いま転職すべき!?プロが教える転職すべきタイミングのサイン

役に立たない?転職のアドバイスあれこれ

皆さんはこのようなアドバイスを受けたことがないでしょうか?

「転職は勢いだから、大胆に決めてすぐに行動したほうがいいですよ。」

「転職は人生の大事なタイミング。拙速に動かずにしっかりと情報収集して慎重に判断した方がいいですよ。」

どちらも正しいように聞こえますし、実際どちらも特定の立場に立てば正しいのだと思います。アドバイスとは自身の経験から導き出されることが多いので、前者のアドバイスをする人は大胆な意思決定が結果として好転した経験を持ち、後者のアドバイスをする人はその逆の経験を持っているのでしょう。

転職に限らず、アドバイスとは得てしてこのようなものです。

ことわざも、逆の意味を持つものばかりです。

「善は急げ」↔「急いては事を仕損じる」
「一石二鳥」↔「二兎を追う者は一兎をも得ず」
「二度あることは三度ある」↔「三度目の正直」
などなど。

では、アドバイスとは機能的な意味を持たないものなのでしょうか。

そんなことはありません。
今回は、どのような立場においてもキャリアをポジティブなものにするために重要な考え方を紹介したいと思います。

転職市場をどの程度意識するべきか

このコラムを執筆している2018年7月現在、転職市場は活況そのもの、ほとんどの業界で人手不足が騒がれ、求職者有利と言われています。これまでは手の届かなかった大手企業が採用の門戸を拡大しているため、内定を獲得している求職者の例をよく耳にします。

現在のマーケットは転職のサインなのでしょうか。筆者は、マーケット状況はひとつの要因にはなり得ますが、サインとまではいかないと考えています。

あえてことわざを使いますが、「人間万事塞翁が馬」です。簡単に言えば、何が幸福なのかわからない、ということを意味します。これに筆者なりの解釈を加えると、自身の力ではないどこかから降ってきたラッキーに身を任せても、それ自体が今は良いことでもやがて良くない方向に転じる可能性が大きい、ということです。

今の市場に身を任せてこれまで手が届かなかったような企業に転職しても、その企業がやがて不況に襲われると今度は「活躍できていない社員」が槍玉に挙げられます。その矛先が自分に来ないとは言い切れません。

では、どのような視点を大切に転職について考えればよいのでしょうか。

人生の主人公はいつだって自分自身

筆者は、転職に関してこれだけは真理だろうという考えを持っています。

それは、「人生の主人公はいつだって自分自身。主語を自分にして、自らボールを持つことを心がける。」というものです。

会社が嫌だから、
上司が嫌だから、
給料が安いから、
おもしくないから、
つらいから、
大変だから、

など、転職したくなる理由は朝起きたときに会社に行きたくない理由と同じようにトラック1台では足りないくらい存在しているのではないかと思います。

でも、これらの理由はサインではありません。正確にいえば、これら単体でサインと考えてはいけません、ということです。

会社が嫌だから、という理由で転職したとします。次の会社も、嫌になるかもしれません。

おもしろくないから、という理由で転職したとします。次の会社も、おもしろくないかもしれません。

テストに出るのでよく覚えてほしいのですが、大事なことは、上記の理由を「自分がボールを持ってひっくり返すことができるかどうか」です。この道筋や青写真をある程度思い描くことができれば、転職のサインと捉えて良いでしょう。

自分の力で、会社を好きになることができるか。
自分の力で、仕事をおもしろいと感じることができるようになるか。
自分の力で、●●できるか。

この道筋を描けずに転職しても、同じことの繰り返しです。他の誰でもない、自分自身の人生なのです。他責に依っていても何も良いことはありません。自らボールを持ち、自分を主人公にしてみましょう。

自分を主人公にするために

ドラマでも映画でも漫画でも、登場する主人公を想像してみてください。かっこいいヒーローやヒロインだけでなく、昨今の世相にあわせてダメダメで優柔不断で一見かっこ悪い主人公もたくさんいます。

でも、その主人公たちは最後まで自分でボールを持つことを放棄したままでしょうか。

必ずどこかのタイミングで、自分でボールを持ち、自分の力で(あるいは自分の力で仲間の助けを借りて)困難に立ち向かっているはずです。

色んな諸事情や喉の奥に小骨が刺さったようなつっかかりはあるかと思いますが、主人公に必要なことを一言でいえば「あなた自身が活躍しているかどうか」なのです。

活躍は、あなたを主人公に仕立て上げます。活躍は、あなたの選択肢を広げます。活躍していれば、自分自身の力で仕事をおもしろくしたり、あるいはおもしろい仕事を自ら選んだりすることができるようになります。

逆にいえば、活躍していない人は自分でボールを持つことはできないので、サインは一生訪れません。厳しい物言いかもしれませんが、活躍なくして転職へのサインなし、です。

活躍を前提としたキャリアデザインをするために

筆者は、Will, Can, Must の王道のキャリアフレームワークに変わり、Will, Done, Awarenessをいうフレームワークを提唱しています。日本語で言えば、やりたいこと、やったことがあること、デザインの理由の自覚、です。

この3点を意識してキャリアデザインを進めれば、ポジティブなものに近づくのではないかと考えています。

詳しくは、「キャリアはどこまで設計するべきか?プロが教えるキャリア戦略」に執筆していますのでよろしければご一読ください。

Career Supli
活躍なくして転職へのサインなし。その通りですね。

著者プロフィール:鈴木洋平(すずきようへい)‬
‪2002年日本アイ・ビー・エム株式会社入社。システムエンジニアとして入社後、同社内で人事に転身。同社を退社後、「株式会社採用と育成研究社」を設立、同副代表。 企業の採用活動・社員育成の設計、プログラム作成、講師などを手掛けている。‬
‪・米国CCE,Inc.認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラー‬
‪・LEGO® SERIOUS PLAY® 認定ファシリテーター‬
‪http://rdi.jp/about-rdi‬

[文]鈴木洋平 [編集] サムライト編集部