Contents
「三日坊主」じゃ成長しない
「今年こそ○○の資格を取るために勉強するぞ!」「今度こそダイエット成功させるぞ!」そんなふうに意気込んでも三日坊主で挫折してしまっては、スキルは身につかず、脂肪ばかりが増えていきます。
三日坊主では成長しないのです。しかし三日坊主に終わってしまう私たちも、そんなことはとっくの昔にわかっています。問題は「どうすれば三日坊主に終わらないか」がわからないことにあります。
ここでは『3ステップでもう挫折しない! 脱・三日坊主の資格勉強法 』(以下『脱・三日坊主の資格勉強法』)を参考に、三日坊主が習い性になってしまっている人でも「どうすれば三日坊主に終わらないか」を理解し、成長のきっかけをつかむための考え方を解説します。
「危機感」が湧き上がるまで現状を分析する

人は「このままではマズイ」「変わりたい」と心の底から思わなければ、現状維持のぬるま湯から動き出せない生き物です。
「別に今資格の勉強しなくても、仕事に困ってないし」「別に今ダイエットしなくても、病気になっているわけでもないし」と現状に甘んじる理由を見つければ、あっという間にそちらに流されてしまいます。
だからまず「このままではマズイ」「変わりたい」という危機感を、自分の中から掘り起こす必要があります。
キャリアを例にとると、「好きなことだけ」で生きるための実践的4ステップでも触れたように、今の働き方のままでは将来的に職を失う人が続出します。
「好き」を原動力に高いパフォーマンスを発揮できなければ、好き嫌いでパフォーマンスを左右されないロボットやAIに仕事を奪われるからです。『脱・三日坊主の資格勉強法』でも、今後80歳まで働き続けなければならない時代が来るとして、「そんなに長い間、今の仕事で食べていくのは至難の技だ」と指摘しています。
この数十年で必要なくなった仕事が無数にあるという事実を考えれば、非常に現実的な指摘です。ダイエットでも同じです。多くの人は「恋をしたから」「病気になったから」という理由で危機感を抱き、ようやくダイエットに本腰を入れ始めます。
しかし恋でも病気でも、大慌てでダイエットに取り組んでいるようでは間に合わないというケースも少なくありません。しかも前述のように80歳まで働くのが当たり前の社会になれば、その歳まで健康でいる必要も出てきます。不摂生を続けて脂肪を蓄えているわけにはいきません。
このように、いろいろな角度から「今の自分」について調べていくと「このままではマズイ」「変わりたい」と思う理由が見つかってくるはずです。何かを始める前に、まずはそうした危機感が自分の中から湧き上がってくるまで現状を分析してみましょう。
自分の「弱さ」を冷静に把握する

とはいえ「将来の危機」である限り、人のモチベーションはなかなか持続しません。三日坊主の癖が付いている人ならなおさらでしょう。
ここで重要になるのが自分のモチベーションがどんなときに下がり、どんな出来事があると「もういいや、やめちゃおう」という挫折につながるのかを客観的に理解しておくことです。
・「誰にも負けたくない」と思うあまり、資格の勉強を始めた当初から熱が入りすぎて短期間で燃え尽きてしまった。
・ひそかにダイエットに取り組もうと頑張ってみたが、誰にも見られていないことが悲しくなって挫折した。
・ダイエットに取り組んでいたが、ある日付き合いで参加した飲み会で暴飲暴食してしまいリバウンド。「何をやっても無駄だ」と挫折した。
・資格の勉強を始めてすぐは新しい知識に興奮したが、暗記作業が苦行のように感じてしまい挫折した。 など
自分が今まで挫折した過去を詳しく思い出し、自分の「弱さ」を冷静に分析してみましょう。同じようなパターンで挫折しているはずです。
キャリアづくりの本当の難しさは、いかにして弱い自分と向き合い、自分を高めようとするモチベーションを維持するかにある。引用:『脱・三日坊主の資格勉強法』p37
三日坊主を脱出するには、まずはこの「自分はどんなときに挫折するのか」を知り、そのうえで対策を立てていく必要があるのです。
弱さを踏まえた「目的」と「計画」を設定する

