100年に一度の自動車業界「変革期」クルマのサブスク「KINTO」がブレイクスルーしたいこと。〜社員4人にインタビュー〜

電気自動車や自動運転の誕生など「100年に一度の変革期」とも言われる自動車業界。2019年に誕生したのが、クルマの定額利用サービス「KINTO(キント)」です。
車離れが叫ばれて久しい若者層からも多くの支持を集め、創業時から現在にいたるまで契約数は急増。トヨタが住友グループを始め、仲間を集めて2019年に設立された「株式会社KINTO」と、KINTOサービスをテクノロジーで支える「KINTOテクノロジーズ株式会社」の社員数は現在300人を超えています。
今回は、多彩なバックボーンをもつ社員4人にインタビュー。入社動機や仕事への想い、そして同社が4月に発表した「VISION(ビジョン)-目指す姿-」についても伺いました。

見えてきたのは、自動車業界のリーダーとして業界構造を変えていこうという気概とポテンシャル。既存のプレイヤーとは一線を画す独自の道を歩むアイデンティティと誇りでした。

“一人ひとりの「移動」に「感動」”を提供するモビリティプラットフォーマーへ!

――まずは貴社のサービスについて教えていただけますか?

中来田:頭金なし、保険料などの諸経費コミコミの月々定額制で車を利用できるサブスクリプションサービス「KINTO ONE(キントワン)」を展開しています。webからもお申し込みいただける点が特徴です。また、移動にまつわる多様なサービスを発見できるwebサイト「モビリティマーケット」を今年4月から運営しています。

――トヨタグループのなかで、KINTOはどんな役割を担う企業でしょう?

杉本:モビリティカンパニーになると宣言したトヨタの様々あるチャレンジの1つとして、「新しいクルマの売り方を考える」というミッションを、(KINTO)社長の小寺が託されて誕生したのが当社です。世の中のさまざまなモノが所有から利活用へと移行するなか、クルマもより気軽に楽しんでいただけるよう「サブスク構想」を実現しました。

――今日ご参加いただいた、みなさんの担当業務について自己紹介お願いします。

中来田:私はマーケティング企画部のweb推進チームに所属し、主に公式SNSアカウント運用や「KINTOマガジン」というオウンドメディアのディレクションなどのマーケティング業務を担当しています。

杉本:今年4月にKINTOのサービスをITでサポートする新会社「KINTOテクノロジーズ」が設立されたのですが、私はそこの開発編成本部クリエイティブグループでチームマネージャーをしています。webでお客様との接点を作り、お客様視点でKINTOのUXをデザインするのが主なミッションです。

中田:私は総合企画部のCX推進チームで、すでにご契約いただいているお客様との接点強化や、満足度の向上に取り組んでいます。

金子:私は管理部で2チームを兼任中です。一つは事業計画の策定や、会社の資金繰り管理など数字まわりの仕事。もう一つは社内ルールの運用や株主総会取締役会などへの対応です。

多彩なキャリアの社員が集まるKINTO

――みなさんの入社前のキャリア、 KINTOを選んだ入社動機をシェアいただけますか?

中来田:私はとにかく自動車が大好きで、新卒から大手自動車メーカーに入社しました。いわゆる製造工程から販売の最前線までをひと通り経験後、ガラッとキャリアチェンジしてweb領域の広告代理店へ。その後、2度目に転職した大手ゲーム企業ではデジタルマーケティングを担当していました。
当社へ入社したきっかけは、web業界で培った経験を生かし、原点に戻って自動車業界に貢献したかったからです。スマートフォンの普及で、いろんな業界で大きな変化が起きたように、自動車業界もテクノロジーによる業界変革が起きるだろうという確信もありました。

杉本:私は広告のコピーライターとしてキャリアをスタートしました。そのあと、ECサイトを運営する外資系スタートアップに転職し、インハウスクリエイティブに携わってきました。
仕事は充実していましたが、いつしか「ただ商品を売るだけではなく、もっと世の中に“体験”を提供し貢献できたら」と思うように……そんな時、当社と出会ったんです。調べてみると、モビリティ全般の仕事にチャレンジでき、自分の世界も広がりそうだと感じ応募しました。

