生ける伝説の投資家ウォーレン・バフェットが愛される理由

伝説の投資家

先月、アメリカネブラスカ州最大の都市オマハで開かれたバークシャー・ハサウェイの株主年次総会に4万人の参加者が詰めかけました。彼らの目的は「伝説の投資家」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏

彼は、世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの最高経営責任です。米「フォーブス誌」の長者番付ランキング3位にして総資産は727億円。綿密な市場と社会の分析によって株主投資を大成功させた強者とはまさに彼のことです。

多くの投資家や株主に愛される人柄は、金融家のステレオタイプからかけ離れています。彼の哲学から成功へのエッセンスを学んでみましょう

何よりも誠実であれ!

評判と人脈によってゼロから会社を起こしたバフェット氏がとりわけ重きを置くのは人材。人事採用の際には自分と似た精神を持っているかどうかを慎重に見極めます。

第一の基準は誠実なこと。これは「権力を分散させる」バークシャー・ハサウェイの経営方針に深く関係しています。バフェット氏は60の子会社すべてに幹部を立て、全面的に経営をまかせているそう。責任を与えるだけの信頼に値するか、ということは会社にとって重要なファクターなのです。

最大の目的はお金儲けではない!

お金を得るのが目的ではないこと。これもバフェット氏が大切にするポイントです。

彼は企業を買収する際に必ず「君はなぜこの仕事をしているのか。目標は?」と尋ねます。富のためということを匂わせれば買収は中止。「会社のため、会社が好きだから」という答えがバークシャーの思想にマッチしています。

「大事なのは自分が好きなことをとびきり上手にやることです。お金はその副産物にすぎません」という言葉を残している彼。お金ではなく、会社を第一に考えることが、ゆくゆくは大きな利益を生むということでしょうか。

質素であれ!

「使う金は入る金より少なく」がモットーのバフェット氏は、大富豪にもかかわらず質素なことで有名です。

資産家はリムジンに乗るのが常ですが、彼はイエローキャブの常連。幹部ともどもタクシーにぎゅう詰めになって大事な商談に向かうということもありました。また、買収先を決める時にも、コンサルタントは使わず自分の脚でリサーチするといいます。

トップが倹約家であれば、それが企業のカラーになっていくもの。彼の小さな節約は組織の大きな無駄を防いでいるのです。

堅実さが利益を呼ぶ!

ギャンブルのようなイメージのある投資ですが、バフェット氏は堅実に成果を出すことを重視しています。

「私の仕事とは、大きな安全域の中で、”企業の内在的な価値”と市場価格の差を利用して利益を得ること。これにつきます。」という言葉の通り、彼が買収するのはベーシックでシンプルな事業の子会社のみ。5年~10年先のことを考慮しての判断です。

派手さはないものの、目先の損得に左右されることなく、未来のことを見据える忍耐力を教えてくれます。

大事なのは永続性!

何十年も同じ家に住み続けるというバフェット氏は、会社も不変的であることを望みます。

買収先とは「将来、絶対売却せず、経営をまかせます」という契約を結ぶのだそう。買収が割安になるだけでなく、子会社とのつながりも堅固になります。

こうして生まれる「家族関係」的な経営はバークシャーの大きな強み。全体が親族のように一つの企業マインド・価値・文化を共有することで一枚岩の強い組織が出来上がるのです。

心はいつもオープンに!

画像出典:Flickr Aaron Friedman

常に気取らず率直であることもプラスの作用を及ぼします。

年に一度の株主総会では、株主たちの60を超える質問に対して一つ一つ丁寧に応対しました。子会社3Gキャピタルの人員削減に関する鋭い質問に対しても、「企業は利益を上げねばならないから、社員数を適切な規模に保つことは各企業の幹部にゆだねられている」と率直に答えます。

コツやノウハウを隠したがる投資家と相反する率直さは人をひきつけ、より大きな信頼と評判を呼ぶのです。

シンプルな要因が繁栄を生む

顧客にしろ、社員にしろ、人への対応に心を砕くことは、会社の利益や生産性の向上となって彼のもとに返ってきます。

「並外れたことをしなくても、並外れた業績を残すことができる」というのはバフェット氏の名言。自分自身が誠実であること、お金に目が眩まないこと、正直であること・・・シンプルな要因が他人を動かし、大きな繁栄を生むのです。

トップ画像:Flickr LinkHuman
[文・編集] サムライト編集部