最強の自己PRで転職面接を制す!面接官に響く自己PRの作り方

自己PRを制するものは転職の面接を制す!

「何を話すかよりも、誰が話すかが重要」これはある種の真理です。当たり前に思えるようなことでも、権威のある人や信頼性のある人が話すと「なるほど!」とみんながうなづきます。一方で権威のない人や平気で嘘をつくような人が同じことを言っても、誰も聞く耳を持ちません。

これと同じことが転職の面接の自己PRでも言えます。自己PRを求められるのは多くの場合面接の冒頭。このとき「信頼ができそうだ」「仕事ができそうだ」と思ってもらえるかどうかは、最終的な採否にまで影響を及ぼします。

誤解を恐れずに言えば「自己PRを制するものは転職の面接を制す」のです。ここではこの面接の重要な関門である自己PRの考え方や作り方を、具体的な例文とともに解説します。また自己PRの内容をしっかり伝えるために欠かせない、第一印象の磨き方についても解説します。

目次

・転職面接における「自己PR」の基本
・自己PRの場面で求められていることとは何か?
・自己PRは面接官へのプレゼント
・最強の自己PR」を作るための4つのポイント
・「情報落差」で面接官を引きつける
・「最高の第一印象」を作る5つのポイント
・1日3分で変わる!表情筋のトレーニング
・背骨の美しさをつくるトレーニング
・「良い声」を作る3つのエクササイズ

転職面接における「自己PR」の基本、理解してる?

自己PRで「指導力」「企画力」はタブー!

自己PRの大原則は「具体的であること」です。しかし具体的な内容を的確に話すのは難しいため、つい抽象的な表現を使いがちなのも事実。例えば以下のような自己PRです。

初めまして、○○○○と申します。前職では営業部のチームリーダーを任されておりましたので、指導力には自信がございます。また企画部への出入りもありましたので、企画力にも自信ありです。本日はよろしくおねがいいたします。

「自己PR」と聞いて、こうした文言をイメージする人も少なくないのではないでしょうか。しかし『面接の達人』の著者である中谷彰宏さんに言わせれば、これは典型的な「やってはいけない自己PR」です。

問題視すべきは「指導力」「企画力」といった単語です。この2つ以外にも協調性、社交性、人脈、コミュニケーション能力、行動力など抽象的な単語は、自己PRから極力排除しなければなりません。

なぜならこうした単語は全て評価のための言葉だからです。評価は面接官が下すもの。たとえそれが本当に自分のセールスポイントだったとしても、自分から「指導力がある」と言うべきではないのです。

またほとんど初対面の人物がいきなり「私には企画力があります」と宣言したところで、普通は誰も「なるほど!あなたには企画力があるんですね!」とはなりません。抽象的な言葉は具体的な実績やエピソードがあってこそ納得感が生まれます。そのため面接の冒頭である自己PRの段階では、できるだけ避けるのが基本です。

自己PRの場面で求められていることとは何か?


ではいったい何を話せばいいのでしょうか。中谷さんは『面接の達人 バイブル版』の中で、自己PRで求められている内容を3つのポイントに分けて紹介しています。すなわち「①今までしてきたことのなかで②一番新しい③自分のクライマックス」(『面接の達人 バイブル版』p45)です。

●①今までしてきたことのなかで

自己PRで語る内容は、必ず自分が今までしてきたことのなかから選び出す必要があります。面接官が知りたいのは「相手が自社に対して何ができるか」です。

前職がどんなに大企業だからといって、「業界トップの○◯社で営業職に就いておりました!」だけでは本人の実力はほとんどわかりません。営業成績がトップだったのか、最下位で何もできずにいたのかでは大違いです。

●②一番新しい

社会人歴10年の中堅ビジネスパーソンが「前職では、入社1年目でMVPをとり……」と自己PRを始めると、面接官は「そんな昔の話を持ち出すということは、それ以降あんまり活躍できなかったのか?」と不安になります。本当にそうなのであれば仕方ありません。

しかしどんなに華々しい実績やエピソードであっても、古くなるほどインパクトが小さくなるという基本は覚えておく必要があります。だからこそしっかりとキャリアの棚卸しと自己分析をして、自己PRになる過去を掘り起こしておかなければなりません。

●③自分のクライマックス

自己PRでは自分が一番輝いている「クライマックス=最高潮」を話す必要があります。

「アピールポイントは多いほど良い」と考えている人は、様々なスキルを象徴するエピソードをダイジェストのように羅列するという間違いを犯しがちです。

最初に挙げた自己PRは「指導力」「企画力」の二つでしたが、これにさらに「コミュニケーション能力」やら「協調性」をくっつけてしまうのです。

しかし残念ながら面接官は万能ではありません。たくさんのスキルをアピールされてしまうと、自己PRが終わった頃には「あれ?この人のアピールポイントは協調性と……なんだったかな……」くらいにしか話の内容を把握できません。クライマックスにフォーカスを当てれば、こうした事態を防ぐことができます。

