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「学歴なんてクソくらえ」!
日本社会において「学歴」は未だ一定の存在感を放っています。一流のビジネスパーソンの肩書きに「○○大卒」と一流大学の名前が載るのも、それが価値あるものだからでしょう。そんな学歴社会にあって、「自分は学歴が低いから評価されない」と自信を失っている人も少なくないはず。
しかしドリームインキュベータの創業者であり、「カリスマコンサルタント」として知られる堀紘一氏に言わせれば「学歴なんてクソくらえ」。大事なのは学歴ではなく「学習歴」だと同氏は言います。ここではそんな堀氏の読書術に加えて堀江貴文氏の読書術も紹介し、学歴の差を超える学習歴の作り方を紹介します。
「学歴よりも学習歴」のワケ

教育統計学者の舞田敏彦氏の「東大生の家庭の年収分布」によれば、世帯主が40歳〜50歳で世帯年収が950万円以上ある家庭の割合は東京大学では57.0%に上るのだと言います。
転職サイトのDODAのデータによれば40代全体の平均年収が586万円、50代全体の平均年収が721万円となっているので、東大生の親世代はかなりの高所得者層であることがわかります。東大という高学歴のブランドを手に入れるためには、「生まれ」「育ち」が少なからず影響しているのです。
しかしお金持ちの家に生まれるかどうかは「運」でしかありません。努力してどうこうできる話ではないのです。対して何を学んできたかを示す「学習歴」は、本人の努力によって深めることができます。この学習歴を深めるための方法として堀氏が挙げているのが「耳学問」と「読書」です。
このうち耳学問には「ためになる話をしてくれる人」に出会えるかどうか、そしてそのような人に出会いやすい「生まれ」「育ち」かどうか、という運が絡んできます。これではまたしても努力が無駄になる危険と背中合わせです。しかし「読書」は違います。
多額の投資も必要なく、「生まれ」「育ち」も無関係。しかも熱心に読書経験を積んでいれば「ためになる話をしてくれる人」が見つけてくれて、耳学問にもつながるというメリットもあります。「学歴がないからダメ」と悲観しているくらいなら、まずは1冊でも2冊でも読書経験を積むべきなのです。
堀紘一式読書術 4つのエッセンス

ここでは堀紘一氏の『自分を変える読書術』(SB新書)から、同氏の読書術のエッセンスを4つ紹介します。「取り入れられそうだ」と思ったらぜひ参考にしてみましょう。
1.「4:3:3の法則」
堀氏は30歳までのビジネスパーソンは年間100冊、それ以外は50冊の読破を目標とするようにと言っています。このように具体的な数値目標を定めたら、ビジネス書40%・小説30%・その他30%の割合で読書経験を積んでいくのが良いそうです(その他とは生物学・歴史・軍事学・哲学)。この場合のビジネス書とはマーケティングなどの専門家が書いた本のこと。堀氏はハウツー本などを「百害あって一利なし」とばっさり切り捨てていてます。
2.読み終えた本は即処分
堀氏は読み終えた本をその場でゴミ箱に捨ててしまうのだそうです。これは年100冊のペースで読んでいると、読み終わった本を置いておくスペースを確保するのがもったいないレベルになってしまうから。確かに筆者自身も、置いている既読の本を読み返すことはほとんどありません。それならばさっさと捨てるなり、売るなりして新しい本を置くスペースを確保したほうが効率的だと言えそうです。
3.「タイトルで売れている本」には要注意!
これは読むべき本を見極める時に重要なポイントです。堀氏の『会社が放り出したい人 1億積んでも欲しい人』という本を出版する際、売れそうなタイトルを先に考えて後から文章を考えるという手法を使ったのだそうです。同書は現在20刷を超え、十数万部を売り上げているのだとか。
このように本を売る側は「本を売るためにタイトルをつける」という側面が少なからずあります。もちろん「売れそうなタイトルの本=悪い本」というわけではありません。しかし「面白そうなタイトルの本=良い本」とは限らないということを覚えておきましょう。
4.「読書のメンター」を作るべし
平均すると毎日200冊以上の本が出版される日本において、的確に自分に必要な本を見つけるのは至難の技。そこで堀氏が勧めるのが「読書のメンター(指導者)」を見つけることです。リアルでもSNSなどでもいいので「この人が勧める本なら間違いない」という人物と繋がっておけば、読むべき本に出会う確率も大幅にアップします。「歴史物に強い人」「ビジネス書に強い人」などジャンル別でメンターを持つのも良いでしょう。
ホリエモン流読書術

画像出典:Amazon
堀江貴文氏には『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』という本の中で、自身が刑務所の中でどのようにして本を読んでいたかの様子を語っています。その中でも「本の選び方」と「インプット方法」を紹介しましょう。
堀江氏は「本好きが読むような雑誌とかには、何かもう、それこそ『本好きが読みそうな本』しか出てこない」と指摘し、『日経ビジネス』や『週刊アスキー』『ナショナルジオグラフィック』などのややマニアな雑誌の中に隠れている書評のなかに読むべき本があるのだと言います。「この雑誌が勧める本あら間違いない」というメンター的な雑誌を見つけるのも良いかもしれません。
堀江氏は読んだ本をインプットするために、常に読みながら本の内容をビジネスモデルにできないかを考えるのだとか。いわく「本の内容なんて読んでもすぐ忘れちゃうし」。
斬新なビジネスを次々に考え出す堀江氏らしい読書術ですが、ビジネスモデルでなくとも「人材育成に役立てられないか」「生産管理に役立てられないか」と自分の中で目的を持って読むことで、スムーズに本の内容を仕事に活かすことができます。「漠然とした読書は苦手」という人にオススメの方法です。
プロライターの読書術
巷には「読書術」関連の本がたくさんあります。ここで紹介した堀氏の『自分を変える読書術』も堀江氏の『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』もその中の1冊です。しかしどんな立派な読書術も重要なのは「合うか、合わないか」。だからこそ自分にあった読書術を見つける必要があるのです。
プロのライターとして生計を立てる筆者も、仕事に必要なインプットを行うために年間100冊以上は読んでいます。しかし筆者には読書をする上で致命的な欠点があります。それは「飽き性」。内容の良し悪しに関わらず、読んでいるうちにその本に飽きてしまうのです。
そこで実践しているのが「多読」「併読」と呼ばれる方法です。2冊から3冊の本を同時に読みながら、「1冊に飽きたら別の本。それにも飽きたらまた別の本」というようにグルグルと違う本を回し読みするのです。これなら本の内容が頭に入らないまま惰性で読むこともなくなりますし、結果的に多くの本を読了できます。
「同じ話をずっと読み続けるのが苦手でなかなか読了できない」という人はぜひこのプロライター流「ゆるい」読書術も試してみてください。
参考文献
『自分を変える読書術』
『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』
