内藤 誼人の失敗しない転職の秘密vol.3肌のあわない人にこそお願いをしよう

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ビジネス心理学の第一人者として実践的な心理学の応用に力を注ぎ、多数の著書を出版されている人気作家の内藤 誼人さんに「失敗しない転職のコツ」について寄稿いただきました。3回に渡ってお届けするスペシャル連載、第3回めです。第2回めはコチラ。

内藤 誼人の失敗しない転職の秘密vol.2転職して真っ先にするべきことは?

自分とは肌が合わない人

晴れて転職をしたのはいいものの、転職先にどうしても自分とは肌が合わない人がいるとしよう。理由はわからないが、なぜかとても自分に対して敵対的な態度、嫌悪的な態度をむき出しにしてくるような人がいた、としよう。

このような場合、みなさんはどういう対応をとるであろうか。おそらくは、「あなたがそういう態度をとるなら、こっちだって敵対的な態度をとってやるからな!」と思うであろう。これでは、まさに売り言葉に買い言葉で、お互いの関係がギスギスしたものになりかねない。

では、自分に対して、あからさまな敵意をむき出しにしてくるような相手にはどのような対応をとるのが正しいのか。実を言うと、肌のあわない人にこそ、すり寄っていくのがよい。拒否的な対応をするのではなくて、その反対のことをするのである。ことあるごとに相手を頼りにし、相手に相談やお願いに出向こう。

フランクリン効果

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画像出典:Wikipedia

私たちは、自分に近寄ってきてくれる人に対して、悪い感情は持ちにくいものである。かりに悪感情を持っていても、グイグイと近寄ってこられると、その悪感情が次第に弱まってきて、ついには消失してしまうのだ。「ウソだろう」と思うかもしれないが、これは本当の話なのである。心理学には、「フランクリン効果」という、よく知られた原理がある。

フランクリンとは、18世紀のアメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンのことである。フランクリンは、名うての“人たらし”であり、植民地時代のアメリカがフランスからの援助を必要としたとき、アメリカ代表としてフランスに出向いたのもフランクリンだった。

フランクリンは、だれに対しても愛想がよく、人当たりのよさを見せたが、それでも彼のことを嫌う人はいた。しかし、フランクリンは、自分を嫌っている人間のところには、自分からどんどん近づいて、いろいろとお願いや相談をするのが常であった。

たとえば、自分に冷たい態度をとる議員がいたりすると、「あなたは大変珍しい本をお持ちだそうですが、数日だけ貸してくれませんか?」と頭を下げたりしたのである。インチキな理由をデッチあげては、どんどん相手に近づいていくのがフランクリンのやり方であった。

不思議なもので、そうやって近寄ってこられると、相手もまんざらではない気持ちになる。「本を貸してくれてありがとう」などと感謝されれば、たとえ嫌いな相手からでも、悪い気はしないものだ。

そういうやりとりが何度か続けば、「嫌い」という気持ちが減っていくばかりか、むしろ「好意」へとつながっていく。これを心理学では「フランクリン効果」と呼ぶのである。

肌が合わない人がいるのは、しかたがない。人間なのだから、どうしても虫が好かないとか、相性が悪い、ということはあるであろう。それ自体は、どうしようもないことである。

自分から近づく

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ところが、たいていの人はそういう場合には、相手から距離をとろうとしてしまう。これではよくない。距離をとっていたら、いつまでもお互いの嫌悪感が減ることはないし、むしろ強化されてしまう。

だからこそ、「どうしてもこいつとはウマが合わないんだよな…」というときには、その相手を避けるのではなく、むしろ近づいていく口実を作るのである。

転職先であれば、書式のフォーマットが以前の会社と違うので教えてほしいとか、ランチを食べるときには、どのお店がおススメなのかを教えてほしいとか、いろいろな理由をデッチあげては、相手を頼りにするのである。そういうやりとりをくり返せば、そのうち相手のほうからにこやかに近づいてくるようになるだろう。

好意は返ってくる

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自分に好意を寄せて近づいてきてくれる人のことを、私たちはいつまでも嫌いであり続けることなど、できないのだ。

相手がみなさんを嫌っているからといって、こちらも拒否的な態度をとるのは大人げない。むしろ、こちらが好意を示すようにすれば、相手からも好意が返ってくるはずだ。

内藤 誼人 氏 プロフィール
心理学者。有限会社アンギルド代表。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。ビジネス心理学の第一人者として、実践的な心理学の応用に力を注いでいる。自然を愛するナチュラリスト。どんな女性にもやさしいラディカル・フェミニスト。主な著書に「仕事力より“社渡り”力 会社でなぜかうまくいく「人たらし」の心理テクニック」「「不安」があなたを強くする 心配性だからこそうまくいく54の法則」「「他人に怒れない」をやめる6つの方法」「人たらしになる会話術」など。

 

Career Supli
フランクリン効果は実体験で感じたことがあります。嫌っているという気持ちは相手にも伝わってしまうので、嫌だなと思う相手ほどあえて近づいてみると、実は意外に話せる人で仲良くなれることも多いのです。ぜひ試してみてください。
[文]内藤 誼人 [編集] サムライト編集部

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