人づきあいが苦手でも人脈は作れる!内気な人でもできる人脈構築術

理想的な転職には人脈が必要不可欠、だけど……

転職を通じてキャリアアップを実現する方法はいろいろあります。

そのうちリファラル転職、すなわち信頼関係のある人から「ウチを助けてほしい」「ココを助けてやってほしい」という形でオファーをもらうスタイルは、入社後の満足度も含めて考えると、一つの理想形と言えます。

リファラル転職でキャリアアップを実現するには、そこにつなげるための人脈が必要不可欠です。しかし社交的な人はともかく、自分のことを内気だと感じている人のなかには、人脈づくりに対して苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか。

今回はそういった人のために、内気な人でも実践できる人脈づくりの方法を4つ紹介します。

自分が心底興味をもてる分野」のコミュニティに参加する

人脈をつくる際にやってしまいがちな失敗として、「異業種交流会」「ビジネス啓発セミナー」への参加が挙げられます。

もちろん本当に興味があって参加するのであれば問題ありません。しかし特に興味もないのに、人脈をつくるためだけに参加してしまうと、時間と労力を無駄にする可能性が高くなります。

なぜなら、人脈づくりだけが目的になってしまうと「相手を利用しよう」という損得勘定が先行してしまうからです。

一方で、学ぶべき知識や経験、ネットワークをもっている人ほど、損得勘定で近づいてくる人間に敏感なもの。そのため、どんなにコミュニティに参加しても下心があると魅力的な人からはやんわりと敬遠され、想像していたような人間関係を築くことはできません。

人脈づくりのためにコミュニティに参加する勇気が出たのなら、「自分が心底興味をもてる分野」のコミュニティに参加することをおすすめします。なぜなら、コミュニティでの活動への関心が先行するため、損得勘定を抜きにした人間関係を築きやすくなるからです。

心底興味がもてるのなら、どんなコミュニティでも構いません。グルメな人なら堀江貴文さんも参加するTERIYAKI美食倶楽部のような美食家が集まるコミュニティでもOK。

スポーツが好きなら地元のクラブチームや、ターミナル駅付近で活動しているサークルに参加してもいいでしょう。

参加してみると、趣味は同じでも仕事や人生観などは多種多様なことに気がつくはず。損得や心理的駆け引きのない信頼関係を築くことができると、きっと心強い人脈になってくれます。

信頼がおける人のご厚意に「乗っかる」

すでにある程度の関係が築けている人から、立食パーティやセミナー、今ならオンライン飲み会などに誘われた時、引っ込み思案だと「緊張するのでやめておきます」などと断っている人も多いかもしれません。

もちろん、誘ってくれた人が苦手な人だったり、信頼ができないような人だったりする場合は、無理に誘いに乗る必要はありません。

しかし、相手が仕事やプライベートの場面で信じられる好ましい人物なのであれば、高い確率でイベントの参加者たちも「いい人」が多いもの。余計な心配はせず、相手の厚意に「乗っかる」程度の気持ちで参加してみればいいのです。

もし、それでも「役に立つ人脈が手に入るかわからないし……」と考えているのなら大間違いです。前述したように損得勘定は見透かされますし、そもそも自分の身になる人脈というのは、狙い撃って出会えるようなものではありません。

社交的な人に比べて、内気な人はそもそも人と出会う機会が不足しています。だからまずは出会う人の絶対数を増やし、身になりそうな“人脈のタネ”と出会う確率を高めるところから始める必要があります。

「信頼のおける人からのお誘い」というのは、そのための絶好のチャンスなのです。

自分のキャリアやビジョンの棚卸をしておく

人脈づくりには、深い自己理解も必要です。どんなコミュニティに参加するにしろ、参加しただけで人脈が構築できるわけではありません。参加者とコミュニケーションをとり、少しずつ信頼関係を築いていくことで、ようやく「知り合い」から「人脈」へのきっかけがつかめるのです。

この際ポイントとなるのが「自己開示」と「相互利益」です。自分がどんな人間で、どんな仕事をしていて、どんなスキルを持っているのか。こうした自己開示をして初めて、相手の人生観や仕事観を引き出すことができますし、そこを知ることで人間関係が一段階深まります。

また、お互いのスキルを提供したり補完しあえるのであれば、仕事の場面で双方に利益を得られるので、さらに信頼関係が強くなります。

この「自己開示」と「相互利益」の大前提となるのが、深い自己理解なのです。自分のキャリアとそこから得たことや価値観についての理解が浅いと、自分についてきちんと話すことも、相手に自分が利益を提供できるのかどうかを判断できません。

したがって、他人とつながるためにも、まずは自分のキャリアやビジョンの棚卸をしておくのが“はじめの一歩”でしょう。

必要以上のストレスを感じる人間関係は極力デトックス

人脈づくりにおいては広げることも大切ですが、内気な人の場合は絞り込むことも大切です。

イギリスの人類学者ロビン・ダンバーによれば、「人間の脳のサイズから計算すると、私たち人類が人間関係を維持できる限界数は150人前後である」とされています。 

「けっこういるんだな」と思うかもしれませんが、この数字には数年に一度しか連絡をとらない人間関係も含まれています。つまり、日常的に関係を維持できる人数はせいぜい50〜60人が限界なのです。

人づきあいが苦手な人になれば、この数字はさらに小さくなるでしょう。「30人ならなんとか」という人もいれば、「10人でやっと」という人もいるはずです。

そんな限られたキャパシティのなかで、自分ばかりがストレスを感じて消耗するような人とつきあっている余裕はありません。だから絞り込みが必要なのです。

絞り込みの観点は、以下です。

・自分の実績をことあるごとに自慢してくる人
・嘘をつく人、他人の陰口を言う人
・「いじる」ことで周りからの注目を集めようとする人 など

こうした人は一緒にいてストレスを感じるだけでなく、周囲の人間関係まで壊してしまう爆弾にもなりかねません。

早々に距離を置くか、直属の上司などで距離を置くのが難しい場合はできるだけ接触回数を減らし、自己の消耗を最小限に抑えることをおすすめします。

そのぶん、余裕のできたキャパシティを使って、より有益な人間関係の維持や構築に時間と労力をかけましょう。

人脈は「道具」ではないことを忘れずに

「人脈」という言葉は、ともすると出世のための道具のように使われがちです。

しかし本来の人脈とは、お互いの信頼関係のうえにはじめて成り立つもの。道具のように扱えば、あっという間に壊れてしまうほど繊細です。

ここで紹介した人脈構築術も、その前提を忘れてしまえば何の役にも立たなくなります。くれぐれも注意して、誠実に、丁寧に、人間関係を築いていきましょう。

[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部