OLの襟はピンクからブルーまであるんですvol.2『デザイナーに必要な才能とは』

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OLの襟はピンクからブルーまであるんですvol.1『デザイナーという職業』

青山で働くデザイナーの朝

午前十時。

朝の残り香を追うように、私は青山の街を急ぐ。坂を上りきった頃、いままでとちょっと違う、街路樹の濃い影の色に気づく。

吹き抜ける強い風にめくられたシャツの裾を、クラッチバッグで思わず押さえる。

立ち止まり見上げた空に、かすかに漂う夏の気配。季節は巡り時は流れる、確実に流れる。

待つ事にはもうだいぶ慣れた私だけど、

ふいに、待った時間と過ぎた季節を実感し、また、歩き始める。

目的の地、青山ブックセンター本店に到着。

「カバーはおかけいたしますか?」
「いいです、ああ、袋もいりません。」

青山ブックセンターを出て、手頃な店に入りブランチを注文し買った本を広げる。

そんな、青山で働くデザイナーの朝。

01

 

 

02

HUNTER×HUNTER、33巻、でーたーよー!!

少年漫画は新書版、クラッチバッグにジャストフィット!なナイスサイズです。 タバコ、財布、ジャンプコミックス!ぴったり!どんなに待たされても、 ・・・面白ェから仕方ねェンだよ、と既に納得中(読了)。また・・・数年は待つんだね(なみだめでとおいめ)。

余談ですが最近、好きな作家の遅筆っぷりが目に余るレベルです。冨樫、広江礼威せんせえ、平野耕太せんせえ、あずまきよひこせんせえ、冨樫、美内すずえせんせえ、木多康昭せんせえ、冨樫、冨樫、川原泉せんせえ、井上雄彦せんせえ、冨樫、年に1冊出してくれたら(画集は認めない!)土下座でありがたがりますので書いてください、どうかどうかお願いします。

会社員デザイナー暦20年の381

さて。しってるひとはこんにちは、初めてのひとははじめまして、腰掛けOLというぬるま湯に溺れたい、会社員デザイナー暦20年の381です。

前回、キャリア的な事と真摯に向き合うこのサイト、意識が少なくとも低くない感じのこのサイトに、「職場20年変えてねえ」みたいなOLがタバコ吸いながらやってきて、デザイナーという職業はクリエイティブではなく技術をベースにしたサービス業である、と言いました。

デザイナーという曖昧模糊とした職業のハードルがぐっと下がったかのような印象を皆さんに与えたかもしれませんが、巷に少なからずいる「デザイナー志望」と「デザイナー」の間には、「才能」という深くて長い川があります。では、デザイナーの「才能」とは何なのでしょうか。

絵のうまさ?
手先の器用さ?
センスの良さ?

私は二流美大の三流学部の出身です。美術予備校で一年浪人して、ほうほうのていで入った大学には、それこそ化け物みたいに絵がうまくて神様みたいに手先が器用で、加えてセンスというオカルティックなものを作品に込めるシャーマンたちが、それはもうゴロゴロいました。

学校に行くと、校門から吹き出るオラーに悪酔いして一旦近所の公園で一服しながら缶コーヒーでも飲まないとやってられないくらいのモンでした。うちの二流大学でさえそうなのですから、藝大では私など門をくぐった瞬間に灰になるに違いありません。

そんな魔窟を卒業した頃はみな、それぞれがそれぞれの「美術」に手をかけましたが、現在周囲を見渡すとそれを手にいれて、いまだ仕事にしているのは、※良い悪いは別にして一握りです。そんな一握りの中にある私は、校門から吹き出すオラーの源泉になれるような何かが、秀でて少ないタイプの人間でした。が、在学中から今に至るまで、デザイナーであり続けています。

それは私がデザイナーの必須条件である何か、すなわち才能を持っていたからにほかなりません。結婚とか出産をしない才能ではありません、そこはほっといてくれるのがおまえらに要求された優しさです。

デザイナーに必要な才能

若いデザイナーというのはとにかくひどい目に遭いがちです。前回お話ししたクライアントの「予算は低く、クオリティは高く、納期は早く」に対して、自分で返事を出す事がほぼできないからです。

「わかりました。」と返事を出すのは会議に参加してるディレクター職のパイセンです。会社に戻ってきたパイセンは「明日のプレゼンまでにとりあえずコンセプト案とそれに合うロゴ案4セット出してもらえる?」と資料を投げつけて、クライアントと晩ご飯を食べに行きもう戻ってはきません。