中田:私は新卒入社した生命保険会社に13年ほど勤務する中で、出向の機会をもらい、出向先でオウンドメディアの企画・運営に携わりました。そこでUI/UX業務に大きな魅力を感じるようになったのが、転職活動をはじめたきっかけです。
当社のサービスはCMでも広く周知を図っていますけど、私はまったく存在を知らなくて。採用面接を受けるためにリサーチしたところ、当時はすごく簡単なサービスサイトしかなくて不安でした。でも面接官である現在の上長と言葉を交わすなかで、KINTOが目指す未来にとても興味が湧いて、入社を決めました。

金子:私は前職でカーライフ関連の情報をお客さんに提供する会社に勤務していました。家族の海外転勤を機に、私もずっと勉強してきた英語を使って海外で働くことを決意し退職したところ、コロナ禍の影響で渡航自体が中止に……。そこで国内での転職活動へと気持ちを切り替えました。
前職では、ある種“自動車業界の構造的な限界”みたいなものも感じていました。多種多様なプレイヤーが存在するのに、それぞれが新しい可能性を発揮し爆発的に領域を広げるとなると、なかなか難しい環境なのかも、と。転職活動を通じて知った当社には、そうした壁を乗り越えられるであろうポテンシャルを強く感じました。

――実際に貴社で働いてみた感想はいかがですか?

杉本:想像以上に自分たちの手でサービスを創り出す手応えを感じています。ちょうどwebサイト「モビリティマーケット』に着手するタイミングで入社したこともあり、クリエイティブ面に限らず、企画部門とも一丸となってプロジェクトを盛り上げていけるのが、とても刺激的だと思いました。

中田:私はかつての上長に「できない理由を探すな」とよく叱咤激励を受けてきたんですね。その一方で「よいものを作るために全力を注ぐ、よいものでなければ撤退する勇気をもつ」という当社の価値観にも触れ感銘を受けました。前職にはない考え方でしたね。

金子:未整備な点も多いなか優先順位をつけて課題を解決したり、事業の垂直立ち上げの難しさを感じたり。日々汗をかいて頑張っているメンバーにバックオフィスとして少しでも貢献していきたい。そんなやりがいを感じています。

中来田:私は入社して約2年ですが正直、道なかばです。これまでクルマはローンや現金で購入するのが当たり前で、“クルマを利用する”という当社のサブスクサービスに対して、抵抗感や不安感を覚える方もまだまだいらっしゃいます。webマーケティングを通じて、こうした世の中の意識を変えていこうと試行錯誤していますが、やっぱりなかなか手ごわいですね。

移動に関するプラットフォームを築き経済圏を創造したい

――今年4月には貴社の「VISION(ビジョン)-目指す姿-」を発表しました。

中田:はい、2020年春に社員数が100名を越え、社長と社員のコミュニケーションにも変化が出てきたこともあり、社の進むべき方向をいま一度全従業員で共有しようという流れになりました。各部署の代表者が集まり3ヵ月ほどかけて課題を整理し「VISION」を策定したんです。

杉本:現在はクルマのサブスク事業だけでなく、旅やアウトドアなど移動に付随するサービスをパートナー企業様と一緒にご提案することで、移動の楽しさを追求しています。KINTOの今後を見据えたときには、これらにとどまらない、まだ想像もできないようなモビリティにまつわるサービスも手掛けているだろうと考えています。

中来田:様々なモビリティサービスを束ねるひとつの大きな基盤となり、お客様の移動がわくわくするものや喜びとなるよう、KINTOはそんな存在でありたいという想いがビジョンに込められています。

――貴社ならではの制度やカルチャーがあれば教えていただけますか?

金子:「社長と1 on 1で話しませんか?」という取り組みを導入しています。入社して特に印象的だったのが、社員の意見を積極的に採り入れようとする小寺社長の姿勢でした。実際に話してみると非常にチャーミングな方で、話を聞いてもらいたいと思わせてくれるリーダーなんです。
多種多様なバックボーンをもったメンバーと一緒に働けるのもKINTOのカルチャーでしょう。お互いの意見をリスペクトしながら自由闊達に話し合える社風が、働くモチベーションにつながっていると感じています。
2週間に一度は全社員が戦略会議に参加し、毎週行われる部長会議の議事録は基本的に社内展開されるので、非常に風通しがよい会社だと感じています。

――貴社はトヨタ自動車から独立したまだ若い企業です。大企業とスタートアップ、どちらの側面が強いと感じていますか?

