【複業LIVEレポート】2つ以上の”本業”を成り立たせるために必要な、たった3つのポイント

PARAFT株式会社×株式会社en Factory主催、新しい働き方を考える「複業LIVE」に潜入!

みなさんは「複業」という言葉を知っていますか?「本業」として自分が勤める会社があり、それとは別にお小遣いを稼ぐ、という「副業」のことではありません。今回のキーワードになる「複業」とはつまり、複数の本業を持つという考え方です。

メインとサブがあるわけではなく、メインの仕事を複数持つ。こうした働き方をパラレルワークと呼びます。今回はこのパラレルワークをテーマにしたイベント「複業LIVE」に参加してきました。

そして今回登壇するのは、実際に複業OKの企業で働いているこちらの3名です。

◯登壇者

・ライフネット生命保険株式会社 佐藤 邦彦さん

佐藤_Fotor

ライフネット生命保険株式会社で人事を務める佐藤さん。ライフネット生命保険株式会社は、複業やダイバーシティを促進している企業です。そんな多様な働き方が認められている企業の人事担当者として、複業のメリットとデメリットをお話していただきました。

・日本マイクロソフト株式会社 砂金 信一郎さん

砂金_Fotor

日本マイクロソフト株式会社のエバンジェリスト(自社の商品やサービスをわかりやすく説明して、ファンを作る人)である砂金さん。複業について、外資系企業が持つ価値観や会社としての立ち位置についてお話していただきました。

・株式会社コミュニティコム 星野 邦敏さん

星のさん_Fotor

自社メディア運営事業、WordPressにサイト制作事業、コワーキングスペース・貸し会議室、シェアオフィス運営事業などを行う株式会社コミュニティコムの代表取締役である星野さん。実際に複業としていた事業が本業になったご自身の体験などをお話していただきました。

◯ファシリテーター

 

ヤフー株式会社企業内大学「ヤフーアカデミア」本部長/グロービス経営大学院客員教授 伊藤 羊一さん

伊藤_Fotor

ヤフー株式会社企業内大学「ヤフーアカデミア」本部長/グロービス経営大学院客員教授として、主にリーダーシップ開発を行う伊藤さん。この3人の登壇者と伊藤さんをファシリテーターに迎え「複業LIVE」、スタートです!

「複業」は誰でもできる”量的な仕事”ではなく、あなたにしかできない”質的な仕事”をするためのもの。

_IMG_5784_Fotor

伊藤 羊一さん(以下、伊藤):今回のセッションでは大きく2つのテーマに分けて、お三方に聞いていきたいと考えています。まず1つ目は、複業をしていくにあたって、社会や会社が複業を認める雰囲気が必要だと思うのですが、とはいえ現状の日本ではあまり進んでいるように感じません。

複業をより推進していくために、今の企業において何が足りなくて、何を推進するべきだと思いますか?評論家的な立ち位置からお話いただきたいと思います。

佐藤 邦彦さん(以下、佐藤):ここではまず、外資系企業と日本企業を比べてみるといいと思います。外資系企業は、入社する段階で「この人は何ができて、うちの会社ではどんなことをしてくれるのか」といういわばそれぞれの部門別に採用していることが多いと思います。

ですので、仕事の内容が人によって非常に明確かつ専門的になる上、仕事ができていればきちんと評価されるし、できていなければ評価は下げられます。つまり、誰でもできるような事務的な仕事や作業的な仕事はやらせません。

一方で日本企業は、何もできない新卒を採用して育てていきます。なのでまだスペシャリティがない状態でいろいろな経験をさせます。その過程で、誰でもできるような事務的な仕事や作業的な仕事も、ある一定割合まではみんなでやっているんです。

この誰でもできるような仕事を、私は「量的な仕事」と考えています。それに対して、その人にしかできないような仕事、スペシャリティの高い仕事を「質的な仕事」と考えています。

今回のキーワードである複業とは、どちらかというと「質的な仕事」の割合を上げるためにするものだと私は考えます。質的な仕事が増えれば、その人のキャリアアップに繋がることはもちろん、人生の豊かさも上がると思います。

弊社では、そうしたキャリアとつながっている複業は積極的に支援しています。社員から複業を考えていると相談があったときには、その人なりのストーリーを聞いた上で、サポートしていくという形を取っています。

砂金 信一郎さん(以下、砂金):複業がより推進されていくためにはまず、一個人がハイパフォーマーになるべきだと、私は思います。会社から与えられた仕事を完璧にこなして、それ以外の余った自分のリソースをどう使うかは個人の問題だと思います。

そのためには、自分がこなせる仕事の量と質の総和をとにかく高めることが重要です。誰になんて言われようと、自分の仕事をきちんとこなして複業をするという強い意志と、それに伴うパフォーマンスがあればおそらく誰も文句を言わないと思います。

