2つの技を使って凡人でもできる影響力を圧倒的に高める方法

自分に影響力があったらもっとスムーズに仕事ができるのに。そう考えたことはありませんか。

同じことを言っていたとしても、影響力を発揮できる人とできない人がいます。その差はどこにあるのでしょうか。

いろいろな要素はありますが、今回は影響力を発揮するのに重要な、「信用」と「カレンシー」についてご紹介します。

人は、同じ内容でも信用した相手の話に耳を傾けます。人は、自分にとって重要なカレンシーを提供してくれる話に興味を持ちます。

相手に信頼されて、相手が望むカレンシーを提供できる人は信頼されます。この2つを踏まえて人と接すれば、特別な人でなくても影響力をもつことができるでしょう。

■「信用」を得るための3つのステップ

まず、影響力のある人が効率的に「信用」を得ている方法をご紹介します。

●その1.自己開示で打ち解ける

一つめのステップは「自己開示」です。本題に入る前に、自分のことをネタにした雑談を挟むだけで一気に打ち解けやすくなります。

なんだ、そんなこと知っているよと思われるかもしれませんが、ここで重要なのは、「自分のことをネタにする」ことです。

天気の話や、最近のニュースや、業界のトレンドなどではだめなんです。自分自身に関することで、しかもかなりコアな部分に関連する話題の方が効果的です。

たとえばお金や健康に関する話題や、自分の弱点やマイナス面、幸せを感じる瞬間、恥ずかしさや罪悪感を覚えた経験など、かなり踏み込んだ部分に関連する話題がおすすめ。

ポイントは相手が、プライベートな話をしてくれたと感じること。そうなると一気に打ち解けることができます。

●その2.自信を与える

2つめのステップは、「自信を与える」ことです。

人は自分に自信を与えて、行動を後押ししてくれる人を信用します。影響力のある人は他人を巻き込むのがうまいのですが、巻き込み力のポイントがこの「自信を与える」ことなのです。

人に行動してもらうためには、命令するのではなく、私には行動する能力がある、チャンスがあると自ら感じてもらうことが必要となります。

では具体的にどんな声がけをすればいいかというと、相手が「過去の自分」と「今の自分」を比較するきっかけとなるような言葉を贈るのです。

相手が自分では気づけないような、成長と変化を指摘してあげましょう。自己重要感を与えてくれたあなたに対する信頼は一気に高まります。

●その3.共通点の強調

3つめのステップは、「共通点の強調」です。

影響力のある人は、身近な存在、気軽に話しかけられる仲間として影響を与えます。そのときに使えるのが「共通点の強調」です。

人は小さな共通点があるだけで相手の話に耳を傾けて、提案を受け入れる確率が上がります。

もし相手のSNSアカウントがわかっていれば、事前にリサーチして、共通点がないか探しましょう。出身地、誕生日、趣味、学校、家庭環境、住んでいるエリアなど、なんでもかまいません。

昭和を代表する政治家・田中角栄元首相は、人心掌握がうまい、いわゆる人たらしで有名だったのですが、この、「共通点の強調」を徹底的にやっていたそうです。

田中角栄が大蔵大臣だったときに、大学を卒業して入省してきた新人20名とはじめて会った際、20人の名前を端から一人ずつ口にしながら順番に握手をしたというエピソードがあります。

いまは相手のことをリサーチしやすい環境なので、こうした積み重ねが重要です。信用を得るための3つのステップを詳しく知りたい人は、メンタリストDaiGoさんの著書『超影響力~歴史を変えたインフルエンサーに学ぶ人の動かし方』を読んでみてください。

■「カレンシー」を提供する

つぎに「カレンシー」について紹介します。カレンシーとはもともと「通貨」を意味し、派生して、「交換価値」や相手にとって「価値のある何か」のことを指します。

人によって、欲しいと思っているカレンシーはさまざまで十人十色です。カレンシーの価値は、相手がそのカレンシーに感じる価値であり、主観的なものです。

そのため、相手がどんなカレンシーに興味を持つのか、それを把握することが必要になります。とくに次のようなシビアな状況で、重要になります。

・相手側が抵抗することがわかっている
・相手グループのことをよく知らないのに負担をかけるような依頼をする
・相手側との関係が良好ではない
・機会は二度とないかもしれない
・思いつくすべてを試したが、相手は依頼を拒否している

こうした厳しい状況下で影響力を発揮するには、相手がどんなカレンシーに興味をもつのか、自分の権限や人脈でどんなカレンシーが提供できるのかを考えましょう。

■組織の中でよく使われるカレンシー

カレンシーは相手によっていろいろありますが、組織のなかでは主に5つのカレンシーが使われます。

1.気持ちの高揚や意欲を喚起するもの

仕事の意欲や、モチベーションにつながるものがこれに該当します。共鳴できて重要だと思えるビジョンや、クオリティの高い仕事にチャレンジできる機会、道徳的/論理的に正しい利他的な行動を起こせる機会などが、このカレンシーに該当します。現在の組織ではこの重要性が高まっています。

2.仕事に直接役立つもの
仕事をやり遂げることを直球で助けるものを指します。新しいリソース、新しいことにチャレンジできるチャンス、今の負担を軽くしてくれるあらゆる援助、プロジェクトや新しい企画にお墨付きを与える組織的な支援、優先順位をあげて対応する素早い対応、業界やクライアントなどに関する情報などが、このカレンシーに該当します。このタイプのカレンシーは、担当する仕事に取り組む能力や達成感に関係します。

3.立場に関するもの
これは社内での地位を上げたり面子を立てたりするものを指します。自分の貢献が認められる表彰や承認、上層部からの認知、社内外の評判、集団に属しているという帰属意識、重要感、ネットワークが広がることなどが該当します。間接的に相手の目標達成を援助して、キャリアアップを後押しするものです。

4.人間関係に関するもの
人間関係に関するカレンシーは、他者との関係を強めるものを指します。仲間からの温かい態度や好意、仲間からの理解、共感を得られること、誰かが個人的にサポートしてくれる私的な支援などが、このカレンシーに該当します。

5.個人的なもの(その人自身に関すること)
受け手の自意識を満足させられるものがここに該当します。感謝を表明されること、自分が会社の中心であるという当事者意識、その人らしさを強化するもの、リスクを回避できること、のんびり楽をできることなど、業務、人間関係、プライベートなどからこれらのカレンシーを引き出すことが可能です。

影響力は細かい努力の積み重ね

今回は影響力を発揮するのに重要な、「信用」と「カレンシー」についてご紹介しました。

「信用」を高めていくステップや、相手の「カレンシー」を把握することも、やるべきことはそんなに難しくないのですが、意識をして毎日取り組んでいく必要があります。

できるところからでいいので、ぜひ実践してみてください。

[文] [編集]サムライト編集部