金子:社員によって感じ方はまちまちですね。ベンチャーだから発言しやすいと語る人もいれば、大手企業だから社内制度やお給料が充実していると言う人もいます。何を期待して入社してくるかにもよると思いますけど、大切なのは自分が社内でどう行動するか、ではないでしょうか。

杉本:KINTOを大企業だと思って入社した人は「こんなにもスタートアップ?」と驚く場面も多々あるかもしれません。でもそこを乗り越えて、自分の信念とやる気を燃料にフレキシブルに行動できる方と一緒に働けたらうれしいです!

自動車業界の慣例をブレイクスルーする

――貴社の今後の展望や、課題を教えていただけますか?

中来田:自動車業界は基盤が安定している半面、ブレイクスルーしづらいしがらみがあるのもまた事実だと感じています。業界の慣習を我々がぶち壊していく。そんな気概とともに、今後も新しい発想でお客様にモビリティサービスを提供していきたいです。
固定観念にとらわれず世の中に新しい価値観を訴え続けるためには、ベンチャー精神を絶えず胸に宿しておく必要があると思います。

――トヨタ自動車の豊田社長いわく「100年に一度の変革期を迎えた自動車業界」で働くことに、使命感のようなものは感じていますか?

中田:そうですね、やはり「世の中やお客様のマインドを変革していけたら」と燃えています。たとえば携帯電話は2、3年で買い換えるのに、クルマは違いますよね? クルマも気軽に新しい車種に乗り換えられたらQOLが向上すると思うのです。世の中の前提を変えるのは簡単ではないですけど、私たちが実現しなければ!

金子:当社は「自動車業界の構造を変える」という御旗の元に生まれました。KINTOが業界の変革に取り組まなければ、数年後にほかの誰かが同じことをやろうとするかもしれない。そうなった時に一番痛手を負うのは当社なのだ、という危機感はあります。トヨタグループの一員として、そのポテンシャルを発揮する責任を社員全員がもっているし、会社のみんなと一緒に成し遂げていけたら。

杉本:クリエイティブ担当の私から付け加えるならば、我々が一番アウトプットすべきは「脱トヨタ」だと思っていて。「トヨタだったら(サービス)をこう表現するんだろうな。でもKINTOなら違うよね?」という視点が考えのベースにあるんです。webサイトも、現在からよりジャンプアップしたものを今後つくっていきたいです。

メンバーが考える「KINTO=〇〇〇な会社!」

――ズバリ、みなさんにとってKINTOとはどんな会社でしょう!?

杉本:私は「学びの多い会社」だと思います。個々のチームメンバーがスペシャリストとして活躍しているから、若い方はもちろん、私のようなキャリアを重ねた社員も、常に学びを得られます。社長・小寺との「1 on 1」制度もそうですが、部長もカジュアルに意見を言い合える雰囲気をつくってくれるので、自由に仕事して成長させてもらっています。

中来田:「ハイブリッドな会社」だと思います。あ、「トヨタだけにハイブリッド車!」と、うまいこといったつもりはありませんよ(笑)。さきほども話題に挙がったように大企業とベンチャーのミックス、“いいとこどり”です!

中田:私は「推進力のある会社」と感じています。当社は中途入社組だけではなく、出資会社等からの出向者も2〜3割いて。そんなメンバーも含めた全員が意思をもってしっかりとプロジェクトを推進しています。「私、これやります」と率先して手を挙げるメンバーがとても多いんですよ!

金子:「成長することに一生懸命な、熱い人が多い会社」ですかね。みんな会社が好きで、仕事が好き。自分たちのサービスに誇りをもっているから、どんどんいいアイデアが出てきます。一番驚いたのは、プライベートの席でもずっと仕事の話題が止まらない人ばかり、という事実(笑)。私も熱すぎる熱意に随分影響を受けて、自分の考えをしっかりと話せるようになりましたね。

――素敵な会社だということが伝わってきました!最後に貴社への転職に興味のある読者にメッセージをお願いします。

杉本:部署やチームによってメンバーのカラーはさまざまですけれど、ぜひ当社の「VISION(ビジョン)-目指す姿-」に共感してくれる方にお会いできれば嬉しいです。日々いろいろ問題も発生しますが、あまり深刻に考えすぎず、切り替える力があると軽やかに働いていただけるんじゃないでしょうか。
新しいモビリティサービスを世の中に提供していく気概のある方に、ぜひ仲間になっていただきたいです。

[文]城京子 [編集]サムライト編集部 [写真]KINTO社提供