飲み会は「参加」するより「主催」しろ!飲み会を仕事につなげるための6ケ条

飲み会は「参加」するな!

「息抜き」「人脈作り」「ご褒美」などお酒の席に出向く理由は様々。しかし飲み会を仕事につなげるためのツールの一つとして考えるのであれば、飲み会は「参加」ではなく「主催」するべきです。

そう行動を変えるだけで参加者たちとのネットワークがより濃密になり、さらには会場となるお店とのつながりも強固になります。そうしてできた関係がさらなる関係を呼び、人脈と仕事の幅が広がっていきます。

ここでは毎日放送の料理番組のプロッデューサーとして第一線で活躍し続け、外食を一つの「武器」として仕事に役立てている本郷義浩さんの著書『自分をバージョンアップする外食の教科書』を参考に、「飲み会」を仕事につなげるための6ケ条を紹介します。

幹事の場数を増やして自分をアップデートする

飲み会の幹事は誰もが嫌がるもの。しかし幹事の場数を増やすほど、飲み会を仕事につなげる力は強化され、さらには仕事そのもののスキルまで鍛えられます。

本郷さんは直近5年間で500回以上の食事会の幹事をした結果、以下の5つのメリットがあったと感じているそうです。

◆日時、店、料理、回避、参加者などすべて自分で決められる。
◆企画力が鍛えられる。
◆段取り力、仕切る力が鍛えられる。
◆出席者全員から認知され、初参加、初対面の人とも面識ができる。
◆飲食店、料理人との関係が密になる。
引用:前掲書p167〜168

「仕事につなげる」という視点で飲み会を見たとき、幹事をやらなければどう考えても損になるくらいのメリットです。

しかし誰もが嫌がるものだけあって、的確に幹事をこなすのは至難の技。そんな人は本郷さんが幹事にとって大切だと考える以下の3つのポイントを意識するところから行動し始めてみましょう。

1 適度ないい加減さ。
2 ドタキャンは出るものと考える。
3 食事会の名前を考える。
引用:前掲書p171

きっちりやりすぎず、遊びを持たせる。それだけで幹事として名乗りを上げやすくなりますし、そうなれば幹事としての経験値も積めるようになります。

「参加したいネーミング」で幹事力を上げる

幹事の3つのポイントのうち「食事会の名前を考える」というのは目新しい項目かもしれません。しかし話して面白い人、もう一度会いたいと思う人は「ワイン会」「日本酒を楽しむ会」といった何のひねりもないお酒の席には参加したいと思ってくれません。

一目で「どんなコンセプトの飲み会なのか」がわかり、同時に「なんだか面白そう、参加したい!」と行動につなげられるネーミングこそが、今後長い期間にわたって関係を築きたい人とのつながりを引き寄せてくれるのです。ちなみに本郷さんが主宰した食事会のネーミング例は以下の通りです。

・「ウルトラセブンの会」:日付、参加人数、お店の名前、コースの品数、テーブル番号、コース料金などあらゆるものに「7」がついていたため。
・「行ったん? 木綿の会」:予約の取れない割烹「もめん」での貸切食事会。
・「粉食(ふんしょく)決算クラブ:お好み焼きやたこ焼きなどの「粉もん」の食事会を、あえて期末に開く。

SNSのグループ機能で独自ネットワークを作り上げる

本郷さんは自身の食事会ネットワークの管理に、Facebookのグループ機能をフル活用しています。例えば「本P企画」というグループは、5年間でメンバー数が723人にもなる食イベントグループです。

参加できるのはもともとの知り合い、もしくは1回以上本郷さんのイベントに参加した人たち。本郷さんはこのグループで年間100回以上のイベントを開催し、その都度参加者たちとのつながりを深めています。

面識のある人たちだけで構成すれば安心感もありますし、ネット上のつながりなら比較的簡単に「NGな人」をシャットダウンすることもできます。

また楽しい会にできれば参加者が別の参加者を連れてくるようになるので、加速度的にネットワークが広がっていく、というメリットもあります。

本郷さんはこのほかに、「ここは」という店の料理人同士をつなげるためのグループ「本P企画 for Chef」や、麻婆豆腐の偏愛家ばかりを集めた「麻婆十字団」などのグループを手がけています。

