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LHH転職エージェントに女性活躍推進部隊が発足
日本では女性の活躍推進が叫ばれて久しいですが、内閣府男女共同参画局によれば上場企業の女性役員割合が45.2%のフランスに対し、日本は8.4%と明らかに世界に対して遅れをとっています。
この状況を受けて人材紹介のLHH転職エージェントは、2021年1月に女性活躍推進部隊を発足。年収500万円前後の管理職クラスを目指せる女性を中心に、日本の女性のキャリアをもっと自由に、もっと充実したものにするべく動き出しました。
今回はそんな女性活躍推進部隊から4人の女性キャリアコンサルタントに集まってもらい、座談会を実施。みなさんが抱えている問題意識やLHHだからこその女性活躍推進のためにできることについて、ざっくばらんに話してもらいました。
<Profile>
川島 香生 キャンパスエージェント部 部長 横山 あかね IT紹介事業部 IT第1紹介部 部長 藤根 涼子 建設不動産紹介部 建設不動産1課 山谷 千明 ライフサイエンス&メディカル紹介部 製薬課 リーダー |
企業サイドに求められるのは「雇用形態の変革」「女性活躍へのコミット」

川島:女性が活躍するためには大きく2つの問題があると思っています。それは企業様側の問題と働く女性キャンディデイト(紹介候補者)の問題です。
藤根:建設業界を担当していますが、会社として女性活躍推進をスローガンに掲げていても、業界自体の男女比が男性9:女性1なので現場にまで浸透していないのが実情です。実際「時短勤務の人は困る」「小さいお子さんがいる人はちょっと……」という形で、採用がお見送りになるケースも多いです。
横山:一方で、女性キャンディデイトには実力があっても管理職というものに興味を持てなかったり、なぜか「私には無理です」と言ってしまったりする人が多いというのも事実です。
山谷:だから私たちは企業様側・キャンディデイド側両方にアプローチしていく必要がありますよね。
川島:企業様側にまず進めて欲しいのは、雇用形態の変革ですよね。これまでの日本はメンバーシップ型雇用、つまり人に仕事をつける形の雇用が主流でした。これを仕事に人をつけるジョブ型雇用にシフトしていく必要があると思います。
横山:メンバーシップ型にも配置転換による雇用の安定性の高さや、ポテンシャル採用による若手の登用がしやすいなど色々メリットはありますが、ジョブ型のように「スキルさえあればどこでもやっていける」という環境を作るのは難しいんですよね。
山谷:そういう社会になっていけば、研究施設や工場設備が必要な仕事は別ですが、それ以外なら「9時から17時半の間、この場所にいて、この仕事をしてください」みたいなルールが要らなくなるケースも出てきます。
働く時間や場所が自由になれば、自然と優秀な女性が働きやすさを求めて集まってくるでしょうね。
藤根:経営層にはその点の理解を深めて欲しいですよね。だからこそ私たちのようなキャリアコンサルタントが「ジョブ型に移行することで優秀な人材が定着しやすくなるんですよ」ということを繰り返し採用責任者に訴えていかないといけません。
川島:あとは先ほど藤根さんのお話にもあったように、組織としてきちんと女性活躍にコミットしていくことですよね。
横山:無理やりに女性を昇進させて女性役員の数を増やす、みたいなのはもうやめていかないと。
山谷:あれは百害あって一利なしです。周りの男性からすれば「昇進したのは女性だからでしょ」と思わざるを得ませんし、女性からしてもそんな環境で権限だけ渡されても何もできません。
藤根:だいいち、そんな先輩女性社員の姿を見たら、若い女性たちになおさら「昇進なんてしたくない」と思わせてしまいます。きちんと評価制度を整えたうえでフェアに昇進させないと、誰も幸せになりませんよね。
「女性はもっと自由でいい」女性キャンディデイトにきちんと伝えたいこと
川島:対して女性キャンディデイト側にも変化は必要です。私には女性たちが世の中の雰囲気やこれまでの人生のなかで作り上げた思い込みにがんじがらめになっているように見えていて。
横山:わかります。これからの時代は、男性も女性も自分らしく働ける世界が必要だと思います。
山谷:実は私自身、今は独身ですが、いつ何があるかわからないと思うと、出世することがベストな選択肢には思えないことがあります。
LHHはお子さんがいても活躍している女性がたくさんいるので、働き方がイメージしやすいですが、「想像もつかない」という人が大半ではないでしょうか。
藤根:「管理職になんてなったら、絶対に失敗できない」と思ってしまう人が多いイメージです。
横山:私自身若い頃は同じように考えていました。でも実際に管理職になってみると、100%完璧にこなすなんて到底無理。無理なんだから、やれる範囲でやるしかないんです。会社には怒られるかもしれないけど(笑)。
川島:横山さんの言う通りだと思います。自分に仕事の中で成し遂げたいことがあるなら、そこを割り切って一歩踏み出すしかない。
私たちキャリアコンサルタントにできるのは、面談や企業への交渉を通じてその一歩を後押しすることですよね。
横山:同じ完璧を求めないという話で言えば、100%全力を出せなくてもいいから仕事は続けておいた方がいいと思っています。
山谷:出産、育児、介護と色々なライフイベントがあれば、リソース全体の70%や60%しか割けない時代もありますからね。一方で100%、120%で打ち込める時代もあるわけで。
藤根:その波の中でキャリアを築いていく、という長期的な視点は持って欲しいですね。転職だって今すぐしなくてもいい。
私たちのようなキャリアコンサルタントとの相談の中で5年10年のスパンでキャリアビジョンを考えておけば、こちらから定期的に連絡をとって「こんな求人がありますが、今の状況はいかがですか?」みたいな形で、都度一緒に検討していけますから。
川島:LHHは特にそういうコンサルティングが得意ですからね。
人材紹介サービスにはピンポイントでしか相談に乗ってもらえないというイメージを持っている人も多いですが、LHHの場合はまるでかかりつけ医のように、新卒からエグゼクティブになるまで1人のコンサルタントが並走することも少なくありません。
横山:そうしたことを可能にするためにも、固定観念を捨てることと、キャリアの長期ビジョンを立てることから始めて欲しいですね。もちろん私たちもお手伝いしますが、やっぱり最後は本人次第です。
LHHなら「それ」ができる理由

山谷:以前私が担当させていただいた女性キャンディデイトのケースは、今回の話のモデルケースになりそうです。
川島:どんなケースですか?
