしょうか。

そうですね。元からの気質じゃないでしょうか。僕はそもそも、他人の言葉とか本とかにあまり影響を受けたりはしないんですよ。そういう“言葉”に引きずられるのが一番よくないと思ってて。

例えば、僕が子供の頃って「うつ」って言葉はありませんでした。この言葉がよく使われ始めたのって、インターネットが普及し始めてからだと思うんです。

本当にうつの人は仕方がないけれど、簡単に「自分は、うつだ」とか言わないほうが良いんじゃないかな。自分で「うつ」って思っちゃうから、言葉に引っ張られて気分も重くなってしまう。そういうのは、気にしないほうが良いと思います。ただ、僕自身最も仕事量が多い時に自律神経失調症や不眠症と診断された経験があるので、心が折れてしまう気持ちはよくわかります。

—少し話を変えて。大川さんは主に個人で活動されていますが、組織で働くか、個人で働くか、という問題についてはどう思われていますか。特に最近のIT業界では、フリーランスになる道を選ぶ方が多いですが。

正直、どうでもいいと思ってます(笑)。会社員だろうが個人事業主だろうが、仕事してたらなんでもいいかなと。結局、会社員がいなかったら、個人事業主も仕事が成り立たないわけですから。どちらがいいという話ではない。そういう論争は下らないとさえ思っています。

一度決めたなら、早くそのステージに立ったほうがいい

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—これまで大川さんはフリー素材モデルを含め、色々と挑戦をされてきたと思うのですが、何か決断をする時に一番気をつけていることは何でしょうか。

一番重視しているのは、直感です。選択肢がいくつかあって、迷うこともあるとは思うんですが、だいたい最初に「これだ」と決めた方が正しいと思うんですね。だから、僕は一度直感で決めたら、そこから変えたことはないです。

例えば転職でも、「決めたら動く」。「迷ってるなら動かない」。それだけの話かなと。そこで重要なのは直感と行動力。

悩むより、とにかくやっちゃったほうがいいんです。そうすれば、自分の立ち位置わかるじゃないですか。早く、そのステージに立ったほうがいい。ステージに立たない限り、絶対にチャンスはないですから。

フリー素材モデル 大川竜弥
様々な職を経て、現在はフリー写真素材サイト『ぱくたそ』にてモデル兼広報を務める。自称・日本一インターネットで顔写真が使われているフリー素材モデル。モデル業のほかに、司会業や執筆業などマルチに活動を行う。大川竜弥のブログ
Career Supli
「なるようになる」。大川さんのその一言で、肩の力が抜けるようでした。もしあなたが「自己実現」「成長」といった“言葉”に押しつぶされそうになっているとしたら、大川さんの考え方を取り入れてみてはいかがでしょう。
[インタビュー・執筆]渡邉聡一郎 [編集]サムライト編集部