転職回数はやっぱり少ないほうがいいの?転職エージェント出身のベンチャー社長 中島大氏とアデコ現役転職エージェント対談

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転職回数がゼロ回の人は評価が低い?

先月『転職回数が「少なすぎて」苦労している知人の話』というブログが話題になりました。40歳近くになって、初めて転職をしようとしている人の転職活動がうまくいっていないという内容のものです。そのブログを受けて転職エージェントで働いた経験を持つ、株式会社自転車創業のCEO中島大氏がFacebookで下記のような投稿をしていました。

人材会社でキャリアアドバイザーやっていたときは転職回数の多い人をジョブホッパーって思っていたけど、今は全く思わなくなった。むしろ本文にもあるけど、35過ぎて転職回数0の人が外に出たくなったときのリスクの方を強く感じる。景況感にもよるので一概に言えないけど、人材会社現役勤務者と最近の動向含めて話してみたい。

そこで、お声がけして実際にアデコの現役エージェントと対談をしていただきました。ご覧ください。

【株式会社自転車創業 代表取締役 中島 大氏プロフィール】
慶應義塾大学卒業後、ベンチャー数社での営業・新規サービス立ち上げを経て、株式会社スゴログを設立、代表取締役就任。日々の自転車移動から体験した自転車にまつわる問題解決をすべく、KDDI∞Labo5期採択を機に、株式会社自転車創業を設立、代表取締役就任(現任)

対談相手:【アデコ株式会社 転職エージェント 中村 彩子】
2005年法政大学卒業後、アデコ株式会社に新卒入社、人材サービスの営業職に従事。派遣・請負・人材紹介サービスの提案にて企業の組織作りに貢献する中で、より企業の軸となる人材の提案に関わりたいと考え、2011年人材紹介専任のコンサルタントへ転身。現在は、一気通貫型コンサルタントとして企業・人材双方の窓口を担当している。

転職回数に対する評価の変化

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中島:僕がアドバイザーをやっていた10年ぐらい前は転職の回数が多い人はジョブホッパーと呼んでいましたが、転職回数に関して企業の反応はどんな感じになっていますか?

中村:転職回数だけで判断できるものではなく、実績や考え方、人柄によって変わってくると思いますが、企業側からのフィードバックとしてあるのは現場のメンバークラスの人材で転職回数が少ない方は歓迎される傾向があります。

しかしマネージメントクラスの場合、1つの組織でしかマネジメントをしていない方ですと、今まで長年やってきた前職と同じやり方をしてしまうのではないか、柔軟性をもってうちの組織のやり方に対応してもらえるかどうか若干の懸念があるという声は聞くことがありますね。

一方で保守的な大手の企業では、今だに職歴のきれいな人(転職回数が少ない)が好きな企業もあり、「職歴3社以内の方でお願いします」といったオーダーを頂くこともあります。

中島:おお、今もそういったオーダーがあるんですね。僕がやっていた頃も何歳までなら転職何回まで、という足切りが明確にある企業がけっこうありました。

中村:なぜ転職回数に制限を設けているのか聞いてみると、「役員クラスが気にするんだよね」といったようなことをおっしゃる人事の方がいました。ドメスティックな大手の企業ですと、自分が転職する必要を感じておらず転職経験がない方も多いんです。

転職する人の気持ちがよくわからないと直接言われたこともありました。そもそも最終面接で合否を決める役員や社長が、転職の経験がないということもありますからね。

IPOを目指す企業が求める人材

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中島:なるほど、それはありそうですね。また他に転職してしまうんじゃないかという懸念もあるんですかね。
中村:そうですね。そういう方たちにはやはり職歴のきれいな人を求めるという傾向はあると思いますが、そうではない企業もあります。

ベンチャーから成長してこれからIPOをしていこうというフェーズの成長ベンチャーですと、これから組織を作っていける人、改善できる人が求められます。

そこではいくつかの企業で経験をしてきたから、うちの会社にもフィットしてもらえるんじゃないかという、そういう期待感をもって職歴を見てくれる企業が増えてきたなと感じます。転職経験を箔が付くとみるのか、傷がつくとみるのかの違いだと思います。

——箔が付く転職かどうかは、後からわかることのような気がしますが、事前にそういったキャリアプランをたてることは可能なのでしょうか?

中村:そこは我々のようなキャリアアドバイザーの出番かなと思っています。面接の対策をする時に、転職したからこそ得られた経験をポジティブに語るようなアドバイスをさせていただいています。

どのような転職でも必ずその職場だから得られた経験やスキルがあります。それを一緒に棚卸しして、キャリアプランと整合性の取れたストーリーにすることで、過去の転職の経験を、よりわかりやすく採用担当者に伝えることができると考えています。

また、その方のキャリアプランを踏まえて、次はこの企業でキャリアを積んだ方がよいのではないかという視点で企業のご紹介をしています。

それをせずに「あなたがいける企業はここです」といったような紹介になってしまったら、その人の捉え方もまったく違うものになってしまいますよね。

30代の転職は人脈が大切

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——なるほどキャリアプランの話は理解できたのですが、現実的に転職回数が多くて履歴書が汚い場合はどうすればよいでしょうか?

