技術“だけ”すごいITエンジニアはもうオワコン!?生き残っていくために必要なたった一つのルールとは?

エンジニアが技術力だけで食っていくのには限界がある

現在ITエンジニアとして働いている人の多くは、「エンジニアが技術力だけで食っていくのには限界がある」ということに気付き始めているかもしれません。

GAFAで働いているようなエンジニアのなかには学生時代の実績が認められて、新卒入社で年収1,000万円オーバーの人もいるそうですが、そんなエンジニアはほんの一握りです。

もちろん一定以上のスキルがあれば仕事を失うことはありませんが、より充実したキャリアを築くためには、「技術“だけ”すごいITエンジニア」から脱出する必要があります。

ここでは、そこから脱け出すための考え方を紹介するとともに、のちのキャリア構築のヒントになるたった一つのルールについて解説します。

ITエンジニアは「コミュ力」で人材の希少性を高められる

「技術“だけ”すごいITエンジニア」から脱け出すためには、人材としての希少性を高める必要があります。その際のキーワードは「掛け算」です。

例えばコードが書ける、システムが組めるといったエンジニアのスキルに、

・チームマネジメントができる
・営業と協力してクライアントを課題発見・解決に導くことができる
・MBAなどの資格を持っていて経営課題の側面から要件定義ができる

といったスキルを掛け合わせることで、よりユニークな人材になることができるのです。しかしこうした掛け算を実現させるためには、運も必要です。

チームマネジメントのスキルを磨くためには、マネージャーのポジションが空いていたり、社風として肩書きがなくともマネジメントを任せてもらえたりする会社に勤めている必要があります。

営業と協力してクライアントを課題発見・解決に導くスキルを磨くためには、そもそもプロジェクトにそういったチーム編成を組む会社でなければ難しいでしょう。

MBA留学をするとなれば、かなりの費用もかかるので私費で取得できる人は限られていますし、会社の制度として設けているところも多くはありません。

しかし、ほとんどコストもかからず、働く環境にも左右されにくい掛け算スキルもないわけではありません。そのうちの一つがコミュニケーションスキルです。

「論理力」に頼りすぎると、コミュ障になる

ITエンジニアの強みの一つは、論理力です。仕事柄、物事を整理するのが得意なので、筋道を立てて話すことは得意なのです。このように考えると、すでにITエンジニアはコミュニケーションスキルを身につけている、と言うことができるでしょう。

しかし、この論理力はコミュニケーションにおいて弱点にもなり得ます。なぜなら論理力に頼りすぎたコミュニケーションは、うまくいかないことが多いからです。

ITエンジニアの方なら経験があるのではないでしょうか。

・システムの要件定義について営業担当者と議論になり、理屈で説得したものの、後日蓋を開けてみたら結局営業担当者の意向通りの要件になっていた。

・「結果に影響がないから」と自己判断で仕様変更をした結果、あとから黙って仕様変更したことが明るみに出て、クライアント(もしくは社内)からの信頼を失った。

理屈を言えば、営業担当者は説得されたのだからこちら側の意向に沿った要件にするべきですし、結果に影響がないのならいちいち目くじらを立てる必要もないはずです。

しかし、営業担当者は自分のやり方を押し通そうとするし、クライアントや社内の人たちは「どうなってるんだ!」と怒っている。なぜこんなことが起きるのでしょうか。

それは、人とは感情的な動物であり、基本的に論理とは対極の生き物だからなのです。

ITエンジニアは「人は感情的な動物である」ということを理解し、実践すべし

冒頭で述べたキャリア構築のヒントになるたった一つのルールとはこのことです。すなわち、ITエンジニアは「人は感情的な動物である」ということを理解し、実践すべきなのです。ベストセラー『人を動かす』の中で、著書D・カーネギーはこのように書いています。

およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない。
引用:『人を動かす 文庫版』Kindle版 No.251

確かに論理的なコミュニケーションはわかりやすいのですが、残念ながら多くの、とくに非エンジニアの人たちの行動原理は感情にあります。

言ってしまえば「わかっちゃいるけどやりたくない」を当たり前のようにやりますし、逆に言えば「やりたい」と思えば論理的に正しいかどうかに関係なくやるものなのです。

では具体的に何をすれば相手の感情に寄り添ったコミュニケーションが身につくのでしょうか?それは「相手の感情」に耳を傾けることです。「傾聴」と言い換えてもいいでしょう。

「相手の感情に寄り添ってコミュニケーションをとれ」と言われてすぐ実践できるのなら問題ありませんが、それが難しいのなら聴くしかありません。ただし、ド・ストレートに「今どんな気持ちですか?」と尋ねてもなかなか欲しい答えは得られません。聴き方が重要です。

別の記事「チームリーダー必見!自分を好きになってもらうための『傾聴』のすすめ」では、この傾聴について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

引用した『人を動かす』を読むのも一つの方法です。本書には人の感情に訴えかけるにあたっての原理原則が、具体例とともに紹介されているからです。

ただし、いずれにしろ読んだだけでは付け焼き刃のハウツーでしかありません。まずは実践あるのみ。仕事でもプライベートでも、相手の感情に耳を傾けることで、キャリアの掛け算の第一歩を踏み出しましょう。

「エンジニアスキル×コミュ力」があれば一生食える

エンジニアとしての技術力だけでなく、コミュ力も同時に身につけていけば、現役時代のキャリアの幅が格段に広がり、キャリアの幅広がれば現役時代のみならず、定年後にも活躍の舞台は広がっていくでしょう。年齢を重ね、経営層と会話する機会が増えていけばなおさらです。

「エンジニアは技術力だけあれば食っていける」と考えることなく、今のうちからコミュニケーション能力を磨いておきましょう。

[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部