『脱・三日坊主の資格勉強法』の著者であり、リンクアンドモチベーション取締役の小栗隆志さんは「低い目標より高い目標を」「時間的に遠い目標より近い目標を」「どこまでやるか(目標)より何のためにやるか(目的)」という基準で考えるようにすすめています。
●低い目標より高い目標を
「参照点バイアス」といって、人は自分が基準に設定した点と比較して自分の評価を決める癖があります。つまり高い目標に向かって頑張っていれば「こんなところでグズグズしているわけにはいかない」と発奮しますが、低い目標に向かっていると「まあこの辺でもいいか」と低きに流れてしまうのです。
実際簿記二級をゴールに設定した人と、簿記三級をゴールに設定した人では、前者の方が合格率が17.7%も高かったそうです(リンクアカデミー社調べ)。
●時間的に遠い目標より近い目標を
時間的に遠い目標を設定すると、「まだ余裕があるし」と油断してしまい、目標未達どころか途中での挫折につながる危険があります。一方で近い目標を設定すると「全力を尽くさないと間に合わない!」と自分自身を追い込むことができます。
夏休みがいくらあってもなかなか宿題は終わらないのに、集中してやると夏休み最終日だけで全部終わってしまうのと似ています。
●どこまでやるかより何のためにやるか
どこまでやるかというのは「TOEIC満点を取る」とか「マイナス10kgを達成する」といったものです。
一方何のためにやるかというのは「転職に成功して今より良い車を買う」とか「痩せて可愛い服を着る」といったもの。
小栗さんは著書の中で「モチベーション=目標の魅力(わかりやすい得)×達成可能性(明確なゴール)×危機感(今やる意味)」という公式を示していますが、この目的とはイコール「目標の魅力」といえるでしょう。
人はこの目標の魅力を見失ったとき、一瞬にしてモチベーションをなくしてしまうのです。
●「弱さ」を考慮に入れた計画を立てる
目的達成のための計画を立てる段階になったら、先ほど分析した自分の「弱さ」を思い出しましょう。
どんなに事前に「モチベーション=目標の魅力(わかりやすい得)×達成可能性(明確なゴール)×危機感(今やる意味)」の公式を+にしていても、弱さを突かれればあっという間にモチベーションはゼロになってしまいます。
挫折という最悪の事態を防ぐには、あらかじめ弱さ対策を講じておく必要があるのです。
例えば筆者には「一人でもコツコツと努力を積み重ねられる」という強さがある反面、「誰かと競争になると頑張りすぎて燃え尽きる」という弱さがあります。
この弱さを理解しているので、筋トレ歴4年になった今でもジム通いをしたことがありません。筋骨隆々の他のジム会員を見れば、「負けてたまるか!」と頑張りすぎて燃え尽きるか怪我をするかどちらかだからです。
それよりも自宅でコツコツ鍛え続ける方が結果を出しやすいタイプなのです。
大切なのは「自分がモチベーションを維持できる計画を立てること」です。科学的に立証された勉強法やダイエット法でも、結局続かなければ結果は出ません。「自分はどうすれば続けられるか」という視点を大事にしましょう。
モチベーションを持続させる「習慣」と「関係」を作る

自分の弱さに合わせた計画を立てたら、走り出した時のモチベーションを持続するための方法を実行に移しましょう。例えば多額の入会金を支払ったり、ダイエット器具を買ったりして「退路を断つ」のも効果的です。
人には認知バイアスという「自分の行動のつじつまを合わせたい」と考える癖があります。一度お金や時間を投資してしまえばこの認知バイアスの助けを借りられます。
あるいは「自分の位置を確かめる」のもモチベーションを持続させてくれます。レコーディングダイエットは毎日体重を計るだけというダイエット法ですが、太ったか痩せたかを毎日確認していれば痩せたときは「やった」とモチベーションがあがります。
この喜びをまた体験しようと思えば少し運動したり、食べる量を減らしたりすればいいということはわかっています。結果そのように行動して、痩せていくというわけです。
モチベーションの有無に左右されたくないという人は「ルーティン化」をおすすめします。決まった時間、決まった場所で、決まった作業を繰り返していると、徐々に「やらないと気持ち悪い」「何も考えなくてもやっている」という状態になります。
こうなればむしろルーティンをこなすことが気持ちよくなるため、挫折することはなくなります。自分一人ではなく、他人の手を借りるのも手です。
例えば「この人の言うことなら信じられる」という相談役を見つけてその人のアドバイスに従順に行動すれば、「こんなに苦労して無駄になったら嫌だな」というモチベーションを下げるような思考にならなくなります。
資格スクールの講師や、ジムのトレーナーなどはこうした役割に最適の存在といえるでしょう。もちろん知人・友人でも効果はあります。
「三日坊主」から脱け出そう!
たとえどんなに急成長できたとしても、コツコツと「一歩」を積み重ねた人が最後は大きく成長します。したがって三日坊主が習い性になっているようでは、いつまでたってもまともな成長は期待できません。
ここで挙げた考え方や方法を実践して、三日坊主から脱け出しましょう!
参考文献『3ステップでもう挫折しない! 脱・三日坊主の資格勉強法 』