星野 邦敏さん(以下、星野):あとは自分がどれだけ複業をやりたいと思っているのか、という問題もあると思います。ここでいう”複業”は、平日は働いて休日はコンビニでアルバイトしてお小遣いを稼ぐというようないわゆる”副業”ではないと思うんですよ。

それに対して”複業”は、平日は会社や組織に属して働いて、休日は自分の本を書いたりセミナーに登壇したりなど、何かしら自分が事業者の立場になってする仕事のことだと思っています。

このように事業者として仕事をするようになると、想像以上に大変なんです。ですので、休みが休みではなってしまう。休日にお子さんと過ごしたい方やワークライフバランスを重視したい方は少し厳しくなってしまうかもしれません。

さらに本業のせいで複業の締め切りが間に合わなかったり(逆もしかり)と、自分の管理がきちんとできない人だと、なかなか厳しいかもしれません。

仕事が抜群にできる優秀な”偉人レイヤー”でないと、複業できない?”凡人レイヤー”の複業はどうなる?

_MG_9246_Fotor

佐藤:たしかに、砂金さんの言うとおり自分のパフォーマンスを徹底的に上げることで複業を会社に認めさせるような力がある人は、今後複業をどんどん増やしていくと思いますが、とはいえ世の中の大半の労働者がそこまでできるかって言ったら難しいと思います。

そうした能力の高い人達、いわゆる”偉人レイヤー”の人達の中で複業が広まっていっても世の中は変わらないと思います。これから労働人口は減っていくにも関わらず、仕事自体はどんどん増えていきます。

そうした中で、いわゆる”凡人レイヤー”の人たちでも、より複業を活用して、キャリアを豊かにできないのでしょうか?

砂金:エンジニアの世界で言うと、”偉人レイヤー”とは、自分の名前で仕事をしていて、”凡人レイヤー”とは、企業の名前で仕事をしています。”凡人レイヤー”の人が、複業をやっていくにはまず「自分の名前」で仕事をすることから始めていく必要があります。

無論、自分の名前を出すことは、現在勤めている会社の許可がいる場合がありますが「あなたにこの仕事を頼みたいんです」といった質的な仕事をいただけるように、会社員時代から「自分の名前」を出して活動していくことが大切だと思います。

佐藤:砂金さんがお話になったのは複業を外からいただくケースですが、その他にも自分から複業をやりに行くケースもあります。例えば、自分でメディアを立ち上げて、仕込んでいくという複業のパターンもありますね。

自分で作っていけば最初のリターンは少ないけれども、きちんと成長させればお金も入ってくると思うので。先に出た売り込んでいくパターンか、自分で作っていくパターンかは、ご自身のご都合で決めていただければいいかなと思います。

星野:私もそうだったのですが、複業をする際に、ある分野の黎明期に参入することをおすすめします。黎明期に参入すると周りでやっている人がいないのですぐに第一人者になれますし、ビジネスチャンスを嗅ぎつけて優秀な人達が集ってきます。

凡人レイヤーの人がより活躍するには、まずその分野のパイオニアとして第一人者になってしまうことです。本とかを出版できたら、自分をアピールするためのかなり強い広告になると思います。

本だけではなく、ブログなんかで発信してもいいかもしれません。自分で表現する場所を作れば必ず見てくれる人がいるからです。

”凡人レイヤー”でもできる!複業をしていくために必要な、たった3つのポイント

_MG_9532 _Fotor

伊藤:最後に3人が考える「複業をしていくために必要なポイント」について教えてください。

佐藤:まずは自分が本業としている会社の中で、高いパフォーマンスを出しましょう。そしていろいろなところに顔を出して、仕事を探してみてください。最初はギブ&テイクではなく、ギブ&ギブくらいの勢いでとにかくがむしゃらに仕事をしてください。そうすればテイクはその後、必ず返ってきます。信じてがんばってください。

星野:先ほども話しましたが、好きなことをとことん仕事にしてみてください。そして2つ仕事をするということは、必ず時間がかかってしまいます。休みは休みでも、家でゴロゴロしているのではなく、どうせなら好きなことに熱中してみましょう。そうすれば必ず、複業につながってきますから。

砂金:今日のようなイベントに積極的に参加するなど、自分の足を止めずにとにかく動き続けることが大切だと思います。また、自分が動いていることや考えていることをブログなどを使って必ず発信してください。考えを発信し続けることで、様々な出会いが複業につながります。

Career Supli
複業をするためには、まずは自分なりに行動をしてみましょう。まだまだ日本では一般的ではないですが、あなたも自分の好きなことで、複業を始めてみてはいかがですか?
[執筆]内藤 祐介 [編集]サムライト編集部