「女性が働きにくい職場」に未来なし!ユニーク制度のある5社の取り組み

女性が働きにくい職場」に未来はない

日本の企業はまだまだ「女性が働きにくい職場」が多いのが現状です。しかし少子高齢化が進み、男性の労働人口が減少する中で、女性を活用できない企業は、遅かれ早かれ人材面で枯渇するでしょう。これからの時代、人事もより女性に「働きやすい!」と感じてもらうような制度を整えていかなくてはなりません。ここでは5つの企業のユニークな人事制度をピックアップしています。ぜひ参考にして、自社に眠っている「女性」の力を活用しましょう!

大光電機の「融通の利きすぎる人事異動」

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代表取締役社長の前芝辰二氏が『女性に優しい会社 大光電機』という本まで出しているのが、照明器具メーカーの大光電機です。育休産休後の女性の職場復帰率100%が当たり前になっており、部長や課長など管理職への女性登用も積極的に行っています。

同社の人事で特筆すべきが恐ろしく「融通が利く」という点です。結婚1年目の夫婦のうち、夫の方が東京から福岡に転勤が決まったことに対し、妻も「私も福岡に転勤したい」と言ったとします。この申し出に同社は二つ返事で「OK」を出してしまうのです。

このような異動は、結婚しておらず交際しているだけでも許可されるというのだから驚きです。さらには他社に勤める旦那が、大光電機の営業所のない愛媛に転勤になったにもかかわらず、自分も愛媛に転勤したいと言い出した女性社員がいた時にも、松山営業所を新設してまで対応しています。

女性社員を大切にし、どこまでもフォローする企業だからこそ、職場復帰率100%という驚異的な数字を維持し続けられるのでしょう。

サイバーエージェントの「macalon(マカロン)パッケージ」

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サイバーエージェントは2014年に「macalon(マカロン)パッケージ」といういかにも女性向けの人事制度を導入しました。この制度の目的は「出産・育児を経ても女性が長く継続して働くことができる職場環境」です。マカロンパッケージは次の5つの制度から構成されています。

1.エフ休
2.妊活休暇
3.妊活コンシェル
4.キッズ在宅
5.キッズデイ休暇

エフ休とは女性特有の体調不良に際して取得できる月1回の特別休暇を指します。「エフ」は女性を意味する「Female」の頭文字。同社は通常の有給休暇など、女性社員が取得する休暇を全て「エフ休」と呼ぶことで、女性が休みを取りづらくならないような配慮をしています。

妊活休暇は不妊治療中に月1回取得できる特別休暇で、当日取得も可能な制度です。妊活コンシェルでは妊活に興味や不安のあるジ社員が専門家に月1回30分の個別カウンセリングが利用できます。

キッズ在宅は子供の急病などを理由に利用できる在宅勤務制度、キッズデイ休暇は子供の入学式などの学校行事を理由に取得できる特別休暇です。自分自身の体や家族のために大手を振って休暇をとったり、在宅勤務ができるような制度になっています。

資生堂の「きゃりなびランチ」「イクメンランチ」

化粧品メーカーの資生堂は2010年から「女性リーダーの任用・育成強化」「働き方の見直し」を実行するために様々な取り組みを行っています。そのうちの1つが「きゃりなびランチ」。これは社内外の女性ロールモデルを講演に招いて開くランチ会です。これにより女性社員のキャリア意識の向上と女性社員間のネットワーク形成を図っているのだとか。

同社では他にも社外や女性役員の講演やラウンドテーブルなどのプログラムを実施する「キャリアサポートフォーラム」、女性管理職輩出の土壌を作るための「女性上司向けセミナー」なども開催しています。

対して「イクメンランチ」とは育休取得経験のある男性社員とその上司のインタビューを中心とする意見交換会です。当事者の女性だけでなく、彼女たちをサポートする男性への啓発も、これからの女性の働き方を変えるには必要になってくるでしょう。

資生堂は他の企業に先駆けて、育児休暇や時短勤務を導入してきたことで有名です。しかし今年4月、こうした方針を転換し、育児中の社員にも平等な勤務シフトやノルマを与えるという内容が9日のNHKニュースの特集で放送されました。今後の動向に注目が集まっています。

ユニチャームの「Fresh-Mom Recruitment」

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2014年2月、ユニチャームは2015年度の新卒採用者から「Fresh-Mom Recruitment」制度の導入を決定しました。この制度は妊娠や出産の予定がある内定者に対して、入社資格(内定)を30歳になる(29歳の12月末)まで継続するというもの。応募方法は自己申告で、入社のタイミングは同社との話し合いで決定することが可能です。ユニチャームはこの制度を導入することで、女性社員が仕事に集中できる状態で入社するため、短期間での成長が見込めるとしています。

企業の業績の浮き沈みも考えると、これはかなり人材リスクを高める制度です。大幅にスタートが遅れても確実に成長できる人材の見極めが肝心となるでしょう。他の企業が導入するのは難しいかもしれませんが、女性の子育て時間の充実とキャリア形成の可能性を広げるためには必要な施策と言えます。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの「チャイルドケア支援金」

ヘルスケア用品メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人も、女性活用を積極的に行っている企業の1つです。年間20日までの在宅勤務制度(育児・介護に適用)や、子供が小学3年生になるまで適用がうけられる1日最大2時間の就業時間短縮制度など、メジャーな制度のほかにも「チャイルドケア支援金」という制度を設けています。

これは1ヶ月以上の育休を取得した社員に対して、年間30万円最大7年間の補助金を支給するという制度です。ベビーシッター費用や育児を手伝ってくれる親御さんの交通費など、育児に関することならほとんど適用がうけられるのが特徴。

他にも女性の活躍を推進するイベントやセミナーを定期的に開催する「Women’s Leadership Initiative(WLI)」という有志のグループもあります。女性が活躍するためには、女性自身も変わらなくてはならない。「有志のグループ」という点に同社の女性社員たちのそんな思いが感じられます。

「女性が働きやすい職場」=「女性に甘い職場」ではない!

こうして5社の女性社員に対する制度を見てみると、必ずしも「女性を甘やかす」制度だけではないことがわかります。もちろん女性がより働きやすい環境を作るためには、女性ならではの問題に対応する制度は必要です。しかしそれと同時に、資生堂の「きゃりなびランチ」やジョンソン・エンド・ジョンソンの「WLI」などに見られる、女性自身が変わるための仕組みがなくてはなりません。

ここで挙げた制度を参考に自社の状況と照らし合わせながら、女性社員の中に眠る力をフル活用するための制度を、整備していきましょう。

Career Supli
こういった取り組みを記事にしなければいけないくらい、まだ日本の企業の制度や意識は低いのが現状です。もっと女性が働きやすい環境を整備していかないと日本の未来は暗いですね。
[文・編集] サムライト編集部