3つのステップで「使える行きつけ」を作る

幹事として積極的に飲み会を主催するとなると、悩ましいのは会場となるお店のストックです。インターネットなどで調べたお店で問題ない場合もありますが、やはりここぞというときに「使える行きつけ」があるに越したことはありません。行きつけの作り方は簡単。以下の3ステップで終わりです。

1.味や雰囲気、接客などから「行きつけにしたい!」と思う。
2.「おいしかったです。今後ともよろしくお願いします」という感謝の言葉とともに、店の人と名刺交換をする。
3.帰り際に予約をとるか、予約が必要がない場合は1週間以内に再訪する。

この3ステップの強みは2のステップで顔や名前を覚えてもらえる可能性があること、そして3のステップでお店のアラを見極められることです。一度行っただけのお店の場合、「その日がたまたま良かっただけ」という可能性も十分あります。それを短期間に複数回行くことで見極めるわけです。もちろん、同時により強く顔や名前の印象を残せるというメリットもあります。

「使える行きつけ」は、できれば割烹、寿司、ステーキ、イタリアン、フレンチといったように、ジャンル別に揃えておくようにしましょう。

「激安居酒屋チェーン」に連れていく上司とは付き合わない

「飲みニケーション」は大事です。しかしそれはあくまで仕事につながるからこそ大事なのであって、身にならない飲みニケーションほど無駄なものはありません。この身にならない飲みニケーションの典型が「激安居酒屋チェーン」に連れていく上司との飲み会です。

もちろん激安居酒屋チェーンにもいい店はあるとは思いますが、大事な部下とのせっかくのサシメシでそんな選択をする上司は仕事もできないと僕は思います。
引用:前掲書p85

できる上司はサシメシの場を単なる息抜きとしてだけでなく、お酒の飲み方やお金の払い方などビジネスパーソンとしての背中を見せる指導の場としても活用します。「仕事につなげる」という視点からすると、それが激安居酒屋チェーンという時点でその飲み会は意味がないのです。

逆に自分が部下を持ったときには、自分の背中をしっかり見せられるような「使える行きつけ」に連れていきたいものです。

偏愛する料理・食材を持っておく

放送作家の小山薫堂さんは本郷さんがファンになるほどの「外食の達人」だそうです。その小山さんはときどき特定の単品料理や食材をとりつかれたように好きになることがあり、これまでにナポリタン、とろろ昆布、コッペパン、レモンなどを偏愛してきました。

これは本郷さん自身にも共通する点で、麻婆豆腐を偏愛するあまり2015年には麻婆豆腐を113回も食べています。

こうして偏愛する料理や食材を持っておくと、その料理や食材を追い求めて全国を飛び回ったり、色々なお店を回ったりと、さらなる食の開拓をする原動力になります。

同じようにその料理や食材を偏愛する人たちとの出会いにもつながります。また堀江貴文さんが『多動力』でも書いていたように、短期間で夢中になって知識を蓄積すると、それだけである程度の専門家になることができます。その知識は別の知識とつながったり、その人自身の魅力につながったりもします。

偏愛する料理・食材を持っておくだけで、芋づる式に仕事へとつながる武器が手に入るというわけです。

全ての飲み会は仕事に通ず

全ての飲み会を仕事とつなげなければいけないわけではありません。しかし同時に仕事につなげられない飲み会もありません。問題はつなげたいのか、つなげたくないのか、そしてどうつなげるかです。

ここで紹介した本郷さんのノウハウには、そのためのヒントがたっぷり盛り込まれています。「これなら自分でも実践できそうだな」というものから、一つずつ挑戦してみてください。きっと飲み会の新たな魅力と効果を実感できるはずです。

Career Supli
飲み会は10人集まると1人は必ずドタキャンがでますので、それを前提とした上で計画することをおすすめします。
参考文献:『自分をバージョンアップする外食の教科書』
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部