いまさらMBAを取得しても意味ないの?MBAのいまの評価は?

Harvard University Graduates on Commencement Day

MBA(Master of Business Administration)=経営学修士号

ビジネス界における最高峰といっても過言ではない学位MBA

経営大学院で1〜2年の学習期間に必要な単位と成績を修めてはじめて取得できる資格で、アメリカを始めとする海外、そして日本でもMBAを持っているだけで一定の評価を受けられます。

一流と呼ばれるビジネスパーソンの多くが持っているこの資格ですが、実のところどんな資格で、どんなメリットがあって、どんな評価が受けられるのかをよく知らない人も少なくないでしょう。ここでは実際にMBAを取得した人のエピソードも交えながら、この資格の価値について考えます。

MBAを取得するとどんなメリットがあるの?

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オーストラリアにあるゴールドコーストの私立大学ボンド大学が挙げるMBA取得のメリットは次の3点です。

<経営全体を俯瞰する眼を養うことができる>

MBAの取得に当たって学ぶ経済の知識はマーケティング、アカウンティングや金融、経済学に経営戦略、人事戦略といった非常に幅広いものです。スペシャリストではなくゼネラリストとしてのスキルを身につけることで、視野が狭くなることを防ぎ、経営全体を見通せるビジネスパーソンになることができます。

<他業種に広がる人的ネットワークが得られる>

MBAの取得のために通う経営大学院には世界中から数多くの人材が集まります。ビジネスの一線で活躍したい!という高い志を持った人が多いので、そこで培われる人脈の質も非常に高いのが特徴です。もちろん業種も様々ですから、上質かつ幅広い人脈を得られます。ここで得た仲間からはその後の人生にも大きな影響を受けられるでしょう。

<ビジネス・プロフェッショナルとしての活躍の機会が得られる>

いうまでもなく、MBA取得者にはビジネス界に活躍の場がうなるほど用意されています。社費で取得をした人の場合は、自社に戻ったあとの出世のコースが待っています。自費で取得をした人の場合には新たな活躍の場を自分で選ぶこともできます。

出典:BOND-BBT MBA

ボンド大学が指摘するこれらのメリットの他に、日本人としては次のメリットもあります。

<英語力の向上>

海外で取得すると英語力の飛躍的なレベルアップが見込めます。というよりもビジネスシーンにおいて何の苦もなく英語でコミュニケーションが取れるレベルに達していなければ、MBAの取得はままなりません。

MBAをもっている人はどんな人?

ではこの資格を持っている人にはどんな人物がいるのでしょうか?例を挙げればきりがありませんが、ここでは日本の財界を代表する2人の人物を紹介します。

ケース1. 楽天ホールディングス会長 三木谷浩史氏

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画像出典:楽天株式会社

今や日本を代表する企業のトップであり、フォーブスの長者番付けにも名を連ねる三木谷浩史氏は1993年にハーバード大学のMBAを取得しています。当時の日本では大企業に勤めて出世するのが王道でしたが、留学時に起業できないレベルの人間が大企業で勤めるというアメリカの空気に触れ、日本興業銀行を辞め、起業を志したと三木谷氏はいいます。

同氏はこれまでの楽天ホールディングスの経営の中でMBAが役に立ったことは数知れないが、強く感じているのは問題に対してどう考えるべきかというフレームワークを習得できたことだといいます。確かな直感を養うためにはMBAで学ぶ広範なケースメソッドは非常に有効なようです。

参考: GLOBIS 知見録

ケース2. Microsoft日本法人代表執行役社長 樋口泰行氏

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画像出典:Microsoft

Microsoft日本法人代表執行役社長兼米国本社コーポレイトバイスプレジデントという肩書きを持つ、樋口泰行氏。彼もハーバード大学の経営大学院三木谷浩史氏、そしてローソンの新浪剛史氏とともに学び、MBAを取得しています。

樋口氏は経営大学院を「圧力釜」にたとえています。「ストレス、プレッシャーがかかるのでしんどいけれども、経営者として必要な経験や知識、人間的な厚みを早回しで身に付けることができる」と述べています。

同氏はMBA取得を機にそれまでの安定した活動よりも、不安定な活動に刺激的な面白さを感じるようになり、経営に興味を持っていきます。

吸収スピードが急速に高まった樋口氏は「努力」と「熱意」の二本柱を信念とし、ヒューレット・パッカード社の社長を始めとする数々の大企業の重要ポストを歴任して、今に至っています。

参考: GLOBIS 知見録

企業のMBAへの評価はどうなの?

