『学ぶための3つの方法』ライフネット生命CEO出口 治明さん講演レポート

出口会長の講演に行ってきました!

先日ライフネット生命のCEO出口会長の講演に伺ってきました。テーマは「働く」ということ、です。そのレポートをご紹介します。ライフネット生命は日本国内では74年ぶりに国内外の保険会社を親会社としないで設立された独立系生命保険会社です。ネット販売により、余分な経費を省いたシンプル料金体系で注目を集めています。

また出口会長はビジネス界きっての読書家としても知られており、深い知識量と経験に裏打ちされたメッセージは非常に説得力のある内容でした。

生きること、働くこと

生きること、働くことは、言い換えれば「周囲の世界を経営する」ということです。この世の中をどのようなものと理解して、自分が目指したい世界は、今の世の中のうまくいってない部分のどこを変えたいと思い、自分はその中でどの部分を担うのか、これを決める必要があります。

そのために必要なことは、世の中を素直に見ること。森の姿を素直に見ることが出来なければ、1本の木すら植えることができません。人間は自分が見たいものしか見ません。あるいは見たいように現実を変換してみる動物(脳の機能)です。記憶ですら都合の良いように変換します。このことをよく理解しておく必要があります。

ですから世の中を素直に見るためには、素直に見るための思考をする必要があります。

それは「タテ・ヨコ思考」で物事を見ることです。

その時に重要なのは、「数字」、「ファクト」、「ロジック」のみで考えることです。

日本の課題

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例えば少子高齢化について考える場合、縦軸は時間軸。1950年と比べて今はどうなのか、いまと同じ前提ならば2050年にはどうなるかといった具合に時間軸で見ていきます。この場合の横軸は他の先進国と比較すること。こうして「タテ・ヨコ思考」で「数字」、「ファクト」、「ロジック」だけを見ていく習慣をつけることが大切です。

同じように日本の国際競争力の推移を見ていくと1991年には世界で1位だったのが、2015年は27位まで落ち込んでいます。この状況を見て嬉しいなと思う人がいたら手を上げてもらえますか?あれ、誰もいない。みんな自分のアタマで考えてますか?今27位なんてめちゃラッキーじゃないですか。だって1位だったらどんなに頑張っても現状維持ですが、27位なら自分たちが頑張ればもっと順位をあげることができるんです。そのように見ていけばいいのです。

ある試算によれば、これから10年で日本の労働力は600万人不足するといわれています。女性の働きやすい環境を整えたり、海外からの移民受け入れなども考えなければいけませんが、一番やらなければいけないのは定年の廃止です。アングロサクソンの国では雇用する際に年齢を聞くのはNGです。定年が廃止になれば自然と年功序列もなくなり、成果に応じて給与が支払われるようになります。こういったことは「タテ・ヨコ思考」で考えることで見えてきます。

学ぶための3つの方法

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良い仕事をしたいと思ったら学ぶしかありません。誰でも、モノを知らない人間よりも、いろんなことを知っている人間に仕事を頼みたいと思うものです。そのためには自分で学ぶしかありません。学ぶ方法は3つあります。

それは、「人に会う」、「本を読む」、「旅をする(現場に行く)」の3つです。

ではどうしたら「人に会える」のでしょうか?基本は誘われたらすべてYESということです。考えずに即答します。どこでどんな出会いがあるかはいってみないとわかりません。今はネットで気軽に尊敬する人ともつながれる時代なので、ダメモトで積極的に会いたい人にアプローチすることもできます。そしてどんな人からでも学ぶことはできるので、目の前にいる人から何を学ぶかというのが非常に重要だと思います。

本から学ぶためにはどうしたら良いでしょうか。わたしの恩師がこう言っています。

「古典を読んでわからなければ、自分がアホだと思いなさい。新著を読んで分からなければ著者をアホだと思いなさい」。

時代を経て読み継がれてきた古典はそれだけ価値がある本が多いので、それを是非読んでください。そして人間の本質は時代を経ても変わらずアホのままなので、過去の人がどのように考えていたかというのを知ることは非常に役に立ちます。大嫌いな言葉は「速読」です。書いてあることを知りたいだけならWikipediaを見れば十分です。速読ほど有害なものはないと思います。どんな本を読んだらいいか興味がある人は「ビジネスに効く最強の読書」などを参照してください。

「旅をする(現場に行く)」のが大切なのはなぜでしょうか。それは人間が五感で感じる生き物だからです。その現場に行って始めてわかることや感じることがたくさんあります。だからいろんな場所に出向くことが大切なのです。

生き残るために

何かを学んだら、必ずアウトプットしてください。昔1人で見に行った映画はほとんど覚えていませんが、友だちと見に行って見終わった後に意見を言い合った映画は今でもはっきり覚えています。つまり言語化することで、思考が整理されて知識が定着するのです。ですからtwitter、BLOG、Facebook、なんでもいいのでとにかく言語化して発信してください。

これからどんな世の中になっていくのか、先のことは誰にもわかりません。でもビジネスマンとして生き残っていく方法はあります。それはどんな環境になっても適応していくことです。ダーウィンの進化論を見てもわかるように強いものが生き残るのではなく、適応できるものが生き残るのです。そのために常に学ぶ必要があるのです。

Career Supli
出口さんのお話はわかりやすくて説得力が凄かったです。10人以上、人が集まる場所であればどこにでも来ていけるとのことなので、是非一度生でお話を聞くことをオススメします。古典をテーマにしたトークとかも面白そうです。
[文]頼母木俊輔 [編集] サムライト編集部