恋愛界の革命児・関口舞に聴く「ネット時代の人間関係をデザインするということ」

mai.sekiguchi

インターネットを通じた人間関係のデザイン

インターネット初期では「出会い系」というとネガティブなイメージを持つ人も多かったが、現在ではスマートフォンやSNSの普及により、人と人をつなげるマッチングサービスはごく当たり前のものとなった。今回は、そんな現代の新たな人間関係や、恋愛のきっかけとなるサービスをプロデュースしている株式会社LIPの関口舞氏に、「人間関係をデザインするということ」をテーマに話を聴いた。

関口舞氏プロフィール

1990年生まれ。明治大学卒業後、広告代理店に勤務。半年で退職し、2014年3月に株式会社プールサイドを創業。 「好きな人と両想いかどうか確認できる」純愛アプリ「one heart」をリリースし、App storeカテゴリトップ10を獲得。2014年11月に株式会社LIPを人工知能博士と共同創業、資金調達を実施。サンフランシスコでのテストマーケティング等実施後、写真を通したマッチングアプリ「nine」をリリース。事前プロモーションにはオバマ大統領夫人やドナルド・トランプ氏を始め世界で1500万人が参加した。今後は日本の少子化問題に取り組むため婚活領域にも参入。

人が幸せになれるサービスをつくりたいという原点

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ー プールサイドでは「one heart」を、LIPでは「Lemon」と「nine」をリリースされている関口さんですが、人間関係や恋愛にフォーカスしたサービスをつくろうと思ったきっかけはなんだったのですか?

新卒で半年経って会社を辞めて、プールサイドはその直後に立ちあげた会社だったのですが、実はそのときは、これがしたいという決まったものがなかったんですよね。当時は人材メディアを運営したり、ベンチャー企業の新卒採用コンサルタントをしたりして、日銭をなんとかしていたような状況だったんですけど、そんな最中、昔好きだった男子が、私のことを当時好きで、実は両想いだったということがわかって、人生こんなことばかりだなと思ったんです。

人材メディアなどを一生懸命頑張った結果、多少キャッシュにも余裕があったので、せっかくだから面白いアプリを作ってみたいなという本当に軽い気持ちで、両想いかどうかを確認できる「one heart」をリリースしたんです。そのときはマッチングサービス分野に参入しようという気持ちはなかったんですけど、リリースしてからすぐに3万人ほどのユーザーが集まって、「one heart」を通じて両想いの人たちが8%くらい生まれたんです。

「one heart」は新しい出会いではなく、既につながっている人同士のマッチングサービスなので、他のサービスと比べて、マッチングしたときの衝撃が大きいんですね。それで両想いだったユーザーの方から「おかげさまで幼馴染と付き合うことになりました」とか、LGBTの方に「男友達同士でこのアプリでマッチングして今付き合っています」といった連絡をたくさんいただいて。それがすごく嬉しくて、自分の中で気持ちが変わっていったんです。

「みんなが喜んでくれたらいいな」という気持ちでサービスを出したけど、もっとこの分野でチャレンジしたいなとか、こうやって人が幸せになれるサービスをもっとつくりたいなというふうに強く思いまして、それが一番のきっかけですね。

ひとりの女性として考えた本当に欲しいマッチングサービス

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ー Instagramユーザー同士をマッチングする「nine」はオバマ大統領夫人にも利用されるなど大きな話題になっていましたね。

年末に展開した「#2015bestnine」という2015年の中でLikeの多かった上位9枚のコラージュするサービスがすごく話題になって、オバマ大統領夫人とドナルド・トランプ氏が人気投稿のところに2人並んでいたときはびっくりして、母と大騒ぎしていました。(笑)

ー 手元から発信したサービスが世界に広がっていくというのは、すごい体験ですよね。

すごく嬉しかったですね。LIPを立ち上げてからは「one heart」のときほどのバズを起こせていないなというのが自分の中で引っかかっていたので、「one heart」を超えるものをつくりたかったんですよね。だから「nine」は自分の中で「one heart」を超えるサービスになったので、よかったなと思います。

