異業種転職成功者のキャリアチェンジストーリーVo.1

転職成功者の平均年齢が上昇

厚生労働省が昨年11月に発表した2014年10月度の有効求人倍率が、1.1倍と高値を更新しました。景気回復や、IT・建築などの業界を中心とした採用条件の緩和がミドル層(35〜44歳)の転職意識を上げ、さらに人材の需要も高めています。こうしたことから、ミドル層を中心に転職成功者が増え、40歳以上の転職者は7年半で5.4倍になったという調査結果も出ています。

35歳が転職限界説は過去?

かつては転職できるのは35歳までと言われていましたが、その状況は大きく変わってきています。何歳かということよりも、キャリアそのものが問われる時代になってきています。また、ビジネスモデルの変化が早くなっているため、経験者がいない新規事業などでは、複数の業種や業界を経験している、豊富なキャリアが評価される場合も増えてきています。

転職者のうちおよそ半数が異業種転職をする時代になりました。「35歳が転職限界説」も「異業種転職厳しい説」も過去のものと言ってよさそうです。では実際に、異業種への転職を成功させた人たちの事例をご紹介します。

1. アラサーでの転職決意!ウェイターからエンジニアに

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飲食業に勤務し続けることに体力的な不安を抱いたことがきっかけで、29歳で転職を決意した山田さん(仮名)。当時加熱し始めていたWEBサービスに注目し、メールの送り方もWordの使い方も分からない状態でPCを購入。PCインストラクターをしつつ自力でスキルを伸ばす日々の中、エンジニアになりたいという思いが生まれます。

未経験ながら熱意と接客業で培ったコミュニケーション能力が評価され「技術は教えるからお客さん対応を頼む」と今の企業に採用されたそうです。自分では特に価値を感じていなかった接客能力ですが、業界が変わるとこんなに評価してもらえるのかと驚いたといいます。

未経験を恐れない

ウェイターとしてキャリアを積んだ山田さんにとって、お客さんの気持ちをくみ取り先回りして動くことは当たり前の行為です。しかしコミュニケーションが苦手な人が多いSEの世界では、その能力が高く評価されました。

あなたの持つ技術やノウハウは、あなたにとっては当たり前でも、他の業界から見ればとても貴重な能力かもしれません。自分の当たり前が、高く評価される場所はどこかという視点で探してみてください。

2. 発想の転換!WEB制作から老舗酒蔵のブランドマネージャーに

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東京にある映画の宣伝を手掛ける企業でWEBサイトの制作を担当していた川口さん(仮名)28歳は、創業100年以上の歴史がある地方の酒蔵からヘッドハンティング会社を通して声がかかり転職。今では、「インターネットを活用した顧客開拓」を希望していたこの老舗企業で、伝統の味を日本全国に広める役割を果たしています。

視野を広げる

売上が下がっていく映画業界に危機感を抱いていた川口さんは当初、広告代理店やIT系の企業への転職を考えていたそうです。しかし、同じ業界に行くと自分の持つ能力はそこまで評価されないと考え、会社のWEBサイトも存在しなかった地方の酒蔵を選びました。

川口さんが普段行っていたWEBサイトの企画力やSNSの活用の仕方は、普段お酒を飲まない若い層にアプローチしたいと考えていた酒蔵とピッタリと合い、いまではお酒のラベルなどブランディング全般も任されるまでになったといいます。業界にとらわれず、自分のキャリアのコアがどこにあるのかを見極めてください。

3. 異色の転職!音楽業界からアプリ開発のディレクターに

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新卒から30歳までレコード会社で音楽制作を手がけていたが、事務所の方向転換を機に転職を決意した上杉さん(仮名)。これからはITだと考え、IT系の企業への転職を希望するも、まったく経験がなかったためエントリーした会社のすべてに不採用となります。

そこで作戦を変更し、いきたいIT業界の前に、1社挟んで経験を積んでから、転職する作戦を思いつきます。まずは自分の強みが活かせる、音楽配信を行なう企業に転職をして、そこで基礎的なITスキルを身につけてから3年後に再度IT業界への転職にチャレンジ。2社目での経験が評価されて、アプリの開発を手がけるIT企業にディレクターとして採用されました。

目標までステップを踏む

いきたい業界や会社に1度チャレンジしてダメでも、あきらめないでください。上杉さんのように今までやってきた業界と、いきたい業界の中間にあるような仕事を見つけて、経験を積みましょう。1つステップを踏むことでつぎのチャンスが拡大します。新卒でチャレンジしたけどダメだった業界なども、経験者採用ならそこまでハードルが高くない場合もありますので、ぜひ検討してみてください。

試してみよう

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転職に遅いも早いもありません。自分のキャリアのコアな部分を理解しながら、思い切って自分のやりたいことにチャレンジしてください。常識的にみて無理そうだと思っても、本当にダメなのか試してみましょう。本人が想像もしていなかった理由で採用されることもあります。自分が納得できる仕事環境を手に入れましょう。

[文・編集] サムライト編集部