山谷:キャンディデイトは企業様側が求めるスキルを十二分に持っている方だったんですが、実家から離れられないという事情を抱えていたんです。でも企業様側は「できるなら東京の本社に来て働いて欲しい」と言っていて。
横山:なかなかに厳しいケースですね。
山谷:ただ仕事の内容的にも「求める人材が日本にいないのなら、リモートでもいいから海外で探せないか」と言っていたくらいだったので、私が企業様側に「この方にリモートで働いてもらってはいかがでしょうか」という提案をしたんです。
藤根:それなら実家にいながらでも働けますよね。
山谷:その結果、企業様も理解してくれて、業務委託契約―――つまりフリーランスとしての契約で就業できることになったんです。
川島:まさに理想的なケースですね!
山谷:ただこのケース、私としては反省点があるんです。しばらくしてキャンディデイトと話す機会があったんですが、彼女から「すごく快適に働けています。有給休暇がないのは誤算でしたけど(笑)」という話があって。
フリーランスとしての契約だから有給休暇はないのですが、そこはもう少し丁寧に説明してあげるべきでした。若干の戸惑いはあったものの、今の自分としてはベストの選択だったと言っていただけました。
横山:これまで正社員で働いてきた人にとって、業務委託契約を結ぶのは初めての経験でしょうから、 慎重にすり合わせをする必要がありますね。
藤根:そうですね。ただ山谷さんのケースで大切なのは、キャリアコンサルタントが介入したことで、本来なら折り合いがつかなかった企業様とキャンディデイトがマッチングできたという事実ですよね。
川島:藤根さんの言う通りですね。もちろん物理的に難しいケースはあるものの、単に先入観や固定観念だけで巡りあえていない企業様と女性キャンディデイトはたくさんいるはず。両者をつなげるのが私たちの仕事です。
山谷: LHHには今回のようなケースを増やす地盤があると思います。どのコンサルタントも各部署の採用責任者など企業様のかなり深いところまで入り込んでいるので、先方の事情に即した提案ができるんですよね。
藤根:大手人材紹介サービスならフォロー期間が6ヶ月や1年と決まっていますが、LHHは決まっていませんし。だから先ほど言ったような、5年10年スパンのサポートが可能になります。
横山:今全社的に推進している「ビジョンマッチング」も、ライフイベントに左右されやすい女性と相性が良い考え方です。
川島:今までの人材紹介サービスは「学歴」「勤務形態」といった条件を中心に、マッチングされることもありましたが、ビジョンマッチングはその名の通り、企業様側のビジョンとキャンディデイト側のビジョンをじっくりヒアリングしたうえでマッチングさせます。
長期的な視点で考えるので、場合によっては山谷さんのケースのような双方の歩み寄りが起こり得ると思っています。
山谷:ビジョンが合えば「どんな形で働くか」は枝葉の問題になりますからね。今は限られた事例しかありませんが、今後は先ほどのようなケースを増やしていきたいところです。
川島:残念ながら、今の日本は女性が仕事を通じて自己実現をするには厳しい環境です。
日本では女性たちが女性活躍のために立ち上がっているケースは多く見られるようになりましたが、女性活躍を女性だけのコミュニティで盛り上げるのではなく、男性も一緒になって盛り上げられるようになるといいですよね。
もう少し理解を深めていくことで、優秀な女性活躍の場を提供できる伸びしろはまだまだあると思います。LHHは男性コンサルも高い意識を持って支援しています。
私たちキャリアコンサルタントに相談してくれれば、自分一人では見つけられない糸口が見つけられたり、一緒に解決策を模索したりすることはできます。
キャリアでお悩みの女性は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
[文] [編集]サムライト株式会社