ITエンジニアが英語を「読める」ようになるためのおすすめの方法4選

ITエンジニアに必要な英語スキルは「読む力」

ますますグローバル化が進むなか、ネットでも雑誌でも、ビジネス書でも「英語力」は何かとキーワードに上がります。

しかし英語力とひとことで言っても、リーディング(読む)・ライティング(書く)・スピーキング(話す)と、大きくわけて3つのスキルがあり、職業や職種によって必要なスキルは変わります。

ITエンジニアに関して言えば、このうちまず必要になるのはリーディング、すなわち読む力。なぜなら、ITエンジニアが英語を使う主なシーンは、欧米の最新の技術などについての情報を収集する時だからです。

もちろんライティング、スピーキングのスキルが必要な場合もありますが、それは外資系企業の海外拠点で働くとか、海外企業とのプロジェクトの窓口になるといった、限定的なケース。基本となるのはやはり読む力なのです。

そこでここでは、ITエンジニアが英語を「読める」ようになるためのおすすめの方法を4つ紹介します。

1.AIに頼る

近年は人工知能を実装した翻訳サービスや翻訳端末が開発され、さまざまな場面で活用されるようになりました。

翻訳サービスで言えばディープラーニングを中心とした、言語向けの人工知能システムを開発しているDeepL社が提供している「DeepL翻訳」が非常に優秀で、医学論文などの専門的な文章でもかなり精確に翻訳してくれます。

翻訳端末であれば、「ポケトーク」や「LANGOGO」などがあり、ドラえもんに登場する秘密道具のこんにゃくのように、音声の翻訳も可能となるため、海外のオンラインセミナーや技術者によるYouTube動画から情報を収集する際に活用できます。

AIを活用することの最大のメリットは、とにかく楽なこと。特別英語を勉強しなくても、海外の情報に触れることができます。一方で翻訳AIは書き手や話し手のクセによってはうまく翻訳できなかったり、ある程度まで翻訳できてもニュアンスまでは反映できなかったりと、まだまだ発展途上な技術でもあります。

今後急速に改善されるとしても、「読む力」を身につけるという観点からは、デメリットとして理解しておく必要はあるでしょう。

2.読み終わった技術書の原書を読む

きちんと自分の力で英語を読む力をつけたい人におすすめの方法が、「読み終わった技術書の原書を読む」です。チョイスする本は、自分にとって簡単なもので構いません。

例えば、GAFAの元エンジニアであるゲイル・L・マクダウェルの『Cracking the Coding Interview: 150 Programming Questions and Solutions』の翻訳本『世界で闘うプログラミング力を鍛える150問 ~トップIT企業のプログラマになるための本~』。

あるいは、プログラミングの概念をビジネスに実装しようとしているコンサルタント、マーチン・ファウラーの『Refactoring:Improving the Design of Existing Cod』の翻訳本『リファクタリング―既存のコードを安全に改善する―』。

子供向けにRubyを教えているプログラマ、クリス・パインによる『Learn to Program (Facets of Ruby)』の翻訳本『初めてのプログラミング』のような本でもアリ。

確かに、これらの原書を読むことは直接ITエンジニアとしてのスキルアップにはつながらないかもしれません。しかしテーマにより内容を理解しやすいので、英語の「読む力」を鍛えるにはちょうどいいのです。

またある程度専門的な英単語も出てくるため、学んだ内容を横展開しやすいのもこの方法のメリットです。

一方で学習に時間がかかりがちな点はデメリットです。加えて、翻訳本であるということは、すなわち最新の情報ではないということなので、情報収集は別途行う必要があります。この点も「読み終わった技術書の原書を読む」のデメリットと言えるでしょう。

3.若いうちに外資系企業勤務を経験して英語漬けになる

これを読んでいるあなたが現在20代〜30代前半であれば、外資系企業に転職するというのも選択の一つです。

メリットとしては、何よりITの最先端である海外拠点から流れてくる情報を通じて英語を学べることです。しかも、まさに実践の場で英語の「読む力」を磨けるので、即戦力の英語力が身につきます。

また海外向けの資料作成や、海外とのやりとりなど、ライティングやスピーキングのスキルを身につけられる可能性もあります。

一方で、外資系企業にITエンジニアとして転職するとなれば、はじめから一定程度の英語力を求められる場合が多いうえ、単純にエンジニアとしての高いスキルが求められます。そのためこの方法で英語力を磨きたくても、そもそも転職できないというリスクがあります。

加えて、外資系の実力主義的な働き方が自分の肌に合わない可能性もあります。そのため転職する際はよくよく慎重に決断するようにしましょう。

なお、ダイレクトリクルーティングやヘッドハントを狙うのであれば、外資系のリクルーターやヘッドハンターの多い「Linkedin」を、より堅実に動きたいのであれば外資系のITエンジニアに強い転職エージェントを通じて、転職活動を進めることをお勧めします。

4.副業で海外と仕事をしてみる

最後に提案する方法が、「副業で海外と仕事をしてみる」です。「日本にいるのに、海外の企業から仕事をもらうなんてできるの?」と思うかもしれませんが、クラウドソーシングサービスを使えば、想像以上に簡単に海外からの仕事をとることができます。

近年日本でも少しずつ浸透してきたクラウドソーシングプラットフォームですが、海外でも同様のプラットフォームが増えてきています。たとえばオーストラリアを拠点に、247以上の国や地域などの仕事が集まる「freelancers」、アメリカを拠点とするプラットフォーム「Upwork」が挙げられます。

この方法のメリットは、転職というリスクをとらずに、今の会社で働きながら実践的な英語に触れることができる点。主にメールでのやりとりが中心となるため、「読む力」が身につくことでしょう。もちろん仕事をするわけですから、副収入を得ることもできます。

対してデメリットは、責任の重さ。会社員ではなく、個人として仕事をするため、納期はもちろん、日々の基本的なやりとりもしっかり責任を持って取り組むべきです。加えて、今勤めている会社が副業を禁止している場合は、その点にも注意が必要です。

ITエンジニアの英語はまず「読む」ところから

英語を習うとなると、つい英会話から始めてみようとなりがちです。でもITエンジニアに求められる英語は読めるかどうかがメイン。話す・書くはそのあとで十分です。

効率よく、必要な英語力を身につけるためにも、まずはここで紹介した4つの方法をうまく使いながら、読解力を磨くところから始めましょう。

[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部