これからのビジネスはカスタマイズがスタンダートになる!?

Tailor studio, fashion designers at work.

カスタマイズがスタンダードに

「自分だけのアイテムをカスタムできます」。こんなフレーズを掲げるお店や企業があると「お、新しいな」「珍しいサービスだな」と思うのではないでしょうか。

少しずつメジャーになってきたカスタマイズサービスですが、まだまだ一部でしか実践されていません。しかしアメリカで完全オーダーメイドのシリアルバーを販売する「ユーバー(YouBar)」の経営者、アンソニー・フリン氏によれば、「これからのビジネスでカスタマイズはスタンダードになる」。ここではその根拠と、すでに実践されている世界規模の大企業の実例を取り上げます。

「みんなと一緒=良いこと」の時代は終わった

アメリカにしろ、日本にしろ、数十年前までは「大量生産大量消費」がビジネスの主流でした。日本では「一億総中流時代」「新・三種の神器」「3C」などがキーワードになり、周囲の人たちの同じモノを持つことが豊かさの指標とされました。

これは現在でもまだ根強い感覚で、「周囲の人たちと違うこと」に不安を覚える人は少なくありません。コンビニチェーンやファストフードチェーンなど、全国どこでも同じ味・同じ商品が手に入るという画一的な生活こそがこれまでの消費者の、そしてビジネスの「正解」になっているのです。東京電力会長の那須翔氏は日本が大きな成長を遂げた要因の1つとして画一的なものへの傾倒を挙げています。

成功すればするほど世の中は画一的になるという一つの公式が出来上がってきました。

引用:那須翔の名言 格言|成功すればするほど画一的になる日本社会

しかしいまやこの「公式」は崩壊寸前です。「たくさんモノがあること」はすでに当たり前になり、何の自慢にもなりません。それどころか「断捨離ブーム」を見てもわかるように、「モノを捨てること」が豊かになるための手段としてもてはやされています。「豊かさ」の内実が「所有の量」から「所有の質」へとシフトしてきている、というわけ。

この「所有の質」を上げるためのキーワードこそが「カスタマイズ」です。

CIY(Creation It Yourself)の時代がやってくる!

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●CIY(Creation It Yourself)って何?

フリン氏によれば、これからの時代のカスタムメイドは「CIY(Creation It Yourself)」。大量生産大量消費時代の既製品(レディ・メイド)以前の時代では、木材を買ってきては家具や家を作り、布地を手に入れては服などを作っていました。

このようにいちから全てを作る「DIY(Do It Yourself)」式のカスタムメイドは手間と時間がかかりすぎて、今の時代の消費者には受け入れられません。対してCIYは「人と違うオリジナルのものをクリエイト(創作)する」というカスタマイズの形です。「材質にはチーク材を使って、カラーはアンティーク調、最大300冊の本が収納できる本棚が欲しい」と言うだけで、あとの面倒な作業は全部生産者側が行ってくれる。これが次にやってくるCIYという消費の形です。

●インターネット時代だからできるCIYビジネス

CIYビジネスは「オーダーメイドのスーツ」「オーダー家具」などに代表されるように、これまでは高級なイメージがつきものでした。しかしインターネットの普及はCIYに大幅なコストカットとビジネスチャンスの拡大をもたらしたのです。

・インターネット回線の高速化。
・ウェブ上でカスタマイズするためのデザインツールの低価格化。
・ネット通販への抵抗感の低下。
・WiFi接続などのインターネットの利便性向上。
・ネット広告やSNSマーケティングなどの普及による広告費の低下。
・物流システムのスマート化。

インターネット時代がもたらしたこれらの要素が、CIYビジネスの間口を大幅に広げています。

CIY時代のパイオニア「DELL」のカスタマイズビジネス

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ここからはいくつかの企業の実例を取り上げて、すでに始まっているCIY時代への流れを確認しておきましょう。

はじめに大規模なCIYビジネスを成功させたのは、1984年に設立されたDELL社です。創業者マイケル・デルがテキサス大学医学部の大学寮の部屋で、たった1,000ドルの資金だけでスタートさせたこの企業は、受注生産システムを採用したPC販売で瞬く間に世界トップ企業の仲間入りを果たします。

DELLのホームページでは基本となるマシンを選んだ後、そこに搭載するOSのスペックやOfficeソフトの有無や種類、セキュリティソフトのスペックなどのカスタマイズが可能です。そのため消費者は必要以上のスペックを搭載しているPCを買わずに済み、コスト面でもパフォーマンス面でも満足できます。画一的な大量生産製品で起こりがちなミスマッチを防止できるのです。

DELL社は他に先駆けたCIYビジネスで大きな成功を納めましたが、当時のビジネス界はこれを「特殊な例である」として軽く見ていました。しかし、DELL社設立から30年以上たった今、世界はカスタマイズするCIYビジネスによって席巻されています。

ユニクロ、リーバイス、ナイキ、スターバックス

ユニクロは2015年8月17日、セミオーダー感覚でカスタマイズできる「メンズ きれいめシャツ」をオンラインストアで販売開始しています。サイズ、色柄、シルエット、生地素材から自分の好みにあった1着を、なんと税抜2,990円で手に入れられるサービスです。オーダー可能な組み合わせは1,183通りにもなり、しかも最短翌日配送というスピーディな提供を実現しています。

ジーンズメーカーのリーバイスは、女性が自分好みのシルエットのジーンズをカスタムメイド風に購入出来る「Levi’s curve ID」と呼ばれるシステムを導入しています。ウエストの位置やヒップラインの画像に基づいて自分の好みを選べば、適合する同社製品がリコメンドされるという仕組みです。同社は2011年第三四半期の9%の増収を、主に「Levi’s curve ID」によるものとしています。

スポーツメーカーのナイキは「NIKEiD」というオーダーサービスでは、シューズを中心にザックなどのアクセサリーのカスタマイズも可能です。シューズのカスタマイズではベースのモデルの色柄やスペックなどをサイズも含めて14のステップで細かく設定できます。まさに「自分だけの1足」が手に入るサービスと言えるでしょう。シューズのカスタマイズはアシックスなどでも実施されています。

「スマートフォン」はCIY時代のシンボル!

いまや私たちが当たり前のように使っているiPhoneを始めとするスマートフォン。これこそCIY時代のシンボルともいうべきアイテムです。私たちは端末の容量、アプリや音楽などあらゆる面でこのスマートフォンをカスタマイズしています。さらにはTwitterやFacebookなどのタイムラインも、自分でカスタマイズした情報の集まりです。

与えられた機能を消費するだけのガラパゴス携帯から、機能をカスタマイズするスマートフォンへ。同じく与えられた情報を受け取るだけの新聞やテレビなどのマスメディアから、情報をカスタマイズするタイムラインへ。知らぬ間に私たちはどっぷりとCIYの文化に浸っているのです。

起業するならCIYビジネス!

CIYビジネスにおいては、発注があるまではコストがかかりません。したがってリスクをかなり抑えることができます。オーダーメイドなので無駄な製品を作って廃棄コストを膨らませたり、環境への悪影響の拡大も抑えられます。起業を考えている人なら、ぜひ注目しておきたいビジネスモデルです。

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気軽にオリジナリティが出せる良い時代ですね。
[文・編集] サムライト編集部

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