キャリアのレア度を高めろ!今日から始める「自分だけのキャリア」構築術

「人と違うこと」がキャリアのレア度を高める

キャリアのレア度を高める方法には「資格をとる」「いろいろなキャリアをかけ算する」といったものがメジャーですが、もっと手前に課題があるケースも少なくありません。すなわち「人と違う道を歩めるかどうか」という課題です。

多くの人にとって「人と違うこと」は恐怖や不安の対象です。同調圧力の強い日本においてはなおさらでしょう。しかし人と違うことへの恐怖と不安を克服しなければ、キャリアのレア度を高めることはできません。

今回は「自分だけのキャリア」を構築するための大前提となる、人と違う思考や行動を習慣化するための方法を2つ紹介します。極めて簡単な方法ですので、ぜひ試してみてください。

慣れれば「人と違うこと」なんて怖くない!

実は人と違う思考や行動ができるかどうかは、性格や才能が決めるものではありません。慣れの問題です。だから慣れてしまえば、人と違うことへの恐怖や不安は感じなくなるものです。

同調圧力の影響や、「人と同じであること」への安心感は確かに存在します。心理学者ソロモン・E・アッシュが行った同調圧力の実験では、被験者の75%が同調圧力を受け、とても簡単な問題の答えを間違えるという結果が出ています。

1970年代のキーワードとなり、日本国民の大多数が自分を中流階級だと考える意識を指した「一億総中流」は、「人と同じであること」への安心感の存在を示す一例でしょう。

しかしこうした心理は、まだ人間が地球の王者ではなく、圧倒的な弱小種であった頃に根ざしています。つまり「団体で行動しなければ、最悪、命を落とす」というリスクこそが、同調圧力や「人と同じであること」への安心感に繋がっていると考えられるのです。

であれば、人と違うことへの不安や恐怖が、現代社会においてほとんど必要のないものだということがわかるはずです。今の時代、団体で行動しなかったからといって命を落とす可能性はほぼないからです。

つまるところ、人と違うことへの不安や恐怖は思い込みに過ぎません。だから人と違う思考や行動をすることに慣れ、特に危険のない安全なことだと理解すれば、誰でもキャリアのレア度を高められるのです。

「自分だけのキャリア」へのはじめの一歩を踏み出す2つの方法

ではどうやったら慣れることができるのでしょうか。必要なのは次の2つ。

1.「自分がどうしたいのか」をしっかり把握する。
2.「少数派になっても自分に危険はない」ということを頭と体で理解する。

以下ではこれらを達成するための方法を具体的に紹介していきましょう。

●「自分がどうしたいのか」を把握する

自分がどうしたいのかを把握するということは、すなわち自分の本音に敏感になるということです。

「人と違うこと」が怖いと感じる人は、自分を押し込めて「多数派」になることばかり考えがち。すると自分の本音と「みんなの考え・行動」がごっちゃになり、自分がどうしたいのかがわからなくなります。

これでは人と違う道を意図的に選ぶことができません。結果、効率的にキャリアのレア度を高められなくなってしまいます。

この状態から抜け出すためには、何よりもまず自分の本音に耳を傾ける頻度を上げることです。

普段は気にならない時計の針の音が、意識した途端に大きく聞こえるようになる――それと同じように、「人と違うのが怖いから」と知らずに押し込めていた本音も、意識するだけではっきり聞こえてくるようになるのです。

<エクササイズ1:「今日の感想日記」をつける>

1.ノート、もしくはメモアプリを用意する。後から見返せるものがベスト。
2.毎日「朝の時間」「寝る前」など時間を決めて、1日の感想を書き出す。
3.書き出すのは感情が動いたこと。嬉しかったこと、嫌だったこと、楽しかったこと、イラついたことなど、なんでも構わない。
4.パッと思いつかなくても、じっくり思い出して書き出す。
5.1〜2週間に一度、書いた内容を見返して、自分の感情がどんな時に動いているかを分析する。

※ステップアップ
感情の変化の傾向が見えてきたら、その感情をその場でアウトプットしてみる。まずは家族や友人知人など、リスクの低い人間関係からはじめ、徐々に仕事関係者などでもチャレンジする。

●「少数派になっても自分に危険はない」ということを理解する

「少数派になっても自分に危険はない」ということを理解するための効果的な方法は、あえて少数派になってみたり、少数派として生きている人の実態を知ったりすることです。

多数派でいることに慣れてしまうと、漠然と「少数派になるのは危険」と思ってしまいがちです。何も人生を変えるような選択でなくても、食べるものを選んだり、着る服の色を選んだりする時にも、こうした心理は働いています。

しかし誰も食べないようなメニューを選んだり、誰も着ないような奇抜な色の服を選んだりしても、当然ですが何も起きません。むしろ自分だけが知っている美味しいメニューが見つかったり、自分がテンションの上がる服の色が見つかったりするものです。

こうした、あえて少数派になる方法とは別に、少数派の言い分を「傾聴」してみるのも効果的です。少数派になったことのない人は、なんとなく「少数派は大変」と思っているかもしれません。

ですが、多数派でいても大変なことがあるように、少数派でいることでプラスに働くことも少なくありません。「少数派だから大変」ということはないのです。

言われてみれば当たり前なのですが、実際に少数派の人の言い分を聞けば、しっかり頭でも「少数派になっても自分に危険はない」ということを理解できるでしょう。

<エクササイズ2:少数派になってみる>

例1:飲食店のメニューの中で、あまり人が選ばなさそうなものを選んでみる。
例2:アパレルショップで、あえて「誰も着なさそうだけど、ちょっと着てみたい色」を選んでみる。
例3:旅行のプランを人気スポット「以外」で組んでみる。 など

<エクササイズ3:少数派の言い分を「傾聴」してみる>

例1:フリーランスが集まる会合などに参加し、仕事や生活について根掘り葉掘り聞いてみる。
例2:別居婚、週末婚、年の差婚など、珍しい結婚の形を選んでいる、あるいは肯定的な意見を持っているカップルに実情を聞く、メディアの記事を読む。
例3:タトゥーを入れている、あるいは肯定的な意見を持っている人に話を聞く、メディアの記事を読み込む。 など

キャリアのレア度は「慣れ」で高められる

「資格の取得」「キャリアのかけ算」といった、キャリアのレア度を高めるためのメジャーな方法の効果は絶大です。しかし人と違うことに抵抗があるのなら、まずはそこを乗り越えなければ自分だけのキャリアを構築するのは至難の技です。

ここで紹介した方法は、ごくごく初歩的なものです。「こんなことでキャリアのレア度が高まるわけないだろ!」と思う人もいるかもしれません。

しかし何事も積み重ねが大事です。「人と違うとどこか落ち着かない」という人は、騙されたと思ってコツコツ続けてみてください。

きっとどこかで、人と違う思考や行動ができるようになった自分に気づけるはずです。

[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部