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『東京タラレバ娘』を笑ってる場合じゃない
東村アキコさん原作の漫画であり、吉高由里子さんなどが出演するドラマ『東京タラレバ娘』。漫画連載当初から独身アラサーたちの心をえぐり、賛否両論を巻き起こしてきた本作ですが、ドラマでも同様のリアクションが起こっています。
しかしアラサーでなかろうと独身でなかろうと女性でなかろうと、実はこの作品は「笑えない話」です。○○だったら、△△すれば……こうした口癖や思考癖がある人は、誰もが真剣に読むべき(観るべき)物語なのです。
ここでは原作7巻までの内容を踏まえたうえで、「タラレバ」を卒業し、充実した人生への第一歩を踏み出すための4つのルールを提案します。なお、若干のネタバレがあるため、「ネタバレ絶対NG」の方はご注意ください。
「タラレバ」が呪いに変わるとき
○○だったら、△△すれば……『東京タラレバ娘』の中でヒロインたちが毎回のように口にするこのセリフは、どんな場合でも言ってはいけないわけではありません。例えば旧友と再会して昔話に花が咲いたとき、あるいは辛いことがあってどうしても気持ちを慰めたいとき、タラレバは手軽に楽しめる話題だからです。しかしヒロインたちのように口癖や思考癖にまで発展すると、それはもはや呪いです。
現実の時間の流れはこの回転寿司のレーンとは違うんタラ
現実はこう
時間(とき)の流れは一方向
回転なんてしないんタラ
引用:『東京タラレバ娘』第6話
タラレバでごまかしている間にも、現実はどんどん前へ進んでしまいます。気づいた頃には事態はさらに悪化していますが、タラレバの呪いにかかっているうちはその現実さえもごまかしてしまいます。待っているのは不満ばかりの人生です。
これは何も恋愛に限ったことではありません。「お金がたまったら独立するんだ」「もっと時間があれば自己投資だってできるのに」こんなセリフを無自覚に吐いている男性たちは、まさに「タラレバ息子」です。タラレバ娘もタラレバ息子も、タラレバの呪いにかかってしまっているのです。
充実した幸せな人生を歩むためには、この呪いを振り払わなくてはなりません。以下ではそのために守るべき4つのルールを提案します。
ルール1:「自分の幸せ」を明確にする
『タラレバ娘』のヒロインたちは度々「自分の幸せ」は何なのかと自問自答します。しかし少し都合の良い現実を見つけると、これ幸いと飛びつきます。そのためいつまでたっても自分の幸せが明確になりません。
自分の幸せは人生の指針です。これが不明確なままでは、次の一歩を踏み出す勇気が出ません。「どこに行くのか」をまず明確にする必要があります。
「幸せ=欲望が満たされること」です。ではこの欲望とは何でしょうか。人材教育コンサル会社「アチーブメント」代表取締役社長の青木仁志さんは、著書『一歩前に踏み出せる勇気の書』の中で、人間の欲望は以下の5つで構成されると書いています。
1.生存 心身ともに健康で生きようとする
2.愛と所属 愛し愛される人間関係を築きたい
3.力 自分の価値を認められたい
4.自由 精神的、経済的自由を得る
5.楽しみ 主体的に何かを楽しむ
引用:『一歩前に踏み出せる勇気の書』
まずはこれを基本として、自分の幸せを根気強く自問自答してみましょう。きっと人生の指針が見えてくるはずです。
ルール2:「変えられるもの」を理解する

しかし指針が見えただけでは人生は好転しません。自分の人生における「変えられないもの」と「変えられるもの」の区別を理解する必要があります。
●変えられないものとは?