自己PRは面接官へのプレゼント

面接官に伝わりやすい自己PRを作るためには、中谷さんが挙げる①〜③のポイントにさらにひとつのポイントを付け加える必要があります。それが「自己PRは面接官へのプレゼント」という意識です。

転職の面接における自己PRというと、自分を徹底的に売り込むための場だと考えている人も多いかもしれません。しかし初対面の訪問セールスに抵抗を示す人が多いように、信頼関係もないのにいきなり自分を売り込んで来られると、面接官も「なんだか押し付けがましい人だな」と感じてしまいます。

そうではなく、自己PRを面接官に贈るプレゼントだと考え、相手が何をもらったら喜ぶかを周到に準備してから自己PRをするのです。例えば「システム部の中堅層が一気に退職してしまって、リーダーシップの取れるエンジニアを探している」と分かれば、自分の実績やエピソードに相手が喜びそうな話はないかを探すという具合です。

中谷さんの①〜③のポイントが自己分析だとすれば、このポイントは企業研究・業界研究にあたります。企業研究・業界研究はつい志望動機のためのものと考えがちですが、実は自己PRの時点でも重要な情報収集なのです。

もちろん面接官が社長や役員などで、誰が来るのかわかっている場合は、企業研究・業界研究だけに終わらせる手はありません。個人のTwitterやブログから情報を集めれば、よりピンポイントで相手の喜ぶプレゼント=自己PRを考えられるでしょう。

自己PRの前から面接はほとんど終わっている?

1.自己PRの大原則は「具体的であること」。
2.自分が今までしてきたことである。
3.できるだけ時間的に新しい内容である。
4.自分のクライマックスである。
5.面接官が喜びそうな内容である。

ここまで挙げた上記の五つのポイントを全て網羅していても、自己PRが失敗する大きな原因が残っています。それは「第一印象」です。

心理学者であり、「自分を伝える自己表現」をキーワードに180冊以上もの著書を持つ佐藤綾子さんは、『顔における第一印象の確度と時間』の中で、第一印象の影響について書いています。

すなわち第一印象が悪いと、その人が話す内容の価値まで下がってしまい、しかも1回の対面の中でその印象を挽回するのはほぼ不可能だというのです。第一印象は数秒以内に決まるという心理学の説が多いことを考えると、自己PRの前から転職の面接はほとんど終わっているとさえいえます。

したがって自己PRを成功させるためには、自己PRの内容をよく考えるだけでなく、自分の印象を良くするための技術も身につけなければなりません。以下では具体的な自己PRの作成方法、第一印象アップの技術について解説していきます。

【「最強の自己PR」を作るための4つのポイント】

「何のための自己PRか」を明確にする


プレゼンテーション&教え方の極意・事務局代表、田中省三さんの著書『また会いたい!と思われる 自己紹介のルール』によれば、自己紹介の目的を三つ挙げています。

自己紹介の一番の目的は、「名前を確実に覚えてもらうこと」と「信頼してもらうこと」「あとで思い出してもらうこと」です。引用:『また会いたい!と思われる 自己紹介のルール』p55

同書は様々な場面における自己紹介の考え方ややり方を解説していますが、基本的には転職の面接における自己PRでも変わりません。名前を覚えてもらわなければどう考えても採用されませんし、信頼がなければ一緒に働くこともできず、面接の後「あの人良かったよね」と思い出してもらえればかなり有利です。

もちろん面接は自己PRだけで終わりではありませんが、自己PRの段階でここまでを達成できていれば、それ以降の面接はかなり楽に勧められるでしょう。

転職の自己PRに特化していえば、これらの目的の主語も重要です。つまり相手が「どの業界のどんな企業か?」「どんなポジションの面接官か?(もしくはどんな経歴の持ち主か)」を明確にするのです。ここで先ほど挙げた「自己PRは面接官へのプレゼント」という意識が効果を発揮します。

自己PRは「過去→未来」で作るべし


田中さんは前掲書の中で、自己紹介は「過去→現在→未来」の順に物語形式で話すと、相手に伝わりやすく記憶にも残りやすいと書いています。ただし転職の面接の場合、現在は「求職中」もしくは「転職活動中」なので、自己PRでわざわざ話す必要はありません。

したがって「過去→未来」の順に自己PRを作ることになります。なぜこの順序なのでしょうか。例えば「未来→過去」の場合、以下のような自己PRになります。

初めまして、○○○○と申します。私は5年後までに御社の営業売上を1.5倍にする計画を持っております。御社の財務諸表や業界の動向等を踏まえれば、十分この数値を達成できると確信しております。前職では営業部のリーダーを任されており、就任から3年目には前年比130%を達成いたしました。本日はよろしくお願いします。

いきなり未来の話を持ってくれば、インパクトは生まれます。しかし同時に「何を根拠に未来を語るんだ?」と疑問に思われるリスクも負ってしまいます。そのあとの過去の話で、営業売上をアップさせた実績やリーダーとしての資質を匂わせる内容は盛り込まれているものの、唐突さは否めません。これを逆にしてみるとどうでしょうか。