「あいつ何うまいもん食ってんのかなー」と呪いながら菓子パンをかじり、伊集院のラジオを聞きながら夜通し線を書き、夜明けに会社の床で眠り、顔見知りの清掃業者のおじさんに「ごめんね、掃除機かけるからどいてもらえるかな?」と起こされ、自分にファブリーズを吹きながら椅子に戻り線を書き線を書き、

どうにかこうにか線を書き上げパイセンに送信、帰ろうとしたところで他のパイセンに電話で「いま編集室なんだけど急遽地図が必要なのおおおお!」と泣きつかれ、地図を書き上げ・・・たあたりで最初のパイセンがプレゼンから帰ってきて、みたいな事が週2くらいで繰り返されます。

私の場合はそんな感じが5年くらい続きました。映像でもインテリアでも広告でも出版でもwebでもどこでも似たような環境のようで、その5年で、多くのデザイン志願者は体を壊して業界を去っていきます。

デザイナーに必要な才能、私はそれを「体の丈夫さ」だと考えています。

タフな人だけが残っている

今現在、私の周りには似たような仕事の同級生が少しだけいますが、運動不足に考慮してジムに通い、有酸素運動や筋力トレーニングをして一定の体力を保つ自己管理もデザイナーの仕事の一部ですキリッ、などとは私も彼らも言いません。

タバコを吸い酒場で踊り、帰り道で揚げ物をなめ発泡酒をあおり、ほろ酔いのまま漫画を読み倒し夜明けにあわて、休みの日には「きょうはいっぽもうごかない。」と布団をかぶる、けど納期とクオリティはビシッと守る、そんな人たちが残っています。

体調管理などしなくても町内の神様くらいには守られているような人種、「神の理不尽」に愛された人間が、デザインの現場に残っています。はっきりいえば、運動部など覗いたこともない凡庸な美大生だった私が、長い間デザインに従事してこられている理由、それは「ほかのひとより生まれつきじょうぶだった。」それだけなのです。

人に伝えるための絵作りのうまさも、空間を作るための手先の器用さも、お客様を納得させる理論のセンスも、確かに必要ですがはっきり言えば生まれもった才能である必要はありません。

そういうのは若い時期を乗り切りさえすれば勝手に身に付きますし、結果的に正解のデザインが見えるまでの時間も短くなります、なりました、ほんとうに諸パイセン方のブートキャンプのおかげですありがとうございます(棒)。

ここまで読んでみてこんにちのデザイン界を動かす大多数のデザイナーたちの全く輝いてない生活が、なんとなくわかっていただけたかと思います、私は書いてみて改めてゾッとしています。

意識低い系のトップアスリートみたいなパンツも替えない人たちが、現在のデザインを支えているといっても過言ではないでしょう。あなたの大好きな有名デザイナーもあの受賞デザイナーも、からだのじょうぶさでほぼすべての局面を乗り切ってきたに違いないのですから。あ、パンツは替えてるかもしれません。

03

次回は「デザイナーのモチベーション」についてお話しようと思います。パンツも替えてないデザイナーが、いったい何を心の糧に自我を保っているのか、もう考えたくもないでしょうが、そこから見えてくるものもあるかもしれません。

私にもまだ見えていませんが、次回までには見えるようにしておきます。なんだろうね、心眼がたりてないのかな。モチベーションって目に見えなさすぎてなんかオカルトだよな、ははは。

※良い悪いは別にして
美術に従事することが必ずしも「良いこと」ではないと私は考えています。こんな実作業も伴うような面倒で面倒で面倒な仕事、ほかに向いている仕事や、もっと人生を輝かせる何かに出会う機会があったら、そっちやったほうがいいわけです。

私は、仕事で生じるストレスと報酬のバランスで職業を考えた場合、デザイン業で生じるストレスは報酬で完全に相殺される程度に収まる「自分にとって効率の良い仕事」なのでやっています。パンツも替えないくせにな。

OLの襟はピンクからブルーまであるんですvol.3『デザイナーのモチベーション』

Career Supli
HUNTER×HUNTERを年に1冊出して欲しい!激しく同意です。富樫先生お願いします!
[文・イラスト]381 [編集] サムライト編集部

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