オバマ大統領夫人のInstagram

オバマ大統領夫人のInstagram

ー 10月には新感覚の恋活・婚活サービスをリリース予定なんですよね。

自分がマッチングサービスをつくっているという身から離れて、この1,2年のあいだ、結婚相談所に登録してみたり、国内外のありとあらゆるマッチングサービスを実際に体験してみたりしたんですけど、「このサービスを利用すれば素敵な相手が見つかる」というものがなかったんです。そのことに乙女心として困ってしまって。

仕事を日々していて出会いはないですし、あったとしても仕事つながりの出会いだとなかなか恋愛にならないし、合コンなんかも一回も行ったことがなくて。

女性として、どういうサービスがあったら自分は助かるのかなというのを徹底的に考えた結果、「こういうサービスがあったら助かる」というアイデアを思いつきまして。すごく忙しい人とか、マッチングサービスにそこまで時間を割きたくない人にぴったりのアプリをつくっているので、ぜひご期待ください。

現在、こちらのページで「20代から30代の方」を対象に、この新しい恋活・婚活サービスを体験してみたいという方を募集していますので、ご興味を持たれた方はぜひご応募いただけたら嬉しいです。

20代のうちにやり遂げたいふたつのこと

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ー 「20代」という時間の中でやり遂げたいことはありますか?

まずひとつは、一人でも多くの方に素敵なマッチングを届けられるようにすることですね。マッチングや人間関係をつくるという業界の中で、私よりビジネスが上手な方はたくさんいらっしゃるんですけど、私が一番ピュアで、乙女であるという自信があるんです。そんな私が、本当に女性や男性が使って幸せになれるようなものを本気でつくりたいと思っていて「私が結果を出せるかどうかで、日本のかなりの人数のハッピーな出会いが変わる」くらいに思っています。

もうひとつが、先日ブログで「学校でいじめられている・ハブられている・うまくやっていけないと感じている小学生・中学生・高校生に。その気持ちがたぶんわかる25歳のお姉さんが伝えたいこと」という記事を書いたんですね。自分が中学時代に学校へ行けなかった時期があったりして、そういった問題に対して放っておけない気持ちがあるんです。これは現在の事業とは別に、20代だからこそ、10代の子どもたちの気持ちが理解できたり、そこまで年上でもないというところで、ある程度安心して悩みを打ち明けてもらえたりするはずなので、何かしらの形で助けてあげられるようなことができたらいいなということを個人的なテーマとして持っています。

“3年後に何のプロフェッショナルになっていたいか”という指針を持つ

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ー 最後に、キャリアに迷っている20代に向けてメッセージをお願いします。

昨今は起業していたり、フリーランスだったりという特殊なキャリアの人が昔に比べてメディアを通じて発信されやすくなってきていて、そういう人の活躍を目にする機会が増えてきていると思います。それはいいことだとも思うのですが、たまに20代前半の方で、ちゃんとその人らしく強みを活かして働いているのに、「何か変わったことをしなければいけない」という気持ちになって、「なんかよくわからないけど起業したくなってきた」みたいな風潮があるような気がします。

それが本当に自分のやりたいことならいいんですけど、「そういうことをしなければいけない」という焦りとかを感じているのであれば、起業やベンチャーがすごくいいことだとは思わないんです。

私自身社会人になって3年経ったんですけど、、3年経って周りを見渡すと、結構差が出るんですよね。差というのは、実力の差というわけではなくて、分野における専門性の差が出るなと思っていて。例えば、保険会社に就職した人は保険に関する知識のプロになっていたり、営業部に配属された人はクライアントに対して提案をするのがすごく上手かったり。3年経つとこういうふうになるんだなということがすごくあるんです。

進路を選ぶとき、自分が3年後に何のプロフェッショナルになりたいのかというのを考えてもらいたいなと思っていて、そこが曖昧なまま就職してしまうと、「3年経ったときに何の専門性も身に付かなかった」とか「この専門性は身についたけど、自分が欲しいものではなかった」とか。あるいは「他の会社に行って全然通用しない、その会社でしか通用しない専門性だった」ということもありますし、20代前半の方はそういう視点を持って会社を選んでもらえるといいのかなと思います。

Career Supli
TwitterやFacebookなどのSNSや、数多くのマッチングサービスであふれる現代においても、一種の“寂しさ”を感じている人は少なくない。インターネットを通じての人間関係のデザインは、まだ始まったばかりであり、無限の可能性を秘めている分野なのかもしれない。

[インタビュー・文]吉野 庫之介

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