もし涼ちゃんが音楽で成功してたら
こいつみたく若いうちに売れっ子になってれば
私多分結婚してたのに
引用:『東京タラレバ娘』第6話
ヒロインの一人、香のこのセリフには「過去」と「他人」という、2つの代表的な変えられないものが含まれています。これ以外にも政治や世界情勢など、個人の力ではどうにもならない問題も、変えられないものに含めていいでしょう。人生の指針=自分の幸せを考えるときは、こうした変えられないものを極力排除しなければなりません。
自分の力で変えられないというのはつまり、自分の力で自分の幸せを手に入れられないということだからです。自分の幸せを自分以外の何か(もしくは誰か)に委ねてしまえば、結局また「○○がこうだったら」「△△がこうなれば」というタラレバに逆戻りです。
●変えられるものとは?
これに対して変えられるものは「今」と「自分」です。自分の幸せはこの2つを軸に考える必要があります。
ただしこのうち「自分」の中には、変えられないものが混じっています。それは例えば身長や生まれ、顔などです(整形や戸籍の変更をすれば変えられますが)。これらは過去の要素を多分に含むため、たとえ自分に属するものでも変えられません。
自分の中で変えられるものの代表は「思考」と「行動」です。これらを自分の幸せに合わせて変化させることが、タラレバを脱却し人生を好転させる絶対条件となります。
ルール3:「目標」をコントロールする

思考を変えたり、具体的な行動を起こすためには目標が必要です。しかしこれを安易に決めてしまうと、実績もないのに「3年後までに年収2,000万円」という目標を立てたり、恋人もいないのに「来月までに結婚する」と言い出したりすることになります。これでは目標を達成できません。
私たちは目標を達成することで自信を持ちます。自信を持つとより大きな目標にチャレンジしたくなるので、成長や成功にどんどん近づいていきます。そのためには目標を適切にコントロールし、確実に達成していく必要があるのです。
設定した目標が適切なものかどうかを判断するときは、目標を細分化してみましょう。そこで達成までの道のりが明確に細分化できれば、その目標の実現可能性はかなり高いといえます。一方で細分化できない度合いが大きいほど、実現するのは難しいでしょう。
ルール4:「思考」は「行動」で変える
私たちはつい自分の思考をコントロールできると思いがちですが、実は思考をコントロールするのは至難の技です。どこかで「やりたくない」と思っている仕事は、努力して「やりたい」と思い込もうとしてもなかなかそうは思えません。
『タラレバ娘』のヒロイン倫子も、イケメンバー経営者奥田に口説かれて奥田との幸せを選ぼうとしますが、結局自分の趣味を押し付けてくる奥田が受け入れられず、別れを選んでいます。つまり思考で行動を変えるのは難しいのです。
それよりも、行動で思考を変える方が格段に簡単です。前述の青木仁志さんは毎日の行動の中に成功につながるパターンを組み込み、それを欠かさず実行しているのだそうです。
青木さんがパターン化した行動の中には「目的・目標のチェック」「1日の行動計画のチェック」と、「その日の振り返り」「次の日の準備」が組み込まれています。これを何も考えずに実行するだけで、思考が整理され、次の行動につながるようになっているのです。
「行動目標(KDI:Key Do Indicator)」も行動で思考を変える際に役立ちます。KDIとは行動を定量化したものです。例えば「3年後までに結婚する」という目標に対してのKDIは「半年後までに継続して毎月2回婚活パーティーに参加する」「婚活パーティーで知り合った人の好きなところを10個見つける」「連絡先を交換した人とは最低2回はデートする」などが考えられます。ポイントは実行するだけで思考の変化が見込めるKDIを設定することです。
「タラレバ」の呪いを振り払え
ここで挙げた4つのルールを守っていれば、自然と思考と行動は変わっていくはずです。その頃にはタラレバの呪いはすっかり消え、充実した人生が始まっているでしょう。タラレバ娘もタラレバ息子も、タラレバばっかり言っていては幸せになれません。まずは第一歩を踏み出し、人生を変えましょう。
参考文献『東京タラレバ娘』1巻~7巻,『一歩前に踏み出せる勇気の書』