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では実際、この MBAを持っているとどんな評価が受けられるのでしょうか。いうまでもなく、欧米では高い評価を得ることができます。日本にある外資系企業でも、経営中枢に早い段階から活躍の場が設けられるようです。

しかし、日本国内の企業では評価は今ひとつ、という声もあります。その原因は、トップとそれ以外の社員に明確な差がある欧米とは違い、日本では現場からのたたき上げの経営者が少なくない、という文化の差異にあると言われます。

また社会派ブロガーのちきりんさんは、自身もMBA留学を経験した上で、2009年にこんな記事を書いています。

“日本人が”、“今から”、自分のお金で”、“キャリアアップのために”、“米国のMBAに行く”、というのは「もうナイでしょ」というのがちきりんの感覚だ。

理由はシンプルで、
(1)コストが高すぎでしょ
(2)米国MBAの旬が過ぎちゃった

出典:CHIKIRINブログより

ちきりんさんは高すぎるコストと「アメリカMBAの終焉」を挙げています。前者に関しては社費で行くのならまだしも、自費で取得すると「その間に稼げた給料」「2年間という時間」が丸々コストとしてかかってくることを挙げ、投資効率を考えるとすすめられたものではない、といいます。

後者に関してはアメリカ一国モードの終焉とともに、MBAが得意とする「財務系の世界」が産業のメインストリームではなくなった、と指摘します。

日本で取得できるMBAは意味があるの?

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ところでMBAはアメリカや欧州などの海外だけでなく、日本の大学でも取得できる学位です。しかし人によっては「日本でMBAを取っても意味がない」という意見もあります。そう言われている理由は次の3つです。

<第三者機関の認証を受けているところがほぼない>

世界の大学がこぞってMBAの講座を開設する中で、アメリカではこの学位の認証機関を設けています。しかし2014年8月現在、日本でその認証機関からの認証を受けているのはたった2つの大学だけ。日本のMBA教育は世界的に見てまだ遅れていると言えそうです。

<英語力がつかない・価値観が狭い>

わざわざ日本のMBAに海外からやってくるビジネスパーソンは稀です。そのため、受講生も下手をすると教師も日本人であることが多いのです。確かに異業種交流はできますが、あくまで日本の価値観の中での交流です。受けられる刺激は海外のそれと比べると見劣りするかもしれません。

<世界MBAランキングでの圧倒的劣位>

これらの理由からフィナンシャル・タイムズ誌が発表する世界MBAランキングでは、日本のMBAは常に下位をさまよっている状況です。

もちろん、日本のMBAにもメリットはあります。日本語での講義なので、内容が理解しやすいとか、日本国内での人脈を得られるなどです。また予算も海外に留学するのに比べて圧倒的にリーズナブルです。

しかし、ちきりんさんが言うように本場アメリカのMBAでさえ、その権威を失いつつあるという見解がある時代に、国内でMBAを取る表面的なメリットは少なくなっているのかもしれません。

結局は、自分次第のMBA

これはどんな資格や学位にも言えることですが、結局は取得した本人がそれをどのように生かすのか、という問題に帰着します。日本のビジネススクールでMBAを学んだことをキッカケに飛躍する人もたくさんいます。国内でも英語で授業を受けれるプログラムも登場しています。

そもそも「MBAを取ればそのあとの人生は約束される!」と思っているような人は、MBAには向いていません。MBAがあれば自分のやりたいことに最短距離で手が届く!という野心を持っている人にこそ、価値のある学位だといえるでしょう。

[文・編集] サムライト編集部

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