30代からの転職を成功させるコツ7選

30代からの転職の作法

30代は20代とは違い、「やる気」や「勢い」だけでは転職できない年代です。もちろん年齢だけを理由に不採用になるケースは多くありませんが、それでも30代に相応の転職の戦い方を身につけておく必要があります。以下では7つのポイントに分けて、その戦い方を提案します。

「学習する習慣」を持っておく

30代ともなると「もう10年も社会でやってきた」という自負が生まれ、ついつい自分の殻に閉じこもりがちです。しかしビジネスにおいて30代はまだまだ伸び盛り。その時点で成長を止めた人材に魅力はありません。読書やセミナーへの参加、通信講座の受講などで学習する習慣をつけておけば、「まだまだ向上心のある人なんだな」と面接などでも思ってもらえます。

このときに大切なのは「具体的なビジョンを持っていること」です。いくら学習する習慣をアピールしたいからといって、意味もなく「ボールペン習字通信講座」を受けたり、「30代のためのマンション経営セミナー」に参加してもアピールポイントにはなりません。「こうなりたいからこの勉強をする」という明確な目的を持って学習しましょう。

「組織を客観視する時間」を設ける

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転職で最も嫌われるのは「前の会社では〜」「今の会社では〜」という言い方です。組織への参加や共感はビジネスパーソンとしての必須スキルですが、所属する組織の価値観に染まってしまって客観視できなくなるのはNG。転職を本気で考えるなら、定期的に今所属している組織を客観視する時間を設ける必要があります。

そうするためには会社と家の往復をするだけの毎日から脱却し、他社の人と会う機会を作ったり、まったく違う業種・職種の人との交流を持たなくてはなりません。そうした経験はより多角的なものの見方を育み、必ずや転職にも役立つはずです。

「自分らしい仕事」を追求する

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20代の転職で「自分はこういうやり方で仕事をしてきました!」と熱弁をふるっても、あくまで「若い人の言うこと」で終わってしまいます。しかし30代になれば自分の仕事のやり方を持っていない人は、仕事にこだわりのない受け身の人と見なされてしまいます。

与えられた仕事をこなすだけで若年者よりも人件費のかかる30代に、人材的な魅力はゼロです。そういう人材は多くの場合すでに社内にいるので、わざわざ新しく雇う必要性もありません。

これまでやってきた仕事を振り返って、その中に「自分らしさ」を見出してみてください。「こういう仕事ではこんな工夫をした」「こういう仕事で周囲から頼られている」そんなところに自分らしさはあります。

「30代の人材に求められるもの」を知っておく

Taking life seriously. Portrait of handsome young man in formalwear adjusting his glasses while standing against grey background

30代の人材が転職市場で求められるものは、ずばり「実績」です。そのため転職の選考では必ず実績をアピールしましょう。転職の前に自分のこれまでの実績を振り返っておくことも重要です。逆にこれから転職しようとするポジションや分野で実績がない人は、かなりの苦戦を覚悟しなくてはならないでしょう。

人事・組織開発やキャリア開発を専門とし、大学でも教鞭を執る小杉俊哉氏は、かつてマッキンゼーから転職する際にかなり苦戦したそうです。「マッキンゼーのコンサルタント」なら引く手数多のように思えますが、それ以外の分野で実績のない32歳の小杉さんの市場価値はそれほど高くなかったのです。

専門性×αで差別化を図る

People drinking protein shakes at the fitness bar in a gym
10年近くも働いていると専門的な知識やスキルを身につけているのは当たり前です。したがってそれだけでは転職市場で差別化を図ることはできません。

「取引先と太いパイプを持つ能力に長け、いつでも頼り頼られる関係を築いている」「社員だけでなく役員や社長にも頼られるNo.2のポジションを実力で確立している」など、専門性以外の要素を専門的知識やスキルに掛け合わせることで、オンリーワンの人材になる必要があります。

実はこれができるのは30代だけ。専門的な知識をつけるので精一杯の20代では早すぎ、新しく身につけるには40代では遅すぎるからです。

「年収減」を覚悟しておく

ある程度年収や高いポジションを獲得している人は、転職した場合の年収減・ポジションダウンは必ず覚悟しておくべきです。ある調査によると、30代前半の転職であれば5割近くが「年収増」4割程度が「年収減」というデータも出ていますが、30代後半にもなるとほぼ確実に年収減・ポジションダウンが待っています。

これらを受け入れずに転職先を選り好みしていては、最終的に転職に失敗する可能性大です。もしどうしても受け入れられないようなら今は転職を諦め、どんな会社も欲しがるスーパービジネスパーソンになってから転職を始めましょう。

「落ち着きたい」うちは転職しない

「これまでノンストップで働いてきたけれど、そろそろ落ち着きたい」という消極的な理由や、「ずっと同じ会社にいるから別の会社も体験してみたい」などの緊張感の欠けた理由で転職を志すと、多くの場合痛い目を見ます。転職は少なからずチャレンジングなライフイベントです。

新しい職場に入ると周囲との信頼関係を構築したり、そのための成果を残すために走り回ったりする必要があります。にもかかわらず「転職して落ち着きたい」というのは、あまりにも楽観的な考え方なのです。

「別の会社も体験してみたい」という理由も同じ。長く勤めるほど人柄や役職、経験などを担保に周囲の人が動いてくれています。転職すればそれもなくなり、またゼロからのスタートです。緊張感の欠けた状態でうっかり採用されてしまうと「こんなはずはなかった」と後悔するだけです。

まだ「老成」するには早すぎる

小杉氏曰く30代は「無茶をやっても世間はギリギリ赦してくれる」年齢です。「もう自分も30代か……」などと老成するのはまだまだ早いのです。ここに挙げた7つのポイントを押さえつつ、まずは転職市場に身を置いてみるのも1つの手です。もし失敗してもまだ取り返しのつくうちに、最後の「若気の至り」をやってみてはいかがでしょうか。

参考文献『30代の働き方には挑戦だけが問われる』
Career Supli
30代での転職には戦略が必要です。上記の内容を踏まえて自分の転職戦略をじっくり考えてください。
[文・編集]サムライト編集部