10年間で6000件面談した産業カウンセラーに聞く!意識の高い若者のリアルな悩みと解決法!【後編】

意識の高い若者のリアルな悩みと解決法!【後編】

仕事は人間関係が9割』の著者で、10年前から産業カウンセラーとして多くのビジネスパーソンの悩みを解決している宮本さんに、悩みの解決方法や人間関係のポイントを教えていただきました。【この記事は前編と後編があります】

ー今回はビジネスパーソンが抱えるリアルな悩みをどのように解決へ向かわせていくのか?についてお話していただいています。前半では、ビジネスパーソンを取り巻く環境と客観的に自分を理解できるツール「ジョハリの窓」をご紹介いただきました。後半はビジネスパーソンに求められるパーソナルブランディングと本音コミュニケーションについておうかがいします。ところで、宮本さん。自己紹介がパーソナルブランディングの入り口に有効だとおっしゃっていましたが、具体的にどのような意味でしょうか?

パーソナルブランディングとは

宮本:説明しますね。まず、私が話すパーソナルブランディングというのは簡潔に言うと、「あなたは、社内外でも通用するビジネスパーソンであるか?」ということです。今を生き抜くビジネスパーソンは社内だけで通用するコミュニケーションスキルやビジネススキルだけでは将来的に不安だと感覚的に感じている人が多いという印象です。

ー確かに、今の若者を中心にセミナーで学ぶ人や週末起業などが話題となっているのは事実ですよね。

宮本:そうですよね。そこには、社内だけを見ていると何かあったときに自分は生きていけるのか?なんて不安があるという背景もあるようです。社内の上司だけに好かれ、社内のルールで出世しても、その企業が永続的にあればいいですが、そもそもそこを危うく感じているビジネスパーソンが多数いるのを現場でみています。実際に、頼母木さん(インタビュアー)はフリーというお立場だとおもいますが、お仕事でたくさんの方とお会いするだけでなく、様々な企業を出入りしませんか?

ーはい、実際に様々な方や企業のご担当者と打合せしますし、何社か業務委託を請け負い契約して仕事をしている環境にありますね。かなり高度なコミュニケーションスキルが求められると日々感じています。

宮本:ですよね。私もこうしてインタビューされていて、とても気持ちよく喋っていますから、素晴らしいコミュニケーションスキルだと思います(笑)。

フリーの方だけでなく、一般的に正社員として勤めるビジネスパーソンのみなさんも、同じような環境に置かれていることを自覚していく必要があります。社内だけで通用する様々なツールやスキルは、現代のビジネスパーソンのみなさんが置かれている環境では的確なコミュニケーションが取れなくなってきているのも実際によく起きている問題です。

ー要するに相手が社内の人でも社外の人でも的確なコミュニケーションスキルを求められる時代であるということでしょうか?

宮本:そうなりますね。例えば、他部署の方と打ち合わせするときに、ちょっと空気が違ったり温度差があったりする経験はあると思います。近年は、様々なプロジェクトチームで仕事をすることが増えており、同じチーム内に別の企業の方がいることも当たり前の環境で働くビジネスパーソンも多くいます。

今後、ますます労働人口が減少する中で、こういったことはどこの企業でも起こることではないでしょうか。極端な言い方をすると、「自分の常識は相手にとって非常識」だと思いながらコミュニケーションを取らなくてはいけません。

ーということは、自分が言いたい事や自分のことはある程度わかってくれるはずという甘えのもとで、仕事をしないためにも、的確な自己開示が重要なのですね?

