AI時代に「消えゆく資格」と「生きる資格」

あなたの資格は10年後も役に立つ?

「10年後には消える仕事・なくなる仕事」という内容の話をよく聞くようになって久しくなります。英国オックスフォード大学の准教授であるマイケル・A・オズボーン氏が2013年に提出した論文「未来の雇用」によると、いまの米国の総雇用者の仕事のうち47%の人が10〜20年後にはなくなってしまうという予想があります。

周知の通り、その原因になっているのが人工知能(AI)です。まるで人間のように「学習」し「推論」を組み立てることができるAIは、人間よりも速く正確に仕事をすることができます。氏はそう遠くない未来に、私たち人間がAIに仕事を取って代わられるかもしれないことを示唆しています。

そこで今回は、オズボーン氏の論文を参考に、AIが発達したことによって消えていく資格、また生き残る資格を予想してみました。今後、資格取得を目指している方、必見です。

AI時代に消えゆく資格

1.日商簿記検定

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まず最初に挙げられるのは、人気資格である日商簿記検定。現在でもクラウド会計などで徐々にIT化が進んでいる財務や会計。クラウドに蓄積されているビックデータとAIの学習能力が加われば、財務や会計が完全に機械化される日も遠くないかもしれません。

2.通訳案内士

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観光庁長官が実施している国家試験「通訳案内士試験」に合格した、外国人観光客相手のプロの観光ガイドである、通訳案内士。

現在でもスマートフォンの台頭によって見どころや電車の乗り換えからディナーまで簡単に調べられてしまいますが、AIが発達すればより最適な観光コースやより詳しい見どころなどを柔軟に教えてくれるのかもしれません。

3.基本情報技術者

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経済産業大臣が行う国家試験、情報処理技術者試験の一区分です。コンピューター言語のプログラミングに関する問題が出題されるため、プログラマーの登竜門ともなっている試験です。

入社3年以内に取得を推奨している企業も多いそうです。しかし、人間がAIに指示を出すだけでプログラミングも簡単にできてしまう世の中になれば、この資格もあまり重要視されなくなるかもしれません。

4.証券アナリスト

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市場の分析して調査する証券アナリスト。金融のグローバル化と専門化の時代にあって彼らの分析の重要性は年々高まっています。しかし、AI時代ではビックデータと人口知能を用いれば、分析も調査もより簡単にわかりやすくできてしまうかもしれません。

5.行政書士

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官公署に提出する書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成を行うスペシャリストである、行政書士。しかし、AI時代では文書作成も自動でできてしまうので、もしかしたら行政書士の仕事も代わられてしまうかもしれません。

AI時代に生きる資格

1.メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅰ種・Ⅱ種)

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2015年12月から、従業員50人以上のすべての事業所に対し、1年に1回以上の「ストレスチェック」の実施が義務付けられました。それに伴い、社員の心の健康管理(メンタルヘルス・マネジメント)は組織の活性化のための重要なキーワードになっています。

いくら発達したAIでも、人間の心の中の問題や悩みを解決するのはなかなか難しいでしょう。AI時代に入っても、社員の心の管理をする人は必要不可欠です。

2.中小企業診断士

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民間の経営コンサルタントとして、一定の信頼を得られる中小企業診断士。コンサルティング業務では複雑な判断能力を必要です。会社では数字だけでは片付けられない問題も多いため、AI時代後も重宝されるでしょう。

3.インテリアコーディネーター

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快適な住まいの空間を創造する、住まいのスペシャリストであるインテリアコーディネーター。持ち前のアイデアやセンスを活かして、お客様の好みや予算など様々なことを考慮しつつ、快適で居心地の良い提案をしなければなりません。こうした創造性をAIでカバーするのは難しいでしょう。

4.産業カウンセラー

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心理学的手法を用いて、働く人たちが抱える問題を自ら解決できるように援助する心理職である産業カウンセラー。メンタルヘルス・マネジメント検定と同様、AI時代に入っても必要になってくると思われます。

また、臨床心理士などといった他の心理系に比べて比較的取得しやすいのもメリットに挙げられます。

5.英語(TOEIC、TOEFL、英検)

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最後は英語系、語学系の資格や検定です。実はこの資格、「消えゆく資格」にもランクインしています。AI時代の到来で言語の壁も低くなることが予想されますが、最終的には人間同士のコミュニケーションが必要です。そのためには、自頭での英語力も少なからず求められるでしょう。

Career Supli
AI時代の到来により、経理や税務、各種営業・サービス関連の仕事が「なくなる」と言われています。しかしながら、スキルや作業はAIに替えられても、それを操る部分は必ず人間が必要になります。上手にAIを活用していくために必要な知識を資格として持つ、あるいはAIで解決できない問題に関する資格を持つことが、今後求められてくるのかもしれません。
[文・編集] サムライト編集部