中島:自分で起業している立場というのもあるのですが、ある程度の年齢になればそれなりに人脈ができると思うので、それを使えばぶっちゃけエージェントは使わなくても転職できるのかなと思います。

もちろん自分の人脈があった上で、さらに選択肢の幅を広げる意味でエージェントを使うのであれば意味がありますが、それしか選択肢がないのはちょっと厳しいかなと思いますね。

社員やOB・OGの人脈の中から紹介・推薦してもらい、選考をするリファラル採用を行っているベンチャー企業も増えてきましたので、通常であれば履歴書で落ちてしまうような人も紹介であれば新たな転職の可能性が出てくると思います。

中村:そうですね。ビジネス系のSNS、LinkedInでは推薦機能などがあったりしますし、身近な人経緯での転職という流れは増えてくると思います。また最近では企業のダイレクトリクルーティングも活発になっており、企業と求職者がダイレクトに結びつきやすくなってきています。

そうなってきた時にキャリアアドバイザーの存在意義とは?ということが問われると思います。例えば転職回数が多い方ですと実績も多く、アピールすべきポイントが整理されてない場合があります。

それを整理して、この人の強みはココで、それが御社の求めるこのポジションにマッチしていると思いますという、提案型の推薦を行うこともあります。

——転職エージェントしか持っていない求人というのもあるんですか?

中村:内容によっては転職エージェントを通じてしか採用を行っていない求人というのもありますし、まだ顕在化していない求人というのもあります。

我々が採用担当の方とお話をするなかで、そのうちこういうポジションの募集がでてくるかもという話があった時に、紹介者の方でそのポジションに当てはまりそうな人がいれば、まだ正式な求人のないポジションにこちらからご提案というような動き方はしています。

——これから5年ぐらいで転職の仕方や働き方は変化していくのでしょうか、それともそんなに変わらないのでしょうか?

中村:先ほどの話にもあったように転職の仕方は広がってくると思います。大企業に勤めていれば安泰という時代ではないので、汎用性のあるスキルをどれくらい持っているかがポイントになってきます。

汎用性のあるスキルとは会社が変わったとしても活かせるスキルですね。例えばコミュニケーション能力や社内の調整能力、根回しのスキルもある意味では汎用性のあるスキルといえるかもしれません。楽観的な言い方をすれば、汎用性のあるスキルさえ持っていれば、職種を変えようと思えば、変えることができると思いますし、企業規模も選ぶことができると思います。

会社に属しているときに、他の企業に移った時に自分のスキルは活かせるものなのか、そこにもっと自覚的になった方がうまく転職できる可能性が高いですね。そこに気づいていないもったいない方が多いかなと思います。

本人が自分の持っている汎用性のあるスキルに気がついてないことも多いので、面談の中でそれを見つけて、こちらからアドバイスをすることを心がけています。

結果が出せる人、出せない人

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——中島さんはエージェントをやられた経験があり、今は経営者として人を採用したり育てる立場になっていますが、どういう人が伸びる人だと思いますか?

中島:他責にせずにやりきる人ですかね。そういう人は何をやっても結果が出せると思います。以前務めていた会社の社長がリクルート出身で、これは有名なリクルートの文化なんですが、必ず「お前はどうしたいんだ」と聞かれるんですよね。

これは他責にせずに、自分の責任でやりきることを習慣づけることですよね。数字にコミットすることもそうですが、自分の責任でやりきることが大切かなと思います。

中村:今のお話は、先ほどの転職回数が少なくて企業が二の足を踏んでしまう人の話にも共通すると思います。前の会社のやり方を持ち込んでしまうのではないかと懸念されてしまう方は、前の会社に固執しているという姿勢が他責の傾向として見られてしまっているのかなと思います。

前の会社の経験を転職先に持っていくことは素晴らしいことですが、新しいところに飛び込んで変えていくことも必要で、その変化に対する柔軟性や成長意欲をアピールできる方は、転職に成功されていると思います。

——キャリアサプリでも話題の著書『やり抜く力(GRIT)』を紹介したりしているのですが、やりきることができる人は学生時代に部活などを頑張ってきた下地がある人だと思います。学生時代とくに頑張ってこなかったけど、これからなんとかしたいと思っている人はどうすれば良いのでしょうか?

中村:自宅、職場以外のもう一つの場所、サードプレイスを見つけたことによって仕事にもやり甲斐を見いだせるようになったという話は聞くことがあります。私の友人の場合は、ビブリオバトルというオススメの書籍を5分で紹介する集まりに参加しはじめてから、積極性が増してプレゼンもわかりやすくなり、職場の同僚からも変わったと言われるようになったそうです。

サードプレイスで自分の居場所を持つことで自分の存在価値を確認したり、ちょっとした成功体験を経験することによって変わるキッカケになることはあるのかなと思います。

中島:心の底から熱狂してフロー状態(没頭状態)になれるような好きなことを探すことが大切なのかなと思います。すぐには仕事にならなくてもフローになれることを続けていれば、いずれそれ自体を仕事にしていくこともできますし、それが一番理想的ではないかと思います。

中村:私の友だちで嵐の大ファンの子がいて、その子はコンサートに行くために全部有給を消化するんですね。平日も嵐が出ている番組を見るために残業をしません。

そのために時間内で仕事を終わらせられるように逆算してスケジューリングしてキッチリ仕事をしていて、それが働くモチベーションになっていますね。そういったメリハリをつけた働き方も、ある意味プロフェッショナルだと思います。

——なるほど、ありがとうございます。今日のポイントをまとめると下記3点になると思います。

・自覚的に汎用性のあるスキルを身につける
・他責にせずにやりきる
・フロー状態になれるものを見つける 

これらの点を意識しながら、あらためて今後のキャリアプランについて考えてみてください!

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他責にせずにやりきる。大事ですね!
[インタビュー] 頼母木俊輔 [編集] サムライト編集部

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