宮本:その通りです。的確な自己開示には前半でご紹介した「ジョハリの窓」をつかって、“相手が誰であっても通用する自己紹介”へと変身させることが出来ます。実は、これがパーソナルブランディングへの第一歩となるのです。

伝わる自己紹介

ー自己紹介のグレードアップがパーソナルブランディングとなるという事でしょうか?それはとても興味があります!具体的なやり方を教えてください。

宮本:はい。私が実際に研修やセッションで実施しているのは、ジョハリの窓のⅠ、Ⅱ、Ⅲの窓を埋めたらその順番で自己紹介を実施してみるのです。すると、なんとなく行っていた自己紹介が「伝わる自己紹介」へと変化するのです。ではさっそく、実践してみましょう!ジョハリの窓のⅠ(開放された窓)➡Ⅱ(気づいていない窓)➡Ⅲ(隠している窓)の順で自己紹介してみたいと思います。実際に言ってみてください。

ーえ?いきなりむちゃぶりですね・・・(笑)。ではいきます。「(Ⅰ)フリーで編集をやっている頼母木と申します。今日は有効な情報を読者の方にお届けするインタビューを行わせていただきます。(Ⅱ)僕は、インタビューするときに自覚がないのですが、つい夢中になって話が脱線してしまうクセがあるようなので、そんな時は遠慮せずに突っ込んでください。(Ⅲ)それから、インタビューするときは、“有効な情報をいかに面白く伝えられるか”という想いを抱きながら行っています。こんな感じですが、今日はリラックスしてお話出来たらと思いいますのでよろしくお願いいたします。」

宮本:素晴らしい!すごくわかりやすくっていいですね!頼母木さんがどんな方なのかも伝わりました。インタビューを受ける側も突っ込みやすくなりますし(笑)、初対面でも二人の距離が縮まりますね。

ーたしかに、こう話してみると自分も楽になりました(笑)。一般的に自己紹介というとなんとなく一律な感じがしていましたが、個性も出ますし、何をどうしたいのか?も早い段階で伝えることが出来て、お互いに有効な情報ですね。ブランディングという言葉をよく耳にしますが、パーソナルブランディングというのはなかなか一般的には浸透していないかもしれませんね。

顧客価値の創造

宮本:まず、経営でのブランディングを、「顧客価値の創造(お客様に選ばれ続けること)」と考えるとします。要するに、“ニーズに応えるよりニーズを生み出す”ということです。私が定義しているパーソナルブランディングも広い意味では同じで、自分が社会において、いかに「顧客価値の創造」ができるのか?という想いが重要だと考えています。

そのためには、相手(顧客やメンバー)の気持ちに配慮した自己紹介はパーソナルブランディングの第一歩であると考えています。

ーなるほど!そうか!と思いました。この考えや詳しい手法は宮本さんの著書「仕事は人間関係が9割」にて、具体的な事が広く書かれていましたね。最後になりますが、著書にもあったように、第5章の「本音のコミュニケーションの重要性」について質問です。ビジネスパーソンにとって本音を言うということはリスクになると考える人も多いのではないかと思いますが、そのあたりを教えてください。

宮本:本音をいうことは嫌われるリスクや目立つリスクがあるので、とにかく無難に過ごしたいということをお話しされる方は多いです。人と違うことをして目立ったり、周囲と違うことを言うと、変な人だと思われてしまい排除されるという感覚があるのかもしれません。

ただし、“本音を言う”と“自分のワガママや価値観の押し付けを言う”は全く違います。先ほどの自己紹介でも出てきましたが、ⅡとⅢの窓を開示することによって、「自分も相手も本音を言える環境づくり」を行ったと言い換えても過言ではありません。

ーということは、むしろリスクを回避する環境づくりができることが「本音のコミュニケーション」ということになるのですね。

宮本:そうですね。本音を言えない環境は非常にリスクがあります。上司やチームメンバーが行ったことが意図的ではないにせよ、結果的に不正を行っていることになった場合、それは個人だけではなく、企業や社会にとってリスクとなります。このリスクを回避できるのが本音を言える環境づくりなのです。

本音のコミュニケーション

ーでは、普段のビジネスシーンにおいて、私たちはどのようなことを意識すれば、本音のコミュニケーションを行う事ができるのでしょうか?