初めまして、○○○○と申します。前職では営業部のリーダーを任されており、就任から3年目には前年比130%を達成いたしました。この時の経験を生かし、私は5年後までに御社の営業売上を1.5倍にする計画を持っております。御社の財務諸表や業界の動向等を踏まえれば、十分この数値を達成できると確信しております。本日はこのことにつきましても、お話できればと考えております。よろしくお願いいたします。

「過去→未来」の順に話すと「こういう過去があるから、こういう未来を描いている」という時系列に沿った内容になります。これが話の内容を格段にわかりやすくするのです。

コンパクトにまとめてインパクトを与える


一方、話の聞き手が理解しやすいとされている情報量は、1分間に300字程度と言われています。つまり仮に1分間で自己PRするとしたら、過去・現在・未来はそれぞれ1〜2フレーズずつで終わらせる必要があるということです。

そのためには文章をより考え抜いて、伝えたいことだけが伝わるようコンパクトにしなければなりません。まずはコンパクトにまとめられていない例から見てみましょう。

初めまして、○○○○と申します。前職では卸売酒販店の店長をしておりました。日々の業務の中で様々なお酒に触れますが、自分自身もお酒が好きで、実際に飲んでは味を確かめていました。その中で出会ったのは御社が力を入れられている◯○シリーズ(商品名)ですが、味はもちろんですが、原料からラベルに至るまで全てを地産地消で作るコンセプトにいたく心を打たれました。しかし失礼ながら売れ行きはあまり芳しくないため、私は多くの大手酒造メーカーの営業マンと、数え切れない交渉を繰り返してきた前職の経験を生かし、○○シリーズをより収益性の高い事業にしていきたいと考えています。本日はよろしくおねがいいたします。

確かに300字程度には収まっています。しかし自己PRと志望動機を混同しており、自分のどのPRをアピールしたいのかがぼやけてしまっています。また一文が長い点も問題です。

数多くのセミナー講師を育ててきた株式会社ブランドファクトリー代表取締役の立石剛さんは、わかりやすく話すための第一のポイントは「一文を短く話す」ことだと書いています(『セミナー講師の教科書』p129)。

一文が長いと、その文が終わる頃にはすでに冒頭の内容を忘れ始めているため、聞き手は話を理解しづらくなるからです。「自分のどのPRをアピールしたいのか」の明確化と文章の短文化、この二つを踏まえてコンパクトにした自己PRが以下のものです。

初めまして、○○○○と申します。前職では卸売酒販店の店長をしておりました。各酒造メーカーの営業マンとの交渉の数は誰にも負けません。またその交渉の中で各社営業マンのノウハウや、強み・弱みについても大いに学んできました。この経験を生かし、御社が現在力を入れられている○◯シリーズを3年後までに黒字化したいと考えています。本日はよろしくおねがいいたします。

話す内容を自分のアピールポイントに絞り込むことで、何を伝えたいのかが明確になっています。一文を短くすることで「過去→未来」の構造もはっきりするので、理解もしやすいはずです。「あれもこれも伝えたい!」と考える気持ちもわかりますが、コンパクトにまとめた方がむしろインパクトは強くなることを知っておきましょう。

「情報落差」で面接官を引きつける

体裁を整えるだけでなく、内容のクオリティも重要です。そこで問題となるのが「何を話すか」です。実績やエピソードがたくさんあるにせよ、あまり見つからないにせよ、何を基準に自己PRに組み込めば良いのかは誰しもが悩むもの。そのときに基準となるのが「情報落差の有無」です。

転職の面接における「情報落差がある」とは、面接官と自分との間で自分しか知り得ない情報がある状態を指します。もちろんこれは仕事に全く関係ない情報落差ではなく、仕事にできるだけ近い情報落差である必要があります。LINE株式会社執行役員の田端信太郎さんは、これについて以下のように言及しています。

このように言われると「そんな立派でユニークな実績やエピソードは自分にはない」と思う人も多いかもしれません。しかし先ほど例に挙げた卸売酒販店の元店長でも情報落差は持っています。それは転職を希望する酒造メーカーの面接官では手に入りにくい「各社営業マンのノウハウや、強み・弱み」です。

違う業界に転職する人は、今の業界の技術やノウハウが転職先の業界に応用できれば、それだけで情報落差を作り出せます。また大企業から中小企業への転職を考えている人なら、大企業にしかできない大規模なマーケットでの経験は情報落差の材料になるでしょう。

面接官の経験や知識が豊富であるほど情報落差を作るのは難しくなりますが、裏を返せば面接官によっては簡単に情報落差を作り出せるということです。諦めずに自己分析と業界・企業研究に力を注ぎましょう。

【「最高の第一印象」を作る5つのポイント】

自己PRのための準備が整ったら、次はその内容をしっかりと伝えるために必要な第一印象を磨いていきましょう。何も整形をしたり、やたらと高級なスーツや腕時計を買う必要はありません。「目」「表情」「姿勢」「声」「体のパーツ」を使いこなせば、最高の第一印象は作れます。