宮本:まずは、人に好かれることを目的としたコミュニケーションはビジネスシーンにおいては不向きなコミュニケーションであると心がけることが大切です。著書にもありますが、信頼関係を構築することを目的とした「ビジネスコミュニケーション」が最も重要なコミュニケーションスキルであると考えることが重要です。

ーなるほど、ビジネスシーンにはビジネスシーン用の「ビジネスコミュニケーション」があるということですね。それはどのようにして身に付けることが出来るのでしょうか?

宮本:今は、ネットでの情報が非常に多く、ビジネスパーソンの皆さんは情報量の多さに何が真実で、何が有効なスキルなのか?と悩んでしまうと思います。ですから、一つのスキルだけ覚えて欲しいと思います。それは、「傾聴スキル」です。私たち産業カウンセラーが使う手法で「傾聴」というスキルがあるのですが、その傾聴スキルをビジネスコミュニケーションに活かすことが出来ます。

一般的に傾聴とは、ただ相手の話を一生懸命聴いて受け入れる事だと認識されがちですが、傾聴は自分を押し殺してまで相手を受け入れたり真実を追求したりするために使うものではありません。傾聴は「相手の価値観を知る」ということが重要なポイントです。

ー正直、私も傾聴というのはとにかく相手の話を一生懸命聴いて聴いて受け入れるんだ!というイメージがありました。ということは、相手の価値観を知ったうえで、本音でコミュニケーションをとっていくということでしょうか?

宮本:その通りです。ここで傾聴を詳しく説明するのは大変なので、ぜひ著書「仕事は人間関係が9割」の第3章をご覧いただけると嬉しいのですが、言えることは、相手の価値観を頭ごなしに否定し合いながらお互いに話を進めても、偽りの話合いを続けるだけで、「ビジョンの共有も新しいアイディアも生まれない」ということです。これは、ビジネスパーソンにとっては致命的なダメージだと思います。

ーなるほど、お互いに価値観を押し付けあったり、片方が我慢して納得していない状態で仕事を進めても、いずれ歪が生じるということですね。

宮本:そうですね。恋愛と似ているかもしれません(笑)。お互いに自分の主張をして、何が正しいのかについて言い合いをしてもストレスがたまるだけで、新しい解決への糸口は見つからず、信頼関係も崩れてしまうということはよくある話ですよね?

ーそれについて個人的にはノーコメントですが…。確かにお互いに自分が正しいと思いながら話を進めても平行線ですよね。

宮本:ビジネスシーンでもどちらが正しいのか?や自分はこれで成功したんだなんて話をしても進展はしません。これからはますます新規事業が活発になり、新たな感覚での挑戦、新しいモノやコト、様々な価値観を持った人たちの中でビジネスを展開していくことになると思います。お互いに価値観を知り、本音のコミュニケーションで信頼関係を構築していくことが重要なことですよね。

ーそう考えると、建前のコミュニケーションから本音のコミュニケーションへ移行している過渡期なのかもしれませんね。今回は前編・後編とインタビュー記事を掲載しましたが、こうすればこうなるというその場限りのスキルやコミュニケーションではビジネスパーソンの悩みを解決することは難しいのだと考えさせられました。本日はありがとうございました。

宮本 実果(みやもと・みか)/MICA COCORO代表 産業カウンセラー
1975年、札幌生まれ。フリーアナウンサー、鉄道企業本社広報、人材開発コンサルタントなどを経て、産業カウンセラーを取得。2007年、MICA COCOROを設立。10年間で6,000件のセッションと社員研修を行いビジネスパーソンの問題解決を多方面でサポートする。2015年から社内外で通用する人材育成を目指した「NEXT STAGE PROJECT」をプロデュース。著書は「仕事は人間関係が9割」(クロスメディア・パブリッシング)

Career Supli
自己紹介をさせられた時はびっくりしましたが非常に勉強になりました。
[インタビュー・執筆] 頼母木 俊輔  [編